藤子A先生の相談ごと???

 野球とMSXさんから、雑誌「TV Bros.テレビブロス)」2008年第2号(1月19日号/東京ニュース通信社)に藤子不二雄A先生の『PARマンの情熱的な日々』をネタにした記事が載っている、という情報をいただいた。なんだか面白そうだなと思って、さっそく同誌を入手した。



 藤子A先生をネタにしているのは、細川徹さんと五月女ケイ子さんによる連載「ニュー大人の時間ですよ」のページにある「細川徹のひとり身の上相談」のコーナーである。「いろいろな人たちが悩んでいるであろうことを勝手に想像して勝手に解決してしまうコーナー」だそうだ。ここで今回、藤子A先生が勝手に相談者に仕立てられているのだ。
 藤子A先生の(仮定の)相談は、こんな内容だった。

私、「ジャンプスクエア」で連載を始めたのですが、自信がなくなりお便りしました。ユニークな日常を漫画にしようと思ったのですが、どうも面白くない気がします。(中略)これは漫画なのでしょうか。(中略)出来たら、雑誌から切りはずして回りたいくらいです。

ジャンプスクエア」で『PARマンの情熱的な日々』の連載を始めてみたものの、その内容があまりに日常的すぎて、こんな内容でも漫画と言えるのか… という悩みを藤子A先生が抱えているという設定らしい(笑) たとえこうしたおふざけ記事でも、藤子A先生の連載作品がネタ化され俎上に上げられるのはなかなか楽しいものだ。


 藤子A先生の(仮定の)相談に対する細川徹さんの回答は、

読者には「これはおじいさんの日常じゃないか」と言われるかもしれませんが、僕的には最高の漫画です。現在唯一、毎号雑誌で読みたいと思う漫画です。連載、始めてくれてありがとうございます。この調子で日常生活を描いて下さい。

というもので、非常に真摯で前向きで好意的な内容である。


 ただし、おふざけな企画なので、ひたすら真摯な言葉が並ぶはずもなく、「(「ジャンプスクエア」が)こんなに売れているのはAさんの漫画が載っているからか?とまで考えましたが、冷静に考えれば、そんなはずはありませんでした」などと、からかい半分のくだりも見られる(笑) 本気で藤子A先生を批判したり馬鹿にしたりしているのではなく、愛情とユーモアがこもった記述なので楽しい気分で読める。
 
 その『PARマンの情熱的な日々』が載った「ジャンプスクエア」の次号(3月号)は、2月4日(月)発売予定だ。



 あと、ネオ・ユートピアのMLで知ったのだが、雑誌「HYPER HOBBY(ハイパーホビー)」2月号(徳間書店)や、「TV station(テレビステーション)」第2号(ダイヤモンド社/この号の販売期間は終わっている)にも藤子A先生の記事が載っている。昨年12月4日、ファンタジー冒険小説『トンネル』の出版記者会見に藤子A先生が特別出演した、という話題だ。
『トンネル』はイギリスの小説で、ロデリック・ゴードンとブライアン・ウィリアムズの共著。『ハリー・ポッター』シリーズを発掘したことで名高い編集者バリー・カニンガムが来日して『トンネル』の出版記者会見を開いたさい、藤子A先生がゲストとして登場したのだ。なぜ藤子A先生がこの会見に出たかというと、先生が1983年から84年にかけて「サンケイ新聞」に連載した『夢トンネル』が“トンネルつながり”で縁を結んだようだ。
 個人的に、『夢トンネル』は1980年代に藤子A先生が生み出したマンガのなかで最高傑作だと思っている。だが、いかんせんマイナーなのが残念だ。長らく単行本化されなかったが、2003年に京都漫画研究会から1000部限定・定価2500円でようやく単行本化されたときは感動的だった。しかし、この単行本も今ではプレミアが付いている。



※2月1日(金)、ぴっかぴかコミックスドラえもん』18巻発売
 http://www.s-book.com/plsql/com2_booksche?sha=1&jan=c&mm=1