スーパーカーブームとガンプラブームとドラえもん

 前回の日記で、私が小学生のころに流行った王冠コレクションについて書いた。今回もその流れで、私の小学生時代にブームだった事象を『ドラえもん』との絡みでとりあげてみたい。



 私が小学生のころブームになった事象のなかで、私自身とても熱中したものとして、スーパーカーブームとガンプラブームが挙げられる。スーパーカーブームは、昭和50年から「週刊少年ジャンプ」で連載のはじまった『サーキットの狼』の人気で火がつき、またたく間に全国の子ども達を熱狂させるに至った。まさに、スーパーカーが子ども達のヒーローとなる時代が訪れたのである。


 ランボルギーニフェラーリ、ポルシェ、マセラティなど、通常の乗用車と比べ性能が著しく高く、デザイン的にハイセンスなスポーツタイプの自動車がスーパーカーと呼ばれていた。私は、そのブームに乗って、『サーキットの狼』を読んだり、スーパーカーの消しゴムやカードを集めたり、本物のスーパーカーを見られるイベントに赴いて写真を撮ったり、とさまざまにスーパーカーを満喫した。鈴鹿サーキットで開催されたスーパーカーレースを観戦しに行ったりもした。
 スーパーカー消しゴムをノック式のボールペンで弾きながら、カーレースごっこをするのも流行った。タイヤの裏にボンドを塗ったり、ノック式ボールペンのバネを強化したりして、レースに勝てる方法を工夫したものだ。


 藤子先生は、その時代時代に流行した現象や文化、風俗を自作の材料として小道具に使ったりパロディ的に扱ったりすることがよくあった。このスーパーカーブームでいえば、たとえば、『ドラえもん』の「デラックスライト」(小学二年生昭和52年11月号で発表・てんとう虫コミックス16巻などに所収)や、「ドライブはそうじ機に乗って」(小学四年生昭和53年3月号・てんコミ18巻などに所収)などの事例がある。この2作では、スーパーカーブームを象徴する人気車種ランボルギーニカウンタックが描かれている。


 先日、実家の押入れから、ペプシコーラの王冠やコカ・コーラのキーホルダーと一緒に、1970年代に購入したトミカが70台ほど出てきたので、そのなかからスーパーカーと言える車種を写真に撮ってみた。 すべて、私が小学生のころ買ってもらったもので、写真では分かりにくいが、さんざん遊んだためところどころに傷がついている。


●写真左から順番に
フェラーリ512BB(子ども心に、カウンタックのライバル的車種と見なしていた)
ランボルギーニカウンタックLP400(スーパーカーブームを象徴する大人気車種)
ロータス・ヨーロッパ(『サーキットの狼』の主人公が乗っていたのはこれと同じ車種だった)
・ポルシェ928
・デトマソ・パンテーラGTS
・ポルシェ930ターボ
マセラティ・メラク
ランチアストラトス(ラリー仕様のデザインが印象深い車だ)
童夢零(「どうむぜろ」と読む。日本製のスーパーカーとして、当時話題になった)



 スーパーカーブームが下火になってしばらくのち、昭和55年ごろから巻き起こったのがガンプラブームである。私が小学6年生のときのことだ。
 ガンプラとは、おおかたの人がご存じのとおり、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツや兵器のプラモデルの略称である。


 ブームの頃は、おもちゃ屋ガンプラが入荷してもあっという間に売切れになるので、おもちゃ屋が開店する前からわざわざ店の前で待って先を争うように買わねばならない、なんてこともあった。整理券を配布する店や、ガンプラが入荷しても裏場に隠して出し惜しみする店まで現れた。
 当時の私は、とにかくガンプラが欲しかったのだが、なかなか手に入らず、ようやく初めて買えたのが144分の1グフだった。ガンプラ以外のプラモデルに紛れて置いてあったグフの箱を発見したときの興奮は今でも忘れない。人気のないモビルスーツ、たとえばボールとかジムとかギャンなどは売れ残っていることもあったが、私の欲しかったザクやドム、ズゴックなどは簡単には入手できなかった。


 当時(25〜6年前)私が作ったガンプラがいまだに残っているので、破損度の低い3体を写真に撮ってみた。左から、グフ、量産型ザク、シャア専用ズゴックである。それ以外にも何体か残っているが、部品が欠けたり脚がもげたりして鑑賞に堪えない。
 一応、ちゃんと塗料を買ってきて色を塗っていたが、基本に忠実な色塗りで、ウェザリングなどの工夫はほどこしていない。


 ガンプラも、『ドラえもん』のなかでネタになっている。「キャラクター商品注文機」(てれびくん昭和57年9月号・てんコミ28巻)や、「プラモが大脱走」(小学六年生昭和57年5月号・てんコミ29巻)のなかで、“バンダム”と名付けられパロディ化されているのだ。モビルスーツの名称もデザインもアレンジされているが、ガンダムが元ネタになっていることは明らかである。


 そして、当の『ドラえもん』自体も、ガンプラブームがはじまる少し前に大ブームとなり、多くの子ども達を虜にしたのだった。