『藤子不二雄Aファンはここにいる』第2弾を出します!

 9月に拙著『藤子不二雄Aファンはここにいる Book1 座談会編』を社会評論社から上梓させていただきました。お買い上げくださった方、読んでくださった方、感想やレビューを書いてくださった方、ほんとうにありがとうございました。
 おかげさまで、『藤子不二雄Aファンはここにいる』の第2弾を刊行できることになりましたので、ここで報告させていただきます。



■書名:『藤子不二雄Aファンはここにいる Book2 Aマンガ論序説編』
■著者:稲垣高広(koikesanの本名です)
■出版社:社会評論社
■ページ数:384ページ
■価格:1900円(税別)
■発売日:12月前半ごろ


 前の『Book1 座談会編』は、7人の藤子Aファンによる座談会形式で藤子A作品について論じあうものでした。それに対し『Book2 Aマンガ論序説編』は、私1人で1冊すべてを書いています。全300ページほどの予定で書きすすめていたのですが、結果的に384ページのボリュームになりました^^ 



 目次は、以下の通りです。


序文


第一章 藤子不二雄Aギャグの世界
藤子不二雄ギャグマンガ概論―一九六四年からのギャグマンガ道―
・『忍者ハットリくん』と『怪物くん』―藤子A二大メジャーギャグマンガのおかしみと人情味―
・『黒ベエ』―影の男の意地悪趣味―
・『仮面太郎』―仮面と顔面への執着―
・『マボロシ太夫』―その奇妙で滑稽でシュールな笑いの世界―


第二章 藤子不二雄A自伝的な世界
・『まんが道』―自伝的虚構が内包する篤実な力―
・『少年時代』―子どもたちの葛藤と権力闘争の日々―
・『夢トンネル』―過去から学ぶための時間旅行―


第三章 藤子不二雄Aブラックユーモアの世界
藤子不二雄Aブラックユーモア短編概説―奇妙な味のクロニクル―
・『黒イせぇるすまん』―友情を売るメフィストフェレス
・『ひっとらぁ伯父サン』―日常に闖入した奇妙なファシスト
・『マグリットの石』―空に浮かぶ岩石の異郷送り―
・『水中花』―水槽のなかの怪しく美しい世界―
・『赤紙きたる』―ある日突然召集令状が届いたら―


第四章 藤子不二雄Aマンガの精神
藤子不二雄Aマンガ《強者と弱者の二元論》
藤子不二雄Aマンガ《あすなろの精神》
藤子不二雄Aマンガ《ダメ少年の系譜》


おわりに



 藤子Aマンガを全般的に論じようという場合、デビュー時の作品から最近作まで年代順かつ網羅的に論じていくという方法がまず思い浮かびますが、その方法はすでにマンガ評論家の米沢嘉博さんが『藤子不二雄論 FとAの方程式』でやっておられますし、今の私は、自分が論じたい作品・論じるべきだと思う作品を掘り下げて充分に論じたいという欲求を高めつつあるので、本書では、膨大に存在する藤子A作品の中からいくつかの作品を選んで、それを文題に掲げて論じる、という方法をとることにしました。


 藤子Aマンガの全体を愛好する私にとって、論じる作品を絞り込む作業はかなり悩ましいものでしたが、まず論じる対象を「ギャグマンガ」「自伝的マンガ」「ブラックユーモア短編」の3つのジャンルに絞り、そのジャンルの中から、それぞれ数作ずつ作品を選んでいきました。「ギャグマンガ」と「ブラックユーモア短編」については、そのジャンルの全体像を概観する概説的文章も書きました。


 目次をご覧の通り、本書は四章立てになっていますが、第四章だけは趣向が違っています。『魔太郎がくる!!』『笑ゥせぇるすまん』『わが名はXくん』などの藤子A作品を主に論じているのですが、個別に作品を論じるというよりは、私が長年のあいだ膨大な藤子Aマンガを読んできた中で感じとった藤子Aマンガの精神や構造のようなものについて論じています。藤子Aマンガの精神や構造を論じながら、長年の相棒であった藤子・F・不二雄先生の作品と通じ合う要素にも着眼しています。そしてそれは、私がなぜ藤子ファンであるかを問うことにもなるのです。


 本書を執筆するにあたって気をつけたのは、私の論じている内容が作品を未読の方にもなるべく伝わるよう、基礎的な知識や作品のあらすじなどを(充分とは言えませんが)できるだけ記すようにしたということです。藤子Aマンガの基本的な知識や作品を初めて読んだころの気持ちを大切にしながら、私が藤子Aマンガを読んでどう感じたか、どう考えたか、どう分析したか、どう影響を受けたか、という私の主観的な領域へ踏み込んでいきます。
 藤子ファンの方に読んでいただきたいのはもちろん、藤子マンガをあまり知らない方にもぜひ読んでいただきたいなあ、と思っています。


 忙しくて384ページもある本を読んでいられないという方がいらっしゃれば、ぜひ、第四章と序文だけでもまずお読みいただけると嬉しいです。その部分に、私が本書で論じたいことの最大のエッセンスがあるからです。
 もちろん、ほかの章も、それに負けないくらいの内容があると自負しておりますので、1冊読破していただけると最高にありがたいです^^。


藤子不二雄Aファンはここにいる Book2 Aマンガ論序説編』は、12月前半に発売予定です。正式な発売日が決定次第、また告知させていただきます。
 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。