バーベキューと桃太郎神社

 キワマリ荘のバーベキュー会に参加しました! 場所は、犬山市の桃太郎神社。酷暑のなか、20名近くの参加者がありました。(今月11日の話です)
 私は前にバーべキューをやったのがいつか思い出せないほど久しぶりのバーベキューでした(笑)
 


 藤子ファンたる私が“バーベキュー”といってまず思い出すのは、大長編ドラえもんのび太と鉄人兵団』のバーベキューシーンです。

 地球制服のためメカトピアを発進した鉄人兵団が、明晩には地球に到着する…という緊迫した状況下。鉄人兵団襲来に対処すべく鏡面世界ですごしていたのび太らいつものメンバーは、夕刻を迎え、近所のスーパーへ出向いていろいろな食品を取ってきた。鏡面世界は他に人のいない“ぼくらだけの町”なので、スーパーに置いてある品を勝手に持ってきてもかまわないのだ。
 彼らは空き地に集まり、スーパーで取ってきた食品でバーベキューパーティーを開く。その場には、ロボットのザンダクロスやミクロスもいる。リルルの看護をしていたしずちゃんも駆けつけた。
「そろそろ焼けたんじゃない?」「いただきま〜す」「おいしい!!」「うめえ!」と楽しげな声が飛び交う――。

 鉄人兵団の襲来前夜という、極度の恐怖や緊張を強いられる状況の途中でふと挟み込まれる、ひとときの憩いの時間。大長編ドラえもんは冒険中に挿入される食事シーンが実に魅力的で、このバーベキューシーンも忘れがたく心に残ります。
 今回自分がバーベキューをやっている最中、このシーンが頭を何度かよぎりました。



 バーベキュー会をやったのは、先述したとおり犬山市の桃太郎神社でした。桃太郎神社には、バーベキュー場やキャンプ場が併設されているのです。
 
 この桃太郎神社、愛知県ではよく知られたB級スポットでして、たまに全国ネットのテレビ番組で紹介されることもあります。
 私はここへ久しぶりに来ました。相変わらず独創的で脱力的でディープな神域でした。


 桃太郎神社には、浅野祥雲のコンクリート像が何体も建っています。なかでも最もインパクトを残すのが、この「やさしい鬼」!
 
 自分の背中に乗ってほしいと訴えています。この表情、「やさしい」を通り越して、別天地の精神状態にあるように見えます(笑)
 
「やさしい鬼」の後ろ姿…。物悲しいような、愛嬌があるような、セクシーなような(笑)


 
 
 階段の途中で柴刈り中のお爺さんとすれ違いました。


 
 階段をのぼりきると、ここが桃太郎誕生の地であることがアピールされています!


 
 桃太郎と三匹のお供。


 
 勝ち誇る3匹のお供と嘆く鬼。


 
 懺悔して涙する鬼。


 
 鬼退治を成し遂げて宝物を持ちかえる桃太郎一行。



 ご覧いただいたように、この神社は浅野祥雲のコンクリート像があることで異彩を放っていますが、拝殿もなかなか個性的です。
 
 桃の輪郭をした鳥居。桃太郎神社らしい変形の鳥居です。


 
 桃印の賽銭箱。


 
 有料スペースの宝物館も見学しました。



 桃太郎神社の境内には、犬山の地で桃太郎が誕生し鬼を退治したことを証拠づけるモノがいくつか保存されています。
 
 これは、おばあさんが洗濯をした岩。木曽川にあったものをこちらへ移動させたのだそうです。


 桃太郎神社内の宝物館にも貴重な証拠品があったのですが、残念ながら放火にあって消失してしまいました。
 
 以前はこんな「鬼の頭蓋骨」や「桃太郎が生まれた桃」も展示されていました。今はこうして写真を残すのみ。


 
 現在は、「鬼の金棒」などが展示されています。


 
 桃太郎本の数々。


 1人でコンクリート像を眺めていたら神社の宮司さんに声をかけられたので、お話をうかがいました。この近辺では縄文時代の遺跡が発掘されており、古代より桃を信仰の対象にしていたがわかっているとか。
 そして、この地における桃太郎伝説は、鬼を退治するといっても鬼を殺したり厳しく罰したりするのではなく、鬼を改心させ人間との共存をはからせた、という話になっている。だから、節分の豆まきでは「福は内、鬼は内」と言うのだそうです。
 鬼退治の成功によって鬼が人間と共存するようになった状態の一例が、先に紹介した「やさしい鬼」なのでした。


 桃太郎伝説を藤子F流に大胆不敵な解釈をほどこしたのが『ドラえもん』「ぼく、桃太郎のなんなのさ」です。桃太郎神社の伝説では、桃太郎が生きていた年代を特定していない(桃太郎伝説が残すメッセージは、どの時代にも普遍的にあてはまるとしている)のですが、「ぼく、桃太郎のなんなのさ」では、延元3年(1338年)が舞台になっています。
 写真に写りこんだ桃太郎らしき存在の謎を解き明かすため、のび太ドラえもん、バケルくんがタイムマシンでその時代へ行ったわけですが、じつは桃太郎の正体は○○であり、鬼は○○だった…ということが明らかになります。「桃太郎」という有名な昔話の謎を探るミステリー的な要素と、そこに『ドラえもん』という作品だからこその解釈が加わり、タイムパラドックスの面白さもあって、魅力的な一編となっています。


ドラえもん』と「桃太郎」といえば、ひみつ道具「桃太郎印のきびだんご」も思い出されます。これを食べた動物は、どんな猛獣でも人になつきます。
 桃太郎印のきびだんごは、膨大なひみつ道具のなかでは登場回数が多いほうですが、この道具がとくに重要な役割を果たした大長編ドラえもんのび太の恐竜』が印象深いです。『のび太の恐竜』のなかで桃太郎印のきびだんごを食べて人になつくのは、史上最大級の肉食恐竜ティラノサウルスでした。
 
 これは、昨年藤子・F・不二雄ミュージアムで購入した桃太郎印のきびだんご。