いよいよ大晦日です。今朝9時からは『大みそかだよ!ドラえもん1時間スペシャル』を観て楽しみました。
「カニ食べたい!」
「ひっこし地図でおひっこし」
「お金なんか大きらい」
「年越しはスペインで」
の4本立て。
カニになったドラえもん&のび太のシュールな姿に笑うところから始まり、スペインでの年越しシーンに見入って終わった感じです。
観終えたあとは、今も大晦日に地上波で『ドラえもん』の特番が放送されている!というその事実をかみしめて、あらためて驚嘆しました。
さて、一年の終わりに際して、今年のうちに“終わり”を迎えたあるものに着目したいと思います。
私が今年9月22日に見かけた光景から話を始めます。
9月22日、京都駅を歩いているとカプセルトイの店があって、ポロンちゃんがズラリと横並びに陳列されているのを見かけました。その壮観でかわいらしい様子につられて、一回まわしてみました。
全5種のうち、出たのはクリームイエローでした😊
そして、少し過去の話になりますが、2022年5月、よく行く書店にポロンちゃんのミニチュアが売っていて1体お迎えしました。
箱入りのランダム商品なので、カプセルトイと同じく開封するまでどの種類が出るかわかりません。
全5種あるなか、出たのはキュートなピンク♪
これらはポロンちゃんのミニチュアですが、今年は本家本元のポロンちゃんに大きなニュースがありました。
■【ローヤル、「おきあがりポロンちゃん」終売を発表 64年の歴史に幕】2024年12月19日
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2412/19/news134.html
ポロンちゃん(正式には、おきあがりポロンちゃん)は、ローヤルが1960年(昭和35年)に発売した子ども用玩具で、とても長いあいだ愛され続けてロングセラー商品となっていましたが、2023年の国内工場の廃業にともなって生産終了が決定。残りわずかとなっていた在庫の最後の出荷が12月18日におこなわれ、これをもって終売となったのです。
藤子ファン目線で見れば、ポロンちゃんはドラえもんのモデルの一つとして重要な存在です。藤子・F・不二雄先生が『ドラえもん誕生』(初出:「コロコロデラックス ドラえもん 藤子不二雄の世界」1978年11月発行)でドラえもんの造形のモデルが「ポロンちゃん×ネコ」と描いたことで、藤子ファンのあいだでポロンちゃんの存在感が格段に増したのです。ドラえもんのあのフォルム、あの体型、あの全体的な丸っこさは、ポロンちゃんの姿から着想されたものだというのですから。
『ドラえもん誕生』で描かれたように、藤本家のポロンちゃんは娘さんの遊び相手でした。とはいえ、それは藤子F先生や奥様が娘さんに買ってあげたものではありません。
ポロンちゃんがどんな経緯で藤本家にやってきて娘さんの遊び相手になったのか。
その答えを、藤子・F・不二雄大全集『オバケのQ太郎』第12巻(2011年7月30日初版第1刷発行)の解説で荒俣宏さんが明かしています。
〈それは藤子・F先生にお嬢さんが誕生したあとのこと、アシスタント数人でお祝いに贈った「起き上がりこぼし」のことである。じつは、その起き上がりこぼしを先生宅まで届けたのは妹だったそうで、頭が丸いオモチャだった。藤子・F先生が新作のアイデア出しに悩んでいる最中、この起き上がりこぼしにふと蹴躓いたのだった。そのとき偶然に見たドラ猫から「ネコ型ロボット」が着想されたという話は有名だ。その贈り主の一人のである彼女は、「あれこそわたしたちがやれた最高の手助けだったのでは」と、今もそう語る。〉
荒俣さんの妹さん、すなわち漫画家の志村みどりさんは、藤子スタジオに在籍し藤子先生のアシスタントをなさっていた時期があります。ドラえもんの造形のモデルになった起き上がり人形(おきあがりポロンちゃん)は、藤子F先生の娘さんが生まれたお祝いとして、アシスタント数人が藤子F先生に贈ったものであり、その起き上がり人形を藤本家に届けたのが志村みどりさんだったのです。
志村さんは「あれこそわたしたちがやれた最高の手助けだったのでは」とおっしゃっているとのこと。志村さんたち数名のアシスタントさんによるポロンちゃんの贈り物がなければドラえもんは誕生しなかったかもしれない……、誕生したとしてもあの体型ではなかったかもしれない……と思えば、それはまさに志村さんの言うとおり歴史的アシストだったといえそうです。
ただ、藤子F先生は娘さんがお生まれになる前からポロンちゃんのことをちゃんとご存じだったようです。
藤子F先生が描いた『とびだせミクロ』の「どうぞうロボット」というお話(初出:「小学一年生」1963年11月号~12月号)に、ポロンちゃんの描かれたコマがあるのです。『とびだせミクロ』連載当時の藤子F先生にはまだ娘さんがいらっしゃらず、ご自宅にポロンちゃんもなかったことでしょう。この時点ではドラえもんというキャラクターは影も形もなかったわけですが、のちに国民的・世界的キャラクターとなるドラえもんのモデルとなるポロンちゃんを藤子F先生がすでに1963年の段階で描いていたというのは心惹かれる事実です。
そんなふうに、藤子ファン的にも重要な存在であるポロンちゃんが終売となってしまったことに、寂しさを感じずにはいられません。
そのうえ私は、藤子ファンになる前からポロンちゃんのお世話になっていたようなので、それを思うとますます寂しさが深まります。
記憶にはまったくありませんが、実家にこういう写真が残っているのです。1968年ごろの写真です。
藤子F先生の娘さんと同じように、私にもポロンちゃんと遊んだ時期があったみたいです。
ポロンちゃん、長いあいだほんとうにありがとう!
当ブログの今年の更新はこれが最後です。当ブログをお読みくださった皆様、ご訪問くださった皆様、ほんとうにありがとうございました。
よい年をお迎えください!来年も藤子な一年にしましょう!!