「アニメージュ」9月号に渡辺歩監督インタビュー掲載

 渡辺歩監督のインタビューが載っていると知ってそのうち買って読もうと思っていたのに、気がついてみたら翌月号が発売されてしまっていた「アニメージュ」9月号が、近くの書店のバックナンバーコーナーにて2割引で売っていたので喜んでわが家にお迎えしました。

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 渡辺歩監督が手掛けた最新映画『漁港の肉子ちゃん』は『ドラえもん』の感動短編シリーズとアプローチが近いところがある……

 という話を皮切りに、TVアニメ『ドラえもん』リニューアルのこと、監督をつとめた映画『のび太の恐竜2006』のこと、その後シンエイ動画をやめたことなど、インタビュー記事全4ページのうち1ページ目は『ドラえもん』に関する話題が中心を占めています。

 

 2005年のアニメ『ドラえもん』リニューアルにともないキャラクターデザインが変更されることになったことについて渡辺監督は「どちらかと言うと難色を示したい気分だった」とおっしゃっていて、それが印象的でした。監督はそういう葛藤を抱きながらも「だったら、原点回帰だ」と、しっかり原作の画に向き合ってそれをどれぐらいアニメとして再現できるのかをやってみる方向にシフトしていったそうです。

 その話の流れで「周辺から「こういう方向で変えてほしい」という指示はあったんですか」と聞き手に質問された渡辺監督は、このように答えています。

「実は具体的な提示というものはなかったんです。どういった方向に変えるかよりも、一度、リセットしようという意向が強かったという印象です」

 当時の渡辺監督の印象では、アニメ『ドラえもん』リニューアルにさいして“いったんリセットしよう”という意向が強く働いていたようです。そういう意向のなかに“原点回帰”というテーマが加わったのは、ほかの誰でもなく渡辺監督の考えが大きく作用していたということですね。もし原点回帰というテーマではないリニューアルだったとしたら、私はリニューアルに対して受容したい気持ち以上に拒否反応を示していたかもしれません。原点回帰という方向に持っていってくださった渡辺監督に今さらながら感謝したいです。

 

 渡辺監督が絵コンテを担当したTV版の「あの窓にさようなら」(2009年10月23日放送)について「実は劇場の短編のプロットで考えていた話なんですよ」と語られているところも興味深いです。

 1998年公開の『帰ってきたドラえもん』から5年連続で制作された劇場版『ドラえもん』感動短編シリーズがもしその後もある程度続いていたなら、「あの窓にさようなら」の映画化がありえないことではなかったのですね。

 そう言われると、劇場で「あの窓にさようなら」を観てみたかったなあと思えてきます(笑)

 ただし渡辺監督は「正直言うと短編シリーズはあれぐらいのボリューム感で終わってよかったと思いますけどね。あと数本やったら、多分、飽きられていましたよ」と述べています。

 

 このインタビューでは、シンエイ動画から独立するときのことも少し言及されています。

のび太の恐竜2006』のあとくらいから独立を考えていたんだよね、と聞き手に振られた渡辺監督はこうおっしゃっています。

「そうですね。あれで自分の中では1本撮れたというのがありましたし、映画を作る面白さに気づいてしまったというのもあります。当時は原さん(稲垣註:原恵一監督)もシンエイにいらっしゃったので、どうすれば自分の映画を作っていけるんだろうかと話をしたことがあります。原さんは「会社を辞めるしかない」と仰っていましたね。結局、原さんも僕も辞めるんですが」

 

 このインタビュー記事では、シンエイ動画を辞めたあとのことがその後3ページにわたって語られていきます。