終戦記念日

 終戦記念日の今日、藤子・F・不二雄先生の『T・Pぼん』「戦場の美少女」と、藤子不二雄A先生のコミックエッセイ『日本とぼくが生まれ変わった日 1945.8.15』を再読しました。


T・Pぼん』「戦場の美少女」で凡とリームは、特攻が行われている真っ只中に飛び込みます。人の命が次々と散っていくのを目の当たりにしながら、その中でただ一人の命を救うことしかできません。救おうと思えば救えるのに、歴史の改変を防ぐため、特定の人しか救っていけない決まりなのです。そんな過酷な状況に置かれた2人の葛藤や苦しみが描かれていて、心が締めつけられました。
 そして、ただ一人だけでも命を救えることの意味を、強く噛みしめました。

・凡「落ちていく特攻機にも、ぶつけられる軍艦にも、それぞれ人間が乗っているんだぞ!! その一人ひとりに家族があるんだぞ!!」
・リーム「どならないでよ!! あたしがへいきだとでも思っているの!?」

 2人のそうした悲痛な魂の叫びのようなやりとりも、胸に鋭く刻みつけられました。



 A先生の『日本とぼくが生まれ変わった日』では、玉音放送を聴いた安孫子少年の「もう殺されなくてすむ……」「もう死ななくていい!」という心情が痛切に沁みてきます。
 A先生は他のエッセイで終戦の日のことを『悪夢の終った日』と記していました。戦争末期に命を失う恐怖にさらされ続ける日々を送った安孫子少年にとって、終戦とは何より、その恐怖からの解放だったんだ…と私は受け止めました。
 そして、悪夢の終わった日を境に、悪夢でない夢を見られる日が始まったんだ!という希望のようなものを、A先生の描写から感じたのです。この作品を前に読んだときも、その前に読んだときも、そういうことを感じました。その感情を忘れないようにしたいです。



※今月5日から岐阜県飛騨市図書館で、私のマンガ愛好仲間Fさんのサイン色紙コレクションが展示されています。同展主催の岐阜県マンガ文化研究会。私も一応会員です。
 http://hida.keizai.biz/headline/498/
 記事中の写真を見ると、藤子不二雄A先生の怪物くん・喪黒福造、鈴木伸一先生の自画像(≒小池さん)などの直筆色紙が見えます!
 入場無料。開館時間は9時〜20時(日曜は17時まで)。月曜休館。展示は今月25日まで。