七夕

 一昨日(7月7日・日)は七夕でした。

 七夕だからといって何か七夕らしいことをやれたわけではありませんが、七夕になるたびにどうしてもこの願い事を思い出してしまいます(笑)

f:id:koikesan:20150705133259j:plain

 「りこうになりたい」 

 写真は4年前に藤子・F・不二雄ミュージアムで撮ったもので、この短冊を書いたのはミュージアムに来館されたお客さんだと思いますが、この「りこうになりたい」という願い事を短冊に記したオリジナルの人物はのび太です。

 『ドラえもん』の「あべこべ惑星」(てんコミ17巻)にこの短冊が登場します。のび太は、いつもみんなにバカだバカだと言われるから利口になれるよう星に願いをかけるため短冊に「りこうになりたい」と書き、七夕飾りを作ろうとしたのですが、竹がなかったので釣り竿に短冊を吊るして祈りを捧げたのでした。

 それを聞いたドラえもんは「あほらしいというか、いじらしいというか」と呆れます。のび太にとってそれはまことに切実な願い事ですが、「りこうになりたい」と書いた短冊を釣り竿に吊るして大真面目に祈りを捧げる行為を見ると、ドラえもんが言ったように、まさにあほらしさといじらしさが入り混じって感じられ、呆れながらも同情したくなります。とともに、私も年齢を重ねて物覚えは悪くなったし、思考力・判断力なども鈍ってきた感があるので、のび太と一緒に「りこうになりたい」と星に願いたくなります(笑)

 

  七夕といえば、天の川の両岸に隔てられて離れ離れになってしまった織姫と彦星が、一年に一度だけ天の川を渡って会うことが許された日です。

 天の川といって真っ先に思い出すのが、『ドラえもん』の「天の川鉄道の夜」(てんコミ20巻)です。天の川鉄道とはSL型の宇宙船でして、宇宙空間で運行されている旅客列車のようなものです。この天の川鉄道のアイデアは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』から発想されたものでしょうし、車掌さんの姿も含めて松本零士先生の『銀河鉄道999』のパロディにもなっています。

 “天の川鉄道”というネーミングも、“銀河鉄道”を元にした連想でしょう。宇宙に無数に存在する銀河の中でわれわれの暮らす地球を含んだ銀河のことを“天の川銀河”と呼びますから、そんなところから“銀河鉄道→天の川鉄道”と連想されたのではないでしょうか。

 そしてもう一つ、“大井川鐵道”も天の川鉄道のネーミングに影響を及ぼしていると思います。「天の川鉄道の夜」の冒頭で、スネ夫が「SLはよかったなあ…………。でも、もうすっかりすたれちゃって、日本ではあそこでしかのれないんだ」とSLに乗ってきたことを皆に自慢するのですが、当時廃れゆくばかりだったSLを実際に走らせていたのが大井川鐵道だったのです。「天の川銀河の夜」が発表された当時(初出:「てれびくん」1980年2月号)、大井川鐵道以外にSLを平常運行していた路線があったかどうか私は知りませんが、私が子どもの頃は「SLが現役で走っているといえば大井川鐵道!」というイメージだったのです。(現在も大井川鐵道はSLを営業運転しています)

 単に「川」だけのつながりではありますが、藤子F先生が天の川鉄道と名付けるさいに大井川鐵道を意識されていたのだろうな、と考えられるのです。

 

 と、そんなこと思った今年の七夕でした(笑)