WOWOWでSF短編6作がドラマ化

 前エントリのコメント欄でアナタ・ドナタさんが情報をくださったとおり、WOWOW藤子・F・不二雄先生のSF短編がドラマ化されると発表されました。番組名はミッドナイト☆ドラマ『藤子・F・不二雄のパラレルスペース』で、全6話のオムニバス形式とのこと。10月31日(金) スタート、毎週金曜深夜0:00から放送。
藤子・F・不二雄の“創造力”×21世紀クリエイターの“想像力” 傑作「異色短編集」をオムニバスで実写化!! いつの時代にも色あせることのない「すこし・ふしぎ」な世界!》というキャッチフレーズが添えられています。

■放送ラインナップ


『値ぶみカメラ』 10月 31日(金)深夜0:00〜 <ストーリー>
カメラマン志望の竹子(長澤まさみ)は、二人の男の間で悩んでいた。自分に気のある青年実業家の男・倉金(ケイン・コスギ)と付き合うのか、貧乏カメラマンの幼馴染、宇達(諏訪雅)と付き合うのか……。ある日、実家の骨董屋におかしなカメラを持った黒ずくめの男(ヨドバ氏)が現れる。「値ぶみカメラ」というそのカメラで写真を撮ると、写真の四隅に4つのボタンが現れ、その被写体の4つの値段がわかるというのだ。左上のボタンは本価(原材料費)右上は市価(正札価格)、左下が産価(被写体が将来生み出す利益)だという。右下のボタンの説明を聞こうとすると邪魔が入りうやむやになってしまう。そんなとき、倉金からプロポーズを受けてしまい、迷った竹子がとった行動は……。<スタッフ・キャスト>
監督:箭内道彦 脚本:三浦有為子
出演:長澤まさみケイン・コスギ渡辺えり安斎肇、諏訪雅 他



(※以降、放送順未定)


『かわい子くん』
<ストーリー>
自分の容姿に全く自信がないフリーライターの茂手内(もてうち)君は、通院する歯科医院長の理子(さとこ)から、本気で「モテナイ君」と呼び間違えられる始末。そんな理子にもめげず、茂手内が歯科に足しげく通うのは、受付のユキちゃんが可愛くて気になっているからだ。ある日茂手内は、理子から、日頃キツイ物言いをしているお詫びに、ユキちゃんに好きになってもらうための秘訣を伝授してあげると言われる。理子は、「そもそも美しいとは何か?」という問いを生物学的に解析して作られた、相手の「本質」が見えるという目薬を手に入れたというのだった……。<スタッフ・キャスト>
監督、脚本:筧昌也
出演:本多力麻生久美子いとうあいこ要潤 他



『あいつのタイムマシン』
<ストーリー>
科学雑誌の編集者として働いているひろ子は、次号で「タイムマシン」の特集を担当することになる。ひろ子が後輩と一緒に向かった取材先は、大学でかつて一緒にタイムマシンの研究をしていたハルカだった。相変わらず研究に没頭するハルカとの久々の再会で、ひろ子はタイムマシン開発の夢に向かって一緒に情熱を注いだ日々を思い出していく。当時、そんな彼女たちの唯一の理解者は、同じ研究室の先輩・矢口だった。なんとなくハルカも矢口のことが気になっていることを知りつつ、ひろ子自身も矢口に惹かれて……。<スタッフ・キャスト>
監督:三木孝浩  脚本:上田誠、大歳倫弘 
出演:未定




『征地球論』<ストーリー>
とある惑星Xの議会では、新たに征服する星の候補となった「地球」という星をめぐって、議論が続けられてきた。強硬な征服を唱える者、放っておけば自滅するという者、そもそも地球に無関心な者……果たして地球は征服するに値する星なのか? 長々と続けてきたこの議論にそろそろ決着をつけよう……ということで、彼らはランダムに選んだ特定の固体に対象を絞り、調査データを見ながら意見の整理を行うことにした。
調査対象は極東と呼ばれる地域のある島国に住む、地球年齢で17歳のメス。彼女を通して観察してみると、地球人というものが実に奇妙なものであることが分かってきた……。果たして、最後に宇宙人たちが下した決断とは……?<スタッフ・キャスト>
監督:青池良輔 脚本:三浦有為子
出演:未定



『ボクラ共和国』
<ストーリー>
一学期の終業式の帰り道、風子は幼馴染のゴウとイッチーに新しく作った国の「コクミン」にならないかと誘われる。コクミンになれる資格は、思いやりがあるということだけ。そのコクミンがまた新しいコクミンを増やしていけば大人になる頃には、思いやりいっぱいの世界になるのではないかという思いつきだ。名づけて“ボクラ共和国”。総理大臣のゴウを筆頭に、防衛大臣外務大臣文部科学大臣などが決まっていく。ウキウキしながら家に帰ると、来月引越しすることが判明し、落ち込む風子。ゴウやイッチーに引越しを打ち明けられないまま、ボクラ共和国の一員としての仕事が始まった。そんなときに、自分たちがつくった国会議事堂が中学生たちに荒らされてしまう……。<スタッフ・キャスト>
監督、脚本:小泉徳宏
出演:日向ななみ長島弘宜、ささの貴斗 他



『ボノム=底抜けさん=』
<スタッフ・キャスト>
監督、脚本:関根光才
出演:未定




■関連ミニ番組:『S、F。(少し、藤子。)』(仮題)
全6回、10月31日(金)スタート/毎週金曜夜11:50〜
ミッドナイト☆ドラマ『藤子・F・不二雄のSFパラレルスペース(仮題)』をより楽しむためのミニ番組。原作者・藤子・F・不二雄の魅力や、「異色短編集」が生まれた時代背景や事情を紐解いてゆく。

 SF短編のドラマ化というと、1980年代後半にフジテレビで放送された月曜ドラマランド『夢カメラ』シリーズや『赤毛のアン子』のアイドル路線モノをトラウマ的に思い出すのですが、今回はあれから時代がはるかに進んだし、地上波ではなくWOWOWでの放送ということで、もっとずっと本格的なドラマ化になることを期待したいです。
 放送ラインナップを見ると、数あるSF短編のなかでも比較的地味めの作品がセレクトされた印象があります。(『征地球論』はそうでもありませんが) 『ボノム=底抜けさん=』なんて藤子F先生の存命中には単行本に収録されなかった作品ですし、『ボクラ共和国』だってF先生はもともと単行本に収録するつもりがなかったものです。F先生はかつて、『ボクラ共和国』についてこんなことを語っています。

『ボクラ共和国』については、何も語るべきことがありません。
        (略)
『ボクラ共和国』はそんな時期に書かれた失敗作の一つです。失敗作ですから今後も短編集などに収める予定はありません。
(「藤子不二雄ファンクラブ 季刊ユートピア9・10合併号」1982年発行)

 作者自身によって単行本に収める予定はないと明言されていた『ボクラ共和国』(初出:「小学五年生」1975年8月号)ですが、雑誌発表からおよそ10年後の1985年、藤子不二雄ランドキテレツ大百科』第4巻(中央公論社)に収録されることで再び陽の目を見ました。そのさい、ずいぶん加筆されています。
『ボノム=底抜けさん=』も『ボクラ共和国』も、2000年から刊行された「藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版」(小学館/全8巻)で読むことができます。


 ともあれ、10月31日からスタートということで、それまで期待と不安を渦巻かせながら待ちたいと思います。


・公式サイト
 http://www.wowow.co.jp/drama/fujikof/

・超独身日記「欲望とか、妄想とか」(『値ぶみカメラ』『征地球論』の脚本・三浦有為子さんのブログ) 
 http://blog.livedoor.jp/oui0214/archives/51395059.html

(情報協力:藤子不二雄ML)




※9月には『T・Pぼん』のスペシャル版単行本が発売されるとの情報もちらほらと聞こえています。どんな内容になるか詳細が発表されるのが楽しみです。