「恐竜の足あと発見」のアクリルキーホルダー

 中国四川省で発見された新種の恐竜の足跡化石に「のび太」の名前がつけられた!

 というニュースが昨年報じられました。

 恐竜が大好きだった藤子・F・不二雄先生が聞いたらどんなに喜ばれるだろう、どんなに感動されるだろう!と思わせるビッグなニュースでした。

 

 当ブログでもそのニュースを取り上げています。

 2021-07-09【新種の恐竜の足跡化石に「のび太」の名が!】

 https://koikesan.hatenablog.com/entry/2021/07/09/184815

 

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 「のび太」の名がついた足跡化石(エウブロンテス・ノビタイ)のレプリカが、昨年から藤子・F・不二雄ミュージアムで展示されています。

 それにちなんで、ミュージアムオリジナルの恐竜グッズが3種類発売されました。

 http://fujiko-museum.com/blog/?p=31220/

 

 そんな恐竜グッズのひとつ「二層アクリルキーホルダー(恐竜の足あと発見)」をこのたび購入しました。

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 藤子・F・不二雄ミュージアムへ出かけたわけではありません。通販で買ったのでもありません。

 愛知県在住の藤子仲間ZさんがFミュージアムに行ったとき私に代わって買ってきてくれたのです。

 てんとう虫コミックスドラえもん』44巻に収録された「恐竜の足あと発見」をモチーフにデザインされたアクリルキーホルダーで、発売を知ったときから心誘われていたので、わが家にお迎えできてうれしいです。

 

 前述のとおり、のび太の名前がつけられた化石は恐竜本体のものではなく恐竜の足跡の化石でした。

 今日は、その恐竜の足跡化石とF先生の関係に着目してみます。

 恐竜の足跡化石とは、F先生にとって、私が今まで抱いていた印象よりはるかに重要で強い愛着や好奇心の対象だったのではないか、とこのごろ思うようになってきたのです。

 

 恐竜の足跡化石って、私のような一応は恐竜好きだけれどこれといって恐竜に詳しいわけではない者にとっては、恐竜の全身骨格化石などと比べるとずっと印象が薄いものでした。しかし、真正の恐竜好きであるF先生にとってはそうではなかったようです。

 

 なにしろ、恐竜の足跡化石をメインの題材にして『ドラえもん』の1編を描いておられるくらいですからね。前掲の「恐竜の足あと発見」のことです。

 

 そして、恐竜の足跡化石とF先生というと、先生のこんな言葉を思い出します。

1954年(昭和29年)ごろのことでしたか、上京してからのことだったと記憶しています。雑誌の口絵で、水たまりの中で水遊びをしている子どもの写真を見つけました。よく見ると、水たまりに見えた大きな穴は、実は巨大なブロントサウルス(アパトサウルス)の足跡だったのです。

 (略)

こんなに大きな足跡を残した生き物――恐竜って、どんなに巨大なのだろう、とあらためてその巨大さに驚いたものでした。幼いころから、恐竜大好き人間だったぼくです。好奇心がムラムラとわいてきたのを、今でもおぼえています。

(てんとう虫ブックス『藤子・F・不二雄 恐竜ゼミナール』1990年、小学館発行)

 

 F先生は恐竜の足跡にそうした思い出をお持ちだったのです。

 F先生がお若かったころに体験したり感じたりした恐竜関連の記憶はさまざまあったことでしょうけど、そのなかでも特に思い出深いものが足跡化石の写真を見て驚いた記憶だったわけです。

 

 続けてF先生は、足跡化石にこんな解説を加えます。

この恐竜の足跡化石は「生痕」といって、恐竜が生きていた時のままを記録しているものです。骨格化石などが恐竜の全体像を想像させてくれるのに対し、この足跡化石は、歩幅を測ることによって歩行のスピードが推測できるのです。恐竜の生活を知る上で、たいへん貴重な資料ということがいえます

 F先生はこんなにも足跡化石のことをご存じで「貴重な資料」とおっしゃっているわけですから、先生の足跡化石に対する思い入れは一般の人が感じるよりもはるかに強かったのだろう、とそう思うのです。

 

 前掲の『ドラえもん』「恐竜の足あと発見」のなかでF先生は、ドラえもんに「足あとが化石となって残るのは、ひじょうにめずらしいことだからねえ。こういう大発見は、二度とないんじゃないの。」と言わせています。ここでも足跡化石の貴重さが示されています。

 

 「のび太」の名前が恐竜の“足跡”化石についたという出来事は、当初私が感じた以上に藤子・F・不二雄的世界と親和性の高いことなんだあと、お迎えしたばかりのアクリルキーホルダーを眺めながら感慨にふけっているところです。