12月17日発売「My First BIG Special ドラえもんまんがセレクション『のび太の宇宙小戦争2021』再始動!スペシャル」を読みました。
この本の前半には、「熱中!!! ホビーセレクション」と題して『ドラえもん』の“ホビー”関連の話が集められています。『のび太の宇宙小戦争』にスネ夫のラジコンやジオラマ模型、しずちゃんのぬいぐるみや人形のコレクションなどが出てくるのにちなんだセレクションです。
キャラクター商品、プラモ、ぬいぐるみ、ジオラマ、コレクション、ラジコン、特撮……。この手の話を一気にまとめて読むと、やはりスネ夫の自慢シーンに高い頻度で遭遇するし、そのシーンが印象に残りやすいです。『ドラえもん』においてホビー話を牽引しているのはスネ夫だなとあらためて感じさせられます。
そうした、ホビーをテーマにした話では、そのホビーにハマっていない一般人目線の意見を単刀直入にぶつける役割を、ドラえもんがよく担当しています。
たとえば、「キャラクター商品注文機」では、キャラクター商品を収集する友達をうらやましがるのび太に対し、ドラえもんは毅然とした表情でこう言います。
「そんなものたくさんあつめたからえらいってもんじゃない」
また、「ブラモが大脱走」では、早朝から列に並んだのにバンダムのプラモを買えず「バンダムのプラモ出してえ」と泣きついてきたのび太に対し、
「朝っぱらからくだらない!」
と言ってその場を去っていきます。
そして、バンダムのプラモを何体も入手した友達をうらやむのび太に対し、
「あのなあ、人が持ってるからほしいとか、流行におどらされるなんてのはバカ者の……」
と説教します。(が、その説教が終わらぬうちにドラえもんもその流行に踊らされ始めます・笑)
「超リアル・ジオラマ作戦」では、本格的なジオラマづくりをするスネ夫をうらやんだのび太が「スネ夫をあっといわせたい」とドラえもんに泣きつきます。
「プラモなんて好きなように楽しんでつくれば、それでいいんじゃないの」
と、やれやれといった表情で言います。
そんなふうに、何らかの趣味に熱中・熱狂する人(趣味人、コレクター、オタク、推し活する人など)に対し、その外部の常識人が抱きがちな正論めいた意見をバシッとぶつける役回りを、ドラえもんがよく担っているわけです。
趣味に熱中・熱狂している人を傍から見たときのおかしさを、ちょっぴり相対化する効果がありますね。
でも、そんな言葉だけでのび太の(趣味人の)熱を止められるわけもありません。
私も趣味に熱中・熱狂する側の人間ですから、傍から見れば、逸脱しているところ、呆れられるところ、無価値に思えることに執着しているところなど多々あるだろう…と自己客観視はしています。客観視しつつも、自分のなかにたぎる熱を止めるつもりはありません。というか、自力では止められません(笑)