最近入手した珍品藤子グッズ

koikesan2005-10-07

 当ブログでは、新しく発売になった藤子単行本や雑誌、グッズをとりあげる機会が多く、逆に、古本や昔の藤子グッズを買っても、それについてはあまり触れることがない。金額で言えば、新発売品より古本や昔のグッズに費やしているほうが多いはずだが、このブログでは、新刊や新情報を追いかけるほうを優先している。
 今後も、そういう傾向になっていくと思うが、たまには昔の本やグッズにも触れていこう、ということで、今日は最近入手した珍品藤子グッズ2点を紹介したい。


 珍品といっても、高額のプレミアがついたお宝のことではなく、客観的にはさほど値打ちはないが私の琴線に強く触れた、ちょっと珍しいグッズ、というくらいの意味である。





●「忍者ハットリくんのピンポン・ラケット」
 月刊「少年」(光文社)の付録。『忍者ハットリくん』が連載されていた当時(昭和39年11月号〜43年2月号)のものだが、何年のものかは分からない。雑誌の付録なので、本格的なラケットのつくりからは程遠く、ベニヤ板みたいな素材を張り合わせ簡易に薄っぺらく作られている。


 ラケットの片面には、忍者ハットリくんの姿が、ラケットの輪郭に合わせた頭でっかちなデザインでプリントされている。藤子A先生が描いた絵だと思う。その裏面にも、頭でっかちにデフォルメされた『忍者ハットリくん』の登場人物がプリントされていて、普通なら、そこに描かれるのは、ケン一かシンゾウ、ケムマキ、ジッポウあたりになりそうなものだが、このラケットではそういうキャラではなく、シノビノ博士の娘・オヒメちゃんが選ばれている(写真参照)。



 片面には、刀を抜いて跳び上がろうとするハットリくん、もう片面には、それを憧れの眼差しで見つめているかのようなオヒメちゃんが描かれたピンポン用ラケット。『忍者ハットリくん』グッズは数あれど、オヒメちゃんがほかのキャラを差し置いて主人公のハットリくんと同格で扱われたものは見たことがない。






●「まんが大行進 ウールワッペン当て」
『サスケ』『どろろ』『巨人の星』『もーれつア太郎』など、人気マンガのキャラクターがプリントされたワッペン60枚が一つのシートになっている。駄菓子屋のくじ引き用商品らしく、ワッペンは大きさと形によって1等から4等まで分けられている。裏をめくると1等とか2等とか書かれているくじ60回分も同封されていた。


 この60枚のワッペンの中に、われらが藤子両先生が生み出したキャラクターも混じっている。『ウメ星デンカ』のキャラが一番多く、デンカをはじめ、王さま、おきさきさま、みよちゃんの姿が見られる。『21エモン』からは、21エモン、モンガー、ルナが登場。
 藤子不二雄A先生のキャラも1枚だけ含まれていた。なんと、『黒ベエ』の主人公・黒ベエがワッペンになっているのだ。ブラックユーモアマンガの意地悪な主人公を、他の人気マンガキャラと一緒にワッペン化してしまうセンスが素敵だ。
 このワッペンで描かれた黒ベエは、『黒ベエ』連載第1回が発表された「週刊少年キング」昭和44年28号の表紙に載ったカラー絵を模写したもので、実際に本編で登場する黒ベエとは若干デザインが違っている。ワッペンの黒ベエは、全身真っ黒で、頭に赤いタコが張りついており、腹巻みたいなものを身につけている。


 ここで使われた各キャラクターを見ると、このワッペンは、昭和44年ごろに発売されたものと推測される。これだけ豪華なキャラクターを集めているものの、残念ながら無版権の商品で、どのキャラの絵も、パチもんテイストあふれる拙劣な画風になっている。だから、このワッペンのウメ星デンカは、本当は〝ウメ星デンカもどき〟と言うべきだし、21エモンも黒ベエも同様だ。
 とはいえ、『ウメ星デンカ』『21エモン』『黒ベエ』という3つの藤子作品が一堂に会したグッズというのは、それだけでユニークだし、とくに『黒ベエ』グッズなんて正規の商品でもなかなかお目にかかれない珍しさなので、ついつい買ってしまったのである。