てんコミ新装版『ウメ星デンカ』3巻、『新オバケのQ太郎』1巻発売

 
 4月27日(金)、てんとう虫コミックス新装版『ウメ星デンカ』3巻と『新オバケのQ太郎』1巻が発売されました。
 

 
 
 『ウメ星デンカ』はこれで完結です。ウメ星再建のため、とぼけているけれど涙ぐましい努力を重ねてきたウメ星国王一家ですが、その悲願がいよいよ達成されることに!? 
 「作者のことば」の欄で、ゴンスケについてこう書かれています。「「ウメ星…」の登場人物が皆好人物すぎるので、アクセントとしてゲスト出演させました」
 お人好しだったりノーマルだったりするキャラクターの多い『ウメ星デンカ』の世界にあって、ゴンスケの個性は非常に強烈です。3巻におけるゴンスケの存在感は主役級じゃないか…と思えるほど。そのゴンスケと、これまたアクの強いナラ子が意気投合する話(「ゴンスケ対ナラ子」)があって、無敵無双感があふれんばかりです(笑)
 超お人好しの王さまから「生意気でごうじょうでにくたらしくて…」と言われてしまうくらいクセのあるゴンスケですが、3巻では彼のデリケートさ(「学校は楽しいナ」)や愛情の深さ(「ゴンスケ子守歌」)が見られたりもします。


 アクの強さではゴンスケが圧倒的な存在感を発揮していますが、私が3巻を読んだなかで最も笑わせてくれたのはウメ星国王(以下、王さま)です。宇宙人だから地球人の常識からズレていて、王族なので庶民の感覚からもズレていて、そのうえ超お人好し……という点では、お妃さまもデンカも同タイプですが、そのズレっぷりやお人好しっぷりの言動で最も笑わせてくれたのは王さまなのです。むろん王さまは意図的におかしな行動を取るのではありません。天然キャラ的におかしさを生み出すのです。
 3巻で王さまに笑わせてもらった場面をちょっと挙げてみます。


●「ウメ星建設用地」:ベニショーガから「一大事でござります」と報告を受けたとたん、何が一大事かわかる前に「それは大変だぞよ」と大慌てで跳びあがり、「一大事だぞよ。荷物をまとめてにげるぞよ」と大騒ぎする王さま。それなのにベニショーガから「まあ落ち着いてくだされ」とひとこと宥められた瞬間、「では落ち着くぞよ」と簡単にくつろぎだす。この単純明快で単刀直入な素直さが愉快です。


●「王者の威厳」:ゴンスケに一時間もトイレを待たされ、ぴょんぴょん跳ねたり階段を駆け上がったり椅子の背もたれで片手逆立ちをしたりしてトイレを我慢する様子がアクロバティックで面白いです。ようやくトイレで用を足せたあと、「スカッとさわやかだぞよ エヘラエヘラ」とゴンスケに怒りもせず無邪気に喜ぶさまは、王さまのお人好しっぷりが満開!


●「デートなされませ」:中村家の庭で野球ごっこをするナラ子とゴンスケ。ナラ子が投げてゴンスケが打ったボーリング球が王さまの口まで飛んでいってズボッとはまってしまう。そのおかげで王さまの口がビロ〜ンと伸びてひどいことに。ウメ星においては最高の権力者であり権威者であった王さまなのに、ここではなんたる被害者キャラでしょう…。気の毒に思いつつも、口が伸びてしまった顔に笑いを誘われます。
 そして、ゴンスケとナラ子が家から外出してくれるとわかったとき、王さまは「今日を国民の祝日にしよう」と大喜びします。王さまはやたらと勲章を授けたがるキャラクターですが、「今日を国民の祝日にしよう」というのも王さまの立場ならではの発想です。さりげなく王さまセンスがにじむこのセリフにクスッとしました。



 
 
 新装版『新オバケのQ太郎』のカバーデザインは背景に写真を使っていて、じつに目に鮮やかです。中身は紛う方なき傑作ぞろい!!
 『新オバケのQ太郎』刊行スタートを記念して、アニメ『新オバケのQ太郎』(1971年〜72年)の主題歌レコードをアップします。
 
 A面にOP主題歌『オバケのQ太郎』、B面にEDの『オバQえかきうた』が収録されています。


 
 レコードと今回のコミックスを並べてみました!
 記憶の限りでは、私が最も早くに出会った藤子先生原作のアニメがこの『新オバケのQ太郎』です。次に『ジャングル黒べえ』に遭遇したはずですが、もしかすると『ジャン黒』が先でその後『新オバQ』を再放送で観た可能性もなきにしもあらず…。幼児期だったので、そのあたりの記憶が曖昧なのです。

 
 大きな夕日をバックに、大勢の子どもたちが遊んでいるこの光景にノスタルジックな魅力を感じます。子どもたちは騎馬を作って競走しているようです。みんなの影がこちら側へ伸び、背景には工場の煙突も見えます。


 『新オバケのQ太郎』については原作マンガも初出誌でリアルタイムで読んだ記憶があります。どの話を読んだかはほとんど忘れているのですが、ひとつだけ憶えているのが「めばえ」1973年1月号に掲載された話(「おもちをやこう」)です。餅を焼いたら餅が膨らんで、その膨らみがしぼんで最後に餅を食べる…という、かわいらしい内容の4ページ・4コマのカラー作品です。現在は、藤子・F・不二雄大全集『新オバQ』4巻で読むことができます。