2日(金)のアニメ『ドラえもん』は「スネ夫誕生月スペシャル!」。「アトカラホントスピーカー」と「大ピンチ!スネ夫の答案」を放送した。
■「アトカラホントスピーカー」(てんとう虫コミックス37巻)
本作に出てくるひみつ道具は、原作では「アトカラホント」という名のスピーカーだが、今回のアニメでは「アトカラホントスピーカー」と“スピーカー”までが名称に含まれた。
このひみつ道具を使って嘘を喋ると、その嘘があとから本当になる。そんな“嘘が本当になる”系のひみつ道具は『ドラえもん』に幾種も登場していて、それぞれの道具によって機能・効果が微妙に違っているのが面白い。
ここで、主な“嘘が本当になる”系ひみつ道具を簡単に比較対照してみたい。
●うそつ機(てんコミ3巻「うそつ機」より)
これで嘘をつくと、その嘘を聞いた人が本気にする。
●ソノウソホント(てんコミ4巻「ソノウソホント」より)
これで嘘をつくと、その嘘が本当になる。
●ウソ800(てんコミ7巻「帰ってきたドラえもん」より)
これを飲んで何か言うと、言ったことが嘘になる
●ハリ千本バッジ(てんコミ10巻「ハリ千本ノマス」より)
これを付けて誰かに嘘をつかれると、嘘をついた相手がその嘘を本当にしなくてはならなくなる。
●アトカラホント(てんコミ37巻「アトカラホントスピーカー」より)
これで嘘をつくと、その嘘があとから本当になる。
ソノウソホントが、もっともストレートな“嘘が本当になる”ひみつ道具で、ウソ800はその反対に、本当が嘘になるひみつ道具と言えそうだ。
うそつ機は、嘘が本当になるまでは行かないが、嘘を聞いた人が本気で信じてしまうことで、嘘が本当に限りなく接近する。ハリ千本バッジになると、嘘をつく主体がひみつ道具を使う側ではなくなってしまう。
こうして比較してみると、嘘と本当の関係、嘘をつく側とつかれる側の関係が、そのひみつ道具によって少しずつ入れ替わったりズレたりしているのがよく分かって興味深い。
■「大ピンチ!スネ夫の答案」(てんとう虫コミックス28巻)
私は、ジャイアンがテストで15点をとって、のび太が「思ったりよかった」と言いながら10点しかとっていなった、というくだりが大好きで、今日のアニメでもジャイアンが「15点」と言ったところでくすりと笑ってしまった。
本作では、せっかく100点をとったのにジャイアンの機嫌を慮って堂々と自慢できなくなったスネ夫が、それでも何とか自分の答案を見てもらうため、のび太とジャイアンの覗き見欲求を煽り、彼らのほうから答案を見に行くよう仕向ける作戦をとる。そのため、スネ夫にとっては、のび太とジャイアンが覗き見行為に走ってくれることがありがたく、覗き見行為を反省し改心されてしまうとまずいことになるのだった。
ここでは、スネ夫の恥部を暴いてバカにしてやろう・覗き見欲求を満たしてやろうという、いわば不道徳・不健全な行為が歓迎され、そういう行為を反省し改心するという、道徳的・健全なふるまいがスネ夫の目的を阻害することになるわけで、そんな“望まれる行動”と“望まれない行動”の転倒ぶりが面白い。その転倒ぶりはオチにまで徹底され、ドラえもん・のび太・ジャイアンによるスネ夫への大きな親切が、スネ夫にとって最悪の結果をもたらすのである。
※この2月・3月に発売予定の『ドラえもん』関連コミックスの情報
●2月27日
・てんとう虫コミックスアニメ版『TVアニメ ドラえもん』1巻(580円)
・てんとう虫コミックスアニメ版『TVアニメ ドラえもん』2巻(580円)
・てんとう虫コミックス『のび太の魔界大冒険 ストラップ付』(500円)
●3月1日
・ぴっかぴかコミックス『ドラえもん』15巻(300円)
●3月10日
・てんとう虫コミックススペシャル『のび太の新魔界大冒険』(まんが:岡田康則/480円)
[情報元]
・ユメかんとくいす
http://plaza.rakuten.co.jp/odoodosuneo/diary/200702010003/
・s-book.com
http://www.s-book.com/comics/index.html
『TVアニメ ドラえもん』は、テレビ放映された“わさドラ”の映像をマンガ風にコマ割りしたものだろうか。
『魔界大冒険ストラップ付き』のように、既存の単行本にオマケを付けて販売するというのは、昨年の『のび太の恐竜』でもあった。『のび太の恐竜』のときはバッジだった。