藤子不二雄A作品とキリコ

 先週東京へ出かけたさい、パナソニック汐留ミュージアムで開催中の「ジョルジョ・デ・キリコ−変遷と回帰」展を観ました。「形而上絵画」と呼ばれる不思議な絵で知られるキリコの回顧展で、展示作品104点のうち8割ほどが日本初公開だとか。
 
 
 

 私がキリコの存在を特に強く意識したきっかけは、藤子不二雄A先生のブラック短編『わが分裂の花咲ける時』の作中でキリコの絵画『出発の不安』が引用されていたことです。
『わが分裂の花咲ける時』は精神が錯乱していく浪人生を描いた異色の作品。その浪人生の内面世界を表現する一手法としてキリコやタンギーの絵画が使われているのです。(タンギーは、たまたま見かけたキリコの作品に感化されて絵画に目覚めた画家です)
壊れていく浪人生の心の風景と、シュルレアリスム系の絵画が描く風景とが、A先生のイメージのなかでつながりを持ったのでしょう。『出発の不安』というタイトルも『わが分裂の花咲ける時』の世界にふさわしいような気がします。


マグリットの石』を描くなど藤子A先生のマグリット好きは有名ですが、キリコもまたA先生の好みなのだと思われます。なにしろキリコは、シュルレアリスムに多大な影響を与えた画家であり、マグリットもキリコの強い影響を受けているのですから。


藤子不二雄A作品とキリコ」といえば、A先生が藤子不二雄ランド巻末で連載した『ウルトラB』に登場する“キリコちゃん”を思い出したりもします。画家のキリコとは音が共通しているだけで無関係でしょうけど…。
 キリコちゃんは、女優・霧町カスミの一人娘。かわいい女の子の赤ちゃんです。
 UBはキリコちゃんにぞっこん♪ キリコちゃん初登場回のサブタイトルは「ウルトラB 恋をする」ですし、その後「ウルトラB キリコちゃん熱に」「ウルトラB キリコちゃん熱ますます」なんて話もあって、サブタイトルを見るだけでUBがいかにキリコちゃんに熱をあげていたかがうかがえます(^^


 
 キリコ展のミュージアムショップでポストカードを購入しました。



 ※来年は東京と京都でマグリットの回顧展が開催されます♪ これも楽しみです!
 http://magritte2015.jp/#s01