北海道のさとちゃんさんからお贈りいただいた『まんが道』ジオラマ(トキワ荘14号室で語り合う満賀道雄と才野茂)をこの前紹介しました。
https://koikesan.hatenablog.com/entry/2020/11/18/183805
これが我が家に届いて以降、自分の部屋のなかにトキワ荘の一室が奇跡的にパッと出現したような不思議な感動をおぼえ、このジオラマをたびたび覗き込んでは陶然としています。
満賀と才野は何を話しているんだろう? 漫画のアイデアのこと? 手塚先生のこと?仲間たちのこと? 面白かった映画のこと? ンマイもののこと? それとも、隣の美人姉妹のこと?
などと思わずあれこれと妄想をめぐらせてしまいます(笑)
この細密さ!このこだわり!この再現度!
新書判コミックスやコーヒー缶と比べてこのサイズのジオラマですから、いかに数々の小道具が緻密に作られ、『まんが道』で描かれたトキワ荘14号室内の情景がディテール豊かに立体化されているかおわかりいただけることでしょう。
2人がお茶を飲みながら食べているお菓子は、揚げ小丸です。「漫画少年」休刊を知ってショックを受け落ち込んでいた2人でしたが、お茶を飲んで揚げ小丸を食べながら言葉を交わしているうちに、だんだん気分が晴れてきます。
さとちゃんさんは『まんが道』ジオラマといっしょに、こんなフィギュアもお贈りくださいました!
テラさんの「ばかっ!!」フィギュアです!!
夏休みをとって1年半ぶりに高岡に帰省した満賀道雄と才野茂は、実家に着いてホッとしとたん、それまで仕事をやりすぎていた反動ですっかりネジがゆるんで頭も手も働かなくなり、仕事を進められなくなってしまいました。しかし締切りは迫ります。
いくつもの仕事を抱えていた2人のもとに、各出版社から催促の電報が次々と舞い込みました。2人はなんとかしようとあがいたものの、ほとんどの原稿を間に合わせることができませんでした。
原稿を大量に落としてしまったのです。
「ゲンコウオクルニオヨバス ヨソへタノンダ」なんていう電報が届き、その後は毎日届いていた電報がバタッとこなくなり、すべては終わってしまいました。
「台風が過ぎ去ったあとには、電報の束が残った!」というナレーションが痛切で印象的です。
自分らはもう漫画家としてダメだろう、もう東京へ戻れない……と絶望的な心境に追い詰められたとき、2人のところにトキワ荘のテラさんから手紙が届きます。
トキワ荘へ戻ってこい、という内容でした。その手紙の一文「貴君たちの家はトキワ荘です」は至言です。
友情のこもった手紙に、満賀と才野は泣きました。
テラさんの熱く親身な手紙に励まされ、満賀と才野は、もうカムバックは無理かもしれないけれど関係者に誠心誠意謝って回ろうと再び上京します。
トキワ荘へ戻った満賀と才野から漫画家を続けるのをあきらめる…なんて話を聞いたテラさんは、すかさず「ばかっ‼」と2人を叱りました。続けて、熱烈で真摯な叱咤激励の言葉を向けてくれました。
そのおかげで、満賀と才野は再起に向けてがんばろうと決心することができたのです。
私は、テラさんの「ばかっ!!」に大きな愛情とエネルギーを感じました。
何かをあきらめそうになったとき、後ろ向きの気持ちになったとき、私もこのテラさんフィギュアに喝を入れてもらいたいです。
さとちゃんさんがお贈りくださった自作フィギュアは、なんともう一体あります!
仮面太郎です!
公式グッズとしてはそうやすやすと立体化されそうにない藤子Ⓐキャラのひとつですし、個人的に思い入れのある作品とあって、これをお贈りいただけて大感激です。
『仮面太郎』は、藤子不二雄Ⓐ先生の仮面趣味が横溢した作品で、“仮面”のもつ不思議な魅力と“顔”をめぐる悲喜劇を描いた奇妙なギャグマンガです。表の顔に隠された人間の本性に関心が寄せられています。
主人公の仮面太郎は、常に仮面をつけて生活する謎めいた少年です。彼が通常つけているピエロの仮面は、いつも笑顔なのにいつも涙をこぼしています。その両面性をまとった仮面の表情から、生身の仮面太郎の内面にひそむ道化の精神と底知れぬ悲しみがにじみ出ているようです。