新映画は「のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜」

koikesan2006-07-12

 来春公開の映画ドラのタイトルが、『のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』と発表された。
 監督は、寺本幸代さん、脚本を、『ホワイトアウト』や『奇跡の人』などを書いた人気作家・真保裕一さんが担当するという。



 来春の映画ドラは、リメイクとはいえ、冒険的というか挑戦的というか、そんな新規なムードが色濃く漂うものになりそうだ。同じリメイクでも、今年の『のび太の恐竜2006』は、元の作品に2006を付けただけの、いたってシンプルなタイトル改変だったが、来年となると、『のび太の魔界大冒険』から『のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』という具合に、タイトルの改変度がかなり高まる。
 内容的にも、「脚本は原作にはなかった現実世界と魔界世界のリンクが描かれるなど“真保テイスト”が満載」とあるように、映画独自の要素が相当加えられるようだ。



 脚本を手がけるのが人気作家の真保裕一さん、というのも新味を感じさせる。真保さんは、かつてアニメ畑にいたとはいえ、アニメーターより作家としての経歴・実績のほうが圧倒的に大きい人物だ。そんな非アニメ業界で成功した人物が、映画ドラで脚本を務めるというのだから、これも画期的なことだろう。
 私は、真保さんの小説にハマった時期があって、何冊か彼の著作を読んだ程度には真保ファンであり、真保さんの筆力には信頼をおいているが、彼が映画ドラの脚本を書くとなると未知数である。
 真保さんは、2003年2月発行の「解体全書neo 作家はいかにつくられるか」(メディアファクトリー)という本で、以下のように語っている。

ドラえもん』の映画を最初に観たときのインパクトが大きかった。あんな大長編なのに、骨格がしっかりしていて、アクションがあって、友情・努力という明快なテーマと冒険心にあふれている。すっかり魅了されて、『ドラえもん』を制作している〝シンエイ動画〟という会社を最初に受けたんですけど、あえなく落ちました。それでも回り回って、最終的に〝シンエイ動画〟で仕事ができるようになった。でも残念ながら『ドラえもん』は動画一枚すら描いていないんですけどね。

 また、「THEドラえもん展」図録(2002年)では、このように書いている。

まさに『ドラえもん』こそ、想像力を刺激するマンガの代表選手ではないだろうか。
未来から来た猫型ロボット。すでにその基本的な設定の中に、SFという知的な刺激が取り入れられている。一見、子供向けに思えるマンガの奥に、今という一瞬が未来の礎をなすのだというスケールの大きな視点が、実は隠されている。子供は単純に物語を楽しめ、大人はテーマの奥に秘められた深い世界観を堪能できる。

 こうした発言を読めば、真保さんが『ドラえもん』に愛情と理解をもった人物だとよくわかる。それに『のび太の魔界大冒険』は歴代の映画ドラのなかでも、鮮やかな伏線処理や、提示された謎の解明などが特徴的な作品であり、通常の脚本家よりは、ミステリー作家である真保さんに向いた仕事といえるかもしれない。



 そして監督。渡辺歩さんではなく、寺本幸代さんだという。映画ドラ初の女性監督で、年齢も30歳と若い。現在放送中のアニメ『ドラえもん』で演出を担当している人物だが、私はあまり詳しくは知らない。



 ともかく、来春公開の『のび太の魔界大冒険』のリメイクは、原作や前作映画をリスペクトしつつも、そこからある程度距離をおいた独自性の強いものになりそうな予感。これで期待が高まったし、不安も高まった。どちらにしろ、ドキドキする。


ドラえもん」に真保マジック…人気作家が「新魔界大冒険」脚本 

来春公開の映画「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」(寺本幸代監督)の脚本を、人気小説家の真保裕一氏(45)が手掛けることが11日、分かった。
映画化された「ホワイトアウト」をはじめ「連鎖」「奪取」などベストセラー小説を連発している真保氏は、熱烈なドラえもんファン。アニメ制作に携わりたいと、同作を手掛ける「シンエイ動画」に入社した経歴を持つ。その後、作家への道を進んだが、現在も同社のチームで草野球を楽しんでおり、関係者とは交流が続いていた。
今作は1984年に藤子・F・不二雄氏が執筆した「のび太の魔界大冒険」が原作。“もしもボックス”で現実の世界を魔法の世界に変えたのび太たちが、地球の危機に立ち向かう。脚本は原作にはなかった現実世界と魔界世界のリンクが描かれるなど“真保テイスト”が満載だという。
ドラえもん史上初の女性監督となる寺本幸代監督(30)は「『魔界大冒険』は特に好きな作品ですが、脚本はさらにパワーアップしています」。原作に新たな命を吹き込んだ真保氏は「今は小説なんぞ書いている身だが、こうして夢のひとつがかない、誰より興奮している自分がいる」と喜んでいる。
(2006年7月12日 スポーツ報知/写真は、紙面に掲載された同記事)
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20060712-OHT1T00046.htm


●公式HP・ドラえもんチャンネル http://www.dora-world.com/dora2007/index.html




※情報
映画『のび太の恐竜2006』のDVDが8月4日からリリースされる模様。(レンタルのみのようです)
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=6020