見立ての世界

 名古屋栄三越で開催されていた「MINIATURE LIFE展 2019 ~田中達也 見立ての世界~」に行ってきました。6月29日(土)のことです。翌日で会期が終了だったので、ギリギリ間に合ってよかったです。

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 田中達也さんはNHKの朝ドラ『ひよっこ』のタイトルバックなどを担当されたミニチュア写真家。この展覧会では、田中さんが生み出した数多くの写真作品が展示され、さらに、実際のミニチュア作品もところどころに置かれていて、見立ての面白さ・凄さをぞんぶんに味わえるものでした。

 日ごろ見慣れた道具や食品がこんな情景になるんだ!という驚きをたっぷりと感じられました。そして、ありふれた日用品が本来の用途とはまるで異なる情景になってみれば、それはそれでちゃんと馴染んでいるという、その不思議さも楽しめました。

 会場内は写真作品もミニチュア現物もすべて撮影OKでしたが、以下にアップする写真はミニチュア現物を私が撮ったものばかりです。平面の写真作品よりも立体的なミニチュア現物を撮影するほうが、個人的に楽しかったのです(笑)

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 今こうして写真で見返しても楽しい気持ちがわいてきます。
 

  作品につけられたタイトルがシャレっ気たっぷりなのもまた魅力的でした。タイトルを見た瞬間、ニヤリとしたり感心したりするなんてことがたびたびありました。たとえば、こんなタイトル。

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・「吸水性の良い土地」

 

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・「芯シティ」

 

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・「リアルなメモ=メモリアル」

 

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・「計算された浴室設計」

 

 こうしたシャレっ気、ダジャレセンスは藤子先生にも通ずるものがあるなあ…と少し思ったりもしました(笑)

 

  この展覧会では、上述のとおり、日常の品を風景に見立てた作品が数多く展示されていたわけですが、そこでパッと思い出した藤子マンガがあります。

 藤子不二雄Ⓐ先生の『まんが道』あすなろ編です。

 その作中に、こんなシーンがあるのです。

 満賀道雄才野茂が新作の長編科学空想マンガ『ユートピア』に着手したときのこと。満賀が地球連邦の首都ユートピアの風景を描くことになりました。超近代的なビルの建ち並ぶすばらしい未来都市です。そんな風景をどう描けばよいか悩んだ満賀は、手に持った鉛筆を見てひらめきます。机の上にあるさまざまな文房具を目の前に立てて、それをモデルに未来都市の風景を描きだしたのです。

 鉛筆やコンパスや筆やペンや三角定規や消しゴムや墨汁の瓶といったマンガ執筆用の道具たちが、未来都市の建造物群に見立てられたわけです。

 いつも使っている日常的な品々を風景に見立てる…という意味で、田中達也さんの手法に近いものを感じます。