小原乃梨子さんが去る7月12日に88歳でお亡くなりになった、と所属事務所の81プロデュースから発表されました。
https://www.oricon.co.jp/news/2337334/full/
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240723/k10014520191000.html
私の青少年期に現役バリバリで活躍されていた著名人の訃報をよく聞くようになって、悲しく寂しいばかりです。
私にとって小原乃梨子さんはまず誰よりものび太くんの人です。今の精神状態ではうまく言葉にできませんが、のび太くんへの思いは尽きません。のび太くんに共鳴し感情移入し励まされ支えられながら青少年期をおくったのが私です。
だからこそ小原さんの他界は心に重くのしかかってきます。
小原さんには、日本テレビ版『ドラえもん』でのび太くんのママ役だった、という経歴もあります。テレビ朝日版でその息子にあたるキャラクター(=のび太くん)の声を演じることになり、それが小原さんの長く多彩なキャリアの中でも筆頭に挙げられるほど代表的な役へと大きく育っていったわけです。
のび太くん以外では、マージョやドロンジョなどタイムボカンシリーズ三悪の歴代女性リーダー、『アルプスの少女ハイジ』のペーター、『未来少年コナン』のコナン、『ワンサくん』のワンサくんが個人的には特に思い出深いです。
訃報に触れてから数時間たって、のび太くんの声を卒業したときの小原さんのインタビューを読み返しました。「女性自身」2005年4月12日号に掲載された記事です。
最後のアフレコを終えて映画ドラえもん25年の感謝状を渡されとき、涙をこぼしたという小原さん。それは、番組を卒業する寂しさからではなく、1996年に亡くなった藤子・F・不二雄先生との思い出が頭をよぎったからだとか。
小原さんはのび太役として『ドラえもん』第1回めの録音の日を迎えたとき、藤子F先生や関係者やスタッフが大勢集まっているのに風邪をひいて声を出せなくなり、肝心の録音ができなくなってしまいました。仕方なくその日は食事会ということに。集まったスタッフや関係者に謝ってまわる小原さんに藤子F先生がやさしくかけた言葉が「のび太らしいですね」。小原さんの胸に印象深く残っているそうです。
そうして、映画ドラえもん第1作『のび太の恐竜』を作っているときのこと。藤子F先生は小原さんに「これはのび太の映画なんです。のび太は、子どものころの僕なんですよ」とおっしゃいました。映画ができあがって小原さんが藤子F先生に「いかがでしたか」と感想を尋ねると、「のび太、よかったですよ」と返してくださって、そのときのやり取りを思い出して小原さんは最後のアフレコのあと思わず涙をこぼしてしまったのだそうです。
そんな小原さんの思い出話を読んで、私の目にも涙がにじんできました。
小原乃梨子さん、ほんとうにありがとうございました
謹んで哀悼の意を表します