伊賀へ行ってきた

 三重県の伊賀へ行ってきた。
 藤子ファン目線で伊賀のイメージを言うなら、これはもう何といっても“忍者ハットリくんのふるさと”である。前日には、プレステ2で忍者ハットリくんのパチンコゲームをやり、映画『ニンニンふるさと大作戦』(昭和58年公開)を観、藤子不二雄A先生が描いた原作マンガ『ニンニンふるさと大作戦』(月刊コロコロコミック昭和58年1月号〜4月号)を読んで、「あした伊賀へ行くんだ!」という気分を盛り上げた。



『ニンニンふるさと大作戦』の前半でハットリくん一行が東京から伊賀の里へ向かうシーンが見られるが、私もそのシーンを心に浮かべながら伊賀を目指した。といっても、ハットリくん一行が新幹線で名古屋まで移動しJR関西本線(当時は国鉄)に乗り換えて伊賀上野駅へ、そこから原作マンガでは近鉄伊賀線、映画ではバスに乗って行ったのに対し、こちらは名古屋の隣の春日井から伊賀までずっと自動車だった。車のなかでは延々とCD『忍者ハットリくん全曲集』を流し、『伊賀か甲賀か、甲賀か伊賀か』という曲が巡ってくると異様に気分が高揚した。渋滞などあって、伊賀まで3時間近くかかってしまった。
 伊賀に着いて真っ先に訪れたのは伊賀上野駅である。映画『ニンニンふるさと大作戦』に登場するスポットで、JR関西本線近鉄伊賀線の駅が一緒になっている。映画で観た駅の風景を思い出しながら現実の駅と比べてみると、映画は現実の駅をけっこう忠実に描いていたのだなあ、と感じられた。映画でハットリくん一行がバスに乗り込む位置(バス乗り場)は、実際はタクシー乗り場だった。
 駅からそう遠くないところを服部川という川が流れていてムードを高めてくれた。
   



 伊賀上野駅から、伊賀の観光スポットの要である上野公園へ移動。上野公園では、まず伊賀流忍者博物館へ入った。この施設は原作マンガの『ニンニンふるさと大作戦』で1コマだけ描かれている*1伊賀流忍者博物館の入口付近には、この博物館内で忍者ショーを実演している忍者2人が香取慎吾主演の実写映画『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』公開をPRするため日刊スポーツやサンケイスポーツなどの事務所を訪問した…という新聞記事がボードに貼ってあった。このボードには、忍者ショーの忍者たちが有名人と絡んだときの写真がべたべたと貼ってあり、たとえば、ビートたけしの番組に出演したり、中森明菜にヌンチャクを教えたりする場面があった。
  


 伊賀流忍者博物館内には、伊賀の別の場所から移築したという本物の忍者屋敷が建っている。靴を脱いで屋敷に上がり、ピンク色の忍者コスチュームを着たガイドさんの説明を聞きながら屋敷内を巡った。一見どうということはない襖や壁が回転して向こう側へ隠れられる「どんでん返し」をはじめ、地下道へ抜ける秘密の扉や、通常は単なる棚にしか見えない梯子、床板をてこの原理で開けるとその下から刀を取り出せる「刀隠し」など、いろいろなからくりがあって楽しい。
 忍者屋敷の次に、手裏剣やまきびしなど忍者の使う道具が展示してあるスペースへ移る。テレビアニメ『忍者ハットリくん』のオープニングでハットリくんが乗っている水蜘蛛が置いてあって上に乗れるようになっていたので、私も申し訳程度に乗っておいた。この道具でハットリくんは水の上をアメンボのようにスイスイと進むが、実際は水ではなく泥の上を進むのに使ったのだそうだ。
 忍者関連の図書が並ぶ書棚もあった。忍者をネタにしたマンガ単行本が結構あって、白土三平の各種作品や『忍たま乱太郎』関連の本を中心に、横山光輝伊賀の影丸』から岸本斉史NARUTO』までいろいろと見つかった。私が最も探し出したかったのはもちろん『忍者ハットリくん』だが、ざっと見回したところ『忍者ハットリくん』の単行本が見あたらない。「そんなはずはないだろう」と思いつつ丹念に見ていったら、書棚の一番隅っこにぴっかぴかコミックスの『忍者ハットリくん』1巻〜4巻がひっそりと並んでいた。
 伊賀流忍者博物館のお土産として、手裏剣&忍者刀のキーホルダーや半蔵くんタオルハンカチを購入。忍者ハットリくんの先祖であり実在した人物である服部半蔵まで「半蔵くん」とキャラクター化されているのが面白い。
         


 上野公園では、伊賀流忍者博物館ほか、伊賀上野城にも入った。この城も、原作マンガの『ニンニンふるさと大作戦』で一コマだけ紹介されている。天守閣からの眺めがすばらしかった。松尾芭蕉生誕300年を記念して建設された俳聖殿を外から眺めたりもした。伊賀は、松尾芭蕉の生誕地でもあるのだ。

*1:マンガのなかでは「伊賀忍者屋敷」とあるが、平成10年に「伊賀流忍者博物館」と改称された。