ドラえもん誕生日スペシャル

 13日(金)放送のアニメ『ドラえもん』は、藤子・F・不二雄生誕80周年記念ドラえもん誕生日スペシャルでした。F先生とドラえもん、すばらしき両者の生誕を記念した番組というわけです。
 放送された話は「真夜中の巨大ドラたぬき」。そこにパーマンがゲスト出演すると事前告知されていて、何日も前から楽しみにしていました。


 話が始まってかなり早い段階でパーマン登場! のび太がテレビでパーマンの番組を観ている、という状況での登場でした。現在のアニメ『ドラえもん』の劇中では、パーマンはテレビ番組のなかで活躍する架空のスーパーヒーロー、という設定なのですね。劇中劇のなかで動くパーマン1号、2号、ミッちゃんの姿にわくわくしました。悪役として魔土災炎と全悪連の面々も登場し、興奮度が高まりました。『きてよパーマン』が流れただけでもテンションが上がったなあ。


 物語は進み、クライマックスに来て、いよいよパーマンドラえもんのび太たちと絡むことになります。そのさい使われたひみつ道具が“テレビとりもち”。これを使ってテレビ番組のなかからパーマン1号を取り出したことで、同じ空間に『ドラえもん』の登場人物たちとパーマンが共にいる状況ができあがったわけです。
 その場面で、三輪勝恵さんの声をしっかり聴くことができました。三輪さんの最新の声にしびれました。そして、1967年放送開始のモノクロ『パーマン』の時代から今現在まで、一貫して三輪さんがパーマン1号の声を演じ続け、そのみずみずしい少年的な声を保ち続けていることへの敬意と驚きに包まれました。
 


 パーマンのゲスト出演ばかりに注目しがちだった私ですが、お話自体も見応えがあってよかったです。けっこう夢中になって観ることができました。
 ドラえもんの体内に寄生した宇宙害獣モング。この生物に壊滅させられた星の住人たちは、「ハロー宇宙人」(てんとう虫コミックスドラえもん』13巻所収)にて進化放射線の効果でコケから進化したキノコ型火星人と同じルックスでした。このキノコ型火星人、今回は種族ぐるみで気の毒な役回りを負わされたことになります(笑)(このキノコ型火星人のルックスが現在人気を博している“なめこ”のパクりじゃないか、という声もあったようですが、「ハロー宇宙人」が発表されたのは1976年のことなので、前後関係でいえば、「ハロー宇宙人」のキノコ型火星人のほうが圧倒的に早く世に出ています)
 ドラえもんが、自分に寄生したモングを体外に出そうと黒コショウを使った場面では、私が強い愛着をおぼえ、拙著『ドラえもんは物語る』でもページを割いて論じたエピソード「ペコペコバッタ」を思い出しました。「ペコペコバッタ」では、人の体に入ったペコペコバッタを外に出すときコショウを使ったのです。ただし、今回のモングはコショウをかけるだけでは外へ出てきませんでした(笑)


 劇中に『パーマン大百科』なる本が登場したのも、個人的には注目点でした。これを見た瞬間、コロタン文庫『パーマン全(オール)百科』(1984年、小学館)が頭をよぎりました。
 
 コロタン文庫シリーズでは、『ドラえもん』『怪物くん』『忍者ハットリくん』といった藤子作品の“全百科”が刊行されました。『ドラえもん』関連の“全百科”については「続」や「新」など複数種出ましたし、『藤子不二雄まんが全百科』という藤子ファンには最高の“全百科”も刊行されました。それから『キテレツ大百科アッとおどろくからくり道具大図解』といったふうに“全百科”と銘打たない藤子系コロタン文庫も出ていましたね。そんななかに『パーマン全百科』もあったのです。