UFOの日にカップ焼そばU.F.O.へ思いを馳せる

 きのう(6月24日)は「UFOの日」でした。

 

「藤子作品とUFO」という視点でネタを探せばいろいろなものが見つかりますが、きのうに関しては「藤子・F・不二雄先生とカップ焼そばU.F.O.」に注目してみました。

 藤子F先生は、UFOのトリック写真撮影を趣味にしておられました。円盤を放り投げる、円盤を糸につりさげる、円盤の写真をガラスに貼る、といったふうにさまざまな手法でトリック写真を撮っていました。

 そのさい円盤の模型としてカップ焼そばU.F.O.の容器を使われることもあったのです。

 藤子F先生がやっていたUFOトリック写真撮影のエピソードは、たとえば、むぎわらしんたろう先生が『Fのひとこま「パパの時間」』(「ぼく、ドラえもん」第14号、2004年9月20日発行)で紹介しています。

 

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 ・日清のカップ焼そばU.F.O.

 

  藤子F先生は、カップ焼そばU.F.O.をご自身の描くマンガのなかに登場させることもありました。

 先生のカップ焼そば愛がこよなく伝わってくるのが、『エスパー魔美』の「未確認飛行物体!?」という話です。カップ焼そばの容器にピンポン玉をくっつけてUFOの模型をつくり、それを糸でつるして撮影する、というUFOトリック写真のネタが出てきます。そして、その方法で撮ったトリック写真のUFO部分だけを切り抜いてガラスに貼りつけ空をバックに撮影する手法(グラスワーク)が、高畑さんの口から詳しく説明されています。

 この話では、カップ焼そばU.F.O.がトリック写真に使われる材料としてだけでなく、本来の役割である食品としてもしっかり登場しており、しかもそれがじつにおいしそうなのが素晴らしいです。カップ焼そばU.F.O.をおいしそうに食べるのは魔美ちゃん。空腹状態が続いてようやく食べられたのですから、そのおいしさは格別だったことでしょう。このシーンを見ると、魔美ちゃんのマネをして、できあがった焼そばをカップ容器から別の皿に移してモリモリガツガツと食べたくなってきます(笑)

 のちに描かれた「エスパーもさらわれる?」で、魔美ちゃんはインスタントラーメンをつくってコンポコに食べさせようとしますが拒否されたので自分で食べます。

 自分でつくったインスタントラーメンを食べた魔美ちゃんの感想は……

「インスタントをこんなにまずくつくるなんて、だれにもできることじゃないわ」

 誰がつくっても同じような味になるはずのインスタントラーメンをとんでもなくまずくつくってしまう稀有な才能の持ち主である魔美ちゃんも、カップ焼そばはおいしくつくれるようですね(笑)

 

 

 カップ焼そばU.F.O.が出てくる藤子Fマンガでほかに印象的なのが、『チンプイ』の「見つかった 宇宙人の秘密基地!?」(藤子・F・不二雄大全集2巻などに収録)です。

 この話のラスト一コマが、カップ焼そばU.F.O.だらけなのです。もう少し詳しく言うと、ジャーンという効果音とともに、カップ焼そばU.F.O.の容器が空を飛んでいる写真が何枚も描かれているのです。

 春日エリちゃんの家には、ワンダユウさんがマール星から宇宙船に乗ってよくやってきます。その宇宙船を目撃して写真に撮った少年が春日家の周辺をさぐっていたのですが、マール星との関係を知られたくないエリちゃんはどうにかバレないようにします。少年は、自分が撮った写真をUFOの証拠写真としてテレビ局に見せることに。

 証拠を隠滅せねば、とチンプイがやったのが科法「画像交換」でした。おかげで、空飛ぶ宇宙船がはっきり写っていた何枚もの写真のすべてが、空飛ぶカップ焼そばU.F.O.の写真に差し替えられました(笑)その写真がラスト一コマにジャーンと描かれているわけです。

 

 カップ焼そばは出てこないもののUFOトリック写真のエピソードを描いているという意味では、『ドラえもん』の「ニセ宇宙人」(てんとう虫コミックス10巻)や「ハロー宇宙人」(てんとう虫コミックス13巻)も思い出されます。