『昭和のアニメ奮闘記』に『ドラえもん ヨーロッパ鉄道の旅』の舞台裏話が!

 南正時氏の著書『昭和のアニメ奮闘記』(天夢人発行)が6月17日に発売されました。

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 南氏は、楠部大吉郎氏に声をかけられ1968年にAプロダクションに入社。同社に3年余り在籍したのち独立して鉄道写真家として活動されています。

 本書では、南氏のAプロ時代の思い出が回想され、アニメ界のレジェンドたちのエピソードや『ムーミン』『ルパン三世』制作時の舞台裏話などが綴られています。

 

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 藤子ファン的に最大の読みどころは、南氏がテレビ朝日開局25周年特別番組『藤子不二雄スペシャドラえもん ヨーロッパ鉄道の旅』(1983年10月18日放送)の仕事を依頼されたエピソードでしょう。南氏がAプロから独立したのちの出来事です。

 この番組は、二人の藤子不二雄先生がヨーロッパ各地を鉄道旅行し、藤子先生に気づかれないようドラえもんのび太がどこでもドアを使って先生を追いかけていくという内容でした。私は当時リアルタイムで視聴したのですが、藤子先生が出演する実写映像にアニメのドラえもんのび太がうまく合成されていたのが印象的でした。藤子先生のお姿をテレビ番組でたっぷり観られるのも非常に嬉しかったです。

 南氏は、この番組の鉄道監修やロケ先設定の仕事を受けたそうです。

 番組の制作はAプロの後身であるシンエイ動画で、プロデューサーに別紙壮一氏、作画監督に中村英一氏、原画に小林正義氏、色彩設計に野中(石井田)幸子氏といった顔ぶれが並びました。それは南氏にとって旧Aプロの顔なじみばかり。「旧AプロOBによる作品となった感がある」と感じたそうです。

 この番組におけるヨーロッパロケは、1978年に南氏がヨーロッパへ渡り鉄道の撮影旅行をしたときの行程が活かされていて、フランスのTGVで南氏が食べたまずいスパゲッティを藤子先生も食べて「まずい」となったようです。

 

藤子不二雄スペシャドラえもん ヨーロッパ鉄道の旅』は、前述のとおり実写の藤子先生とアニメのドラ&のび太の合成でつくられました。当時としては珍しいCGを用いたデジタル合成で、実写とアニメのCG合成の先駆け的な番組だったということです。南氏は、この番組をデジタルリマスターしてDVDソフトをリリースしてほしいと望んでいます。

 私もきれいな映像で再見できるものならしたいです。