藤子・F・不二雄先生とベトナム

 ベトナムで販売されているドラえもんのCampusノートをいただきました。
 
 ありがとうございます!

 ベトナムといえば、藤子・F・不二雄先生が最後に行った外国がベトナムだったことを思い出します。
 F先生は、1995年12月に入院したさい、お医者さんから「もし何かやっておきたいことがあれば、今だったら無理してでもできるから」と言われ、翌年1月にベトナムへ出発しました。

 なぜベトナムを行き先に選んだのか。
 ベトナムでは1992年からキムドン社が海賊版の『ドラえもん』を売り始めました。海賊版だけで1000万部も売れたそうです。しかし、海賊版がそんなふうに流通してしまっているのは、もちろん大問題です。小学館とキムドン社の交渉によって、それまでに売れた海賊版ドラえもん』の著作権料に相当する金額(10億ドン→約1000万円)をキムドン社が支払う、というかたちで話がつきそうでした。

 ところが、F先生はその話を断り、お金はベトナムの子どもたちのために使ってほしい、と希望したのです。
 そのお金を元手に「ドラえもん教育支援基金」が発足することになり、F先生がベトナムを訪れたとき調印式がおこなわれました。
「一人でも多くの子どもたちが教育を受ける機会を」というF先生の願いから、この基金は、才能があるのに貧困のため学校へ行けない子どもや少数民族の子どもへの奨学金をはじめ、児童生徒による優れた文学・美術作品への賞金などに使われる、ということです。
 ベトナムを訪れたF先生は、ベトナムの子どもたちから「先生は四次元ポケットを持っていますか?」「ジャイアンのように歌ってください」(大意)などと質問や要望を向けられていました(笑)


 F先生がベトナムを選んだ理由は以上のようなものでしたが、先生は映画『インドシナ』『ラマン』などを観ていたので、それもベトナムに行きたかった理由ではないか、とF先生の奥さまがおっしゃっています。『インドシナ』には、ベトナム世界遺産に登録されているハロン湾の風景が登場します。