『昭和偉人伝 藤子・F・不二雄』放送

 18日(水)BS朝日で『昭和偉人伝 藤子・F・不二雄』が放送されました。


 えびはら武司先生、田中道明先生、むぎわらしんたろうさんと元アシスタント3名の証言を軸に構成された場面が多く、その3名から、F先生の資料活用術、構図、コマ割り、テンポ、作劇などが語られました。F先生のマンガ執筆の現場を実際に見、実際に手伝った方々だからこその貴重な証言です。こうしてF先生の表現技法にスポットを当てたところに、まずこの番組の魅力を感じました。


 番組の序盤、田中先生やえびはら先生から、マンガに対して常にストイックだったF先生のエピソードが語られるくだりで、すでに私の胸に熱いものが込み上げてきました。
 F先生が使った鉛筆に翌朝さわると、表面がオイルを塗ったようにぬるぬるしていて、自分の指紋が写るほどだった……。その鉛筆に触れた田中先生は「本当に命を削って描いているんだ」と感じたそうです。
 えびはら先生は、藤子スタジオでの部屋の引っ越しのエピソードを披露されました。F先生は机が移動させられる途中でも執筆作業を休まず続けていたとか。また、パイプを吸うのは執筆中の楽しみで、タバコと違って手を使わずに吸い続けられるのが合理的。ベレー帽もオシャレというより執筆中に前髪が垂れ下がってくるのを抑える役目だったのでこれも合理的、といった話も興味深かったです。


 後半には数々の映画ドラえもんを手掛けた芝山努監督も登場! 監督のF先生への敬意が伝わってきて目がうるみました。
ドラえもん』がベトナムで愛されていることに対しF先生が「ドラえもんも幸せですけど、私も幸せです」と語っておられる映像も、久々に観て感涙。この発言が、先生の亡くなった年のものであったことを思うとなおさらです。


 番組のエンディングで、高岡市の「おとぎの森公園ドラえもんの空き地」で園児たちが好きなひみつ道具を挙げていました。ビッグライト、スモールライト、どこでもドア、かべハウス(かべ紙ハウスのこと)といった道具が挙げられるなか、インタビューを受けていない園児から「時限バカ弾!」という叫び声が聞こえてきました。珍プレーだけどナイスプレーです(笑)


 同番組は、BS朝日で来年1月15日にも再放送されます。テレ朝チャンネル1では、今月26日、29日、30日に放送予定。
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