新種の恐竜の足跡化石に「のび太」の名が!

「中国・四川省で発見された新種の肉食恐竜の足跡化石にのび太の名前がつけられた」というニュースが報じられています。7月6日に中国のメディアで報じられているとの情報を見かけたのですが、8日になって日本の各メディアで大きく報じられ、さらに『ドラえもん』の公式サイトや藤子・F・不二雄ミュージアムの公式ブログでもこの件が取り上げられ、盛り上がりを見せています。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/668673133c6cecda763366eb0560a27f67ec5b96

https://www.asahi.com/articles/ASP764KGSP72PLBJ002.html

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000221822.html

https://dora-world.com/contents/1969

http://fujiko-museum.com/blog/?p=30621/

 

 

 2021年7月、国際的な学術誌「古地理学雑誌 Journal of Paleogeography」に中国地質大学のシン・リーター(邢立達)准教授らの論文が公開されました。「中国四川省白亜紀前期足跡化石の新種エウブロンテス・ノビタイの報告と竜盤類恐竜の足跡化石について」が論文のタイトルです。

 論文タイトルのなかに「エウブロンテス・ノビタイ」という語がありますが、これが、このたび名づけられた新種の恐竜足跡化石の学名でして、 「ノビタイ」の部分がのび太に由来するネーミングなのだそうです。

 化石の学名はラテン語で表記されます。ラテン語の接尾辞「i」は人名を示し、のび太の名に「i」をつけることで「ノビタイ」ということになったのです。

 

 この論文を執筆したシン准教授は大のドラえもんファン。足跡化石にのび太の名をつけたことについてインタビューを受けたシン准教授は「のび太くんの願いを一つかなえてあげたいと思いました」と語っています。「去年公開の映画でのび太が恐竜に自分の名前をつけたのを見て、夢を実現させてあげたいと考えました」とのコメントも紹介されています。

 シン准教授が挙げた「去年公開の映画」とは、もちろん『のび太の新恐竜』のことです。この映画のなかでのび太は、どうやら新種と思われる双子の恐竜に「ノビサウルス」という種名を与えました。シン准教授は、そのシーンを観てのび太の願いをかなえてあげたいと思い、このたび新種の恐竜の足跡化石にのび太の名前をつけたのです。

 

 シン准教授はこんなメッセージも発表しています。

のび太ドラえもんは多くの中国の子どもたちにとって非常に大きな存在です。『ドラえもん』は想像力、好奇心、そして優しさにあふれた作品で、私にとってもかけがえのない楽しい子ども時代の思い出です。感謝の気持ちをこめて、新発見のこの化石に「のび太」の名前をつけました。」

 

 なんとステキな『ドラえもん』愛でしょう!『ドラえもん』ファンの鏡ですね。

 今回シン准教授がおこなったことは、歴史に残るオマージュ行為、偉大なる推し活だと思います。

 おかげで、のび太くんは大喜びだろうし、天国の藤子・F・不二雄先生も驚きと喜びを噛みしめつつ名誉に感じておられることでしょう。

 もちろん、私もうれしいです。

ドラえもん』の大ファンで大人になって恐竜の研究者となったシン准教授が、『ドラえもん』の作者で恐竜愛好家である藤子F先生に対し、『ドラえもん』と恐竜を学術的に結びつけることで恩返しをした……。そういう関係性に思いをいたすと、ますますうれしさが膨らみ、感慨が深まります。

 

 シン准教授が足跡化石にのび太の名前をつけた直接的な動機に映画『のび太の新恐竜』がかかわっていることも、個人的にうれしいポイントです。私は『のび太の新恐竜』公開当時、この映画を大いに楽しみ、見るべきところの多い恐竜映画としていろいろ考察したくなったりもして、当ブログで感想・考察をたっぷりと書きました。

 ですから、恐竜の足跡化石にのび太の名前がつけられたきっかけに『のび太の新恐竜』があったことに喜びを感じるのです。

 

「エウブロンテス・ノビタイ」がどんな恐竜か気になるところですが、こちらの記事などでわかりやすく書かれています。

・HugKum『「やったね、ドラえもん!」新種の恐竜化石の学名に「のび太」が採用された!』(2021.7.8)

 https://hugkum.sho.jp/255723

 

 

「エウブロンテス・ノビタイ」の足跡化石のレプリカが11月から東京上野の国立科学博物館で展示予定、ということも告知されています。藤子・F・不二雄ミュージアムでも展示されるようです。

 

 

 シン准教授、ほんとうにありがとうございました!