来年3月に公開される映画ドラえもんが、「コロコロコミック」8月号で正式発表されました。
『新・のび太の宇宙開拓史』
監督:腰繁男 脚本:真保裕一
■公式サイト
http://doraeiga.com/2009/
今年3月に劇場で『のび太と緑の巨人伝』を観たさい、上映の最後に来年の映画をほのめかす映像があって、そこにチャミーらしきキャラクターがいたことから、来年は『のび太の宇宙開拓史』のリメイクであると予測できていました。
『宇宙開拓史』は、歴代の大長編ドラえもんのなかでも『のび太の恐竜』『魔界大冒険』『鉄人兵団』と並んで最高に好きな作品なので、そのぶんリメイクに対して期待と不安が強く渦巻きます。まあ、映画ドラえもんは1年に1度のお祭りみたいな感覚でとらえているので、できるだけ楽天的に楽しむ方向で受けとめていきたいと思います。前向きに楽しもうと思っても楽しめなかったのが今年の『緑の巨人伝』でしたが、『新・宇宙開拓史』は藤子F先生の原作がきちんと存在する作品なので、よほど別物にしてしまわない限りは相応に楽しませてくれるでしょう。のび太とギラーミンの決闘シーンをどう扱うかなど今から気になります。
新映画の題名は、シンプルに「新」をつけただけですが、変に原題をいじるよりはずっと好感がもてます。
脚本は、『のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜』に続き、ミステリー作家の真保裕一さんが担当するようです。真保さんは、本職がミステリー作家なので物語構成に長けているでしょうし、もとから『ドラえもん』への愛情をもった人なので、へたな人物が脚本を担当するよりはずっと妥当な人選だと思います。『魔界大冒険』のリメイクを担当した経験と反省を生かし、オリジナルの『宇宙開拓史』の魅力を最大限に引き出しながら新たな趣向を凝らした絶品の脚本を書いていただきたいです。というか、もう脚本はできあがっているんだと思いますが、よい脚本であってほしいと願います。
以前にも当ブログで引用したことがありますが、真保さんの『ドラえもん』への思いが伝わってくる発言をここで紹介します。
『ドラえもん』の映画を最初に観たときのインパクトが大きかった。あんな大長編なのに、骨格がしっかりしていて、アクションがあって、友情・努力という明快なテーマと冒険心にあふれている。すっかり魅了されて、『ドラえもん』を制作しているシンエイ動画という会社を最初に受けたんですけど、あえなく落ちました。
「解体全書neo 作家はいかにつくられるか」(2003年/メディアファクトリー)
まさに『ドラえもん』こそ、想像力を刺激するマンガの代表選手ではないだろうか。
未来から来た猫型ロボット。すでにその基本的な設定の中に、SFという知的な刺激が取り入れられている。一見、子供向けに思えるマンガの奥に、今という一瞬が未来の礎をなすのだというスケールの大きな視点が、実は隠されている。子供は単純に物語を楽しめ、大人はテーマの奥に秘められた深い世界観を堪能できる。
「THEドラえもん展」図録(2002年)
真保さんが的確に語った『ドラえもん』の魅力の数々を、ぜひとも真保さん自身の脚本で体現してもらいたいです。むろん映画は真保さん1人で作るものではないのですが、彼は素人時代から『ドラえもん』に愛情をもっていて、しかもプロの作家として実績があり、私自身『ホワイトアウト』『奪取』『奇跡の人』など真保作品を愛読した体験があったりして、どうしても期待をかけてしまうのです。