藤子・F・不二雄大全集第3期第3回配本

 25日(金)、藤子・F・不二雄大全集第3期第3回配本分が発売されました。
 
・『ドラえもん』16巻
 1977年・78年度に生まれた人が小学生時代にリアルタイムで読んだ話を収録しています。
 冒頭に収録された「バードキャップ」が発表された当時、私はバードウオッチングを趣味としていたので、この話を「小学一年生」で読んだときはかなり個人的なツボにはまりました。私は当時、とっくに小学生ではありませんでしたが、『ドラえもん』をはじめ藤子マンガが連載されているからという理由で「小学一年生」から「小学六年生」までを毎月購入していたのです(笑) 「バードキャップ」は、しずちゃんの家の庭にオナガという野鳥が来ている場面から始まります。この場面を初めて読んだとき、オナガって関東にはいるけどこっち(愛知県)にはいないんだよなあ、しずちゃんの家は東京だからオナガが来るんだなあ、などと思ったものです。
「なんでもそうじゅう機」は、のび太たちが土管に乗って空を飛ぶ場面が大好きです。今月初めから有隣堂で配布されている「有鄰」第517号で発表した拙文「藤子・F・不二雄作品の魅力」で、『ドラえもん』には土管を空飛ぶ乗り物に仕立てる話がある、ということを書きましたが、そういう話の一つがこの「なんでもそうじゅう機」です。
「有鄰」は、通常の紙版に加えてWeb版もありまして、紙版よりも遅れて公開されるのですが、第517号のWeb版もアップされました。こちらで拙文「藤子・F・不二雄作品の魅力」をお読みいただけます。ちなみに、ここで使われている藤子・F・不二雄ミュージアムの写真も私が撮影したものです。
 http://www.yurindo.co.jp/yurin/%e6%9c%89%e9%84%b0517%e5%8f%b7/p2-%e8%97%a4%e5%ad%90%e3%83%bbf%e3%83%bb%e4%b8%8d%e4%ba%8c%e9%9b%84%e4%bd%9c%e5%93%81%e3%81%ae%e9%ad%85%e5%8a%9b

ドラえもん』16巻の解説を担当しているのは、ロボット工学博士の杉原知道さんです。杉原さんは、作家の瀬名秀明さんの編著書『ロボット・オペラ』(光文社、2004年)という本で、「ロボットらしく、ロボットらしくなく」という文章を書かれていて、私は、そのとき杉原さんが行なったアンケートに協力したことがあります。アンケート協力者として、たしか私の名前も載せていただいたはずです^^
 今年発売された瀬名さんの『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』(小学館)の巻末に、瀬名さんと杉原さんはこの小説のために5時間にわたる議論を重ねた、と書かれています。


 
・『T・Pぼん』2巻
 第2巻には、掲載誌が「コミックトム」になってからの話が収録されています。『T・Pぼん』は一話一話が実に読み応えがあって読後の充足感が大きいです。
 今巻に挟まれていた「月報」には、F先生がマヤ遺跡へ取材旅行に行かれたときの写真が掲載されています。このときの取材が今巻収録の「チャク・モールのいけにえ」で題材にされているわけですが、この劇中にF先生をモデルにしたタラ子タラ夫という漫画家が登場します。この話を初めて読んだとき、この場面にたいそう心がときめきました(笑) F先生には娘さんが3人いらっしゃいますが、この劇中では3人の息子がいる設定になっています。
「ドラキュラの館」の劇中に登場する角川選書ドラキュラ伝説』という本も、個人的に思い出深いです。この本を古書店で見つけたとき、思わず手に取って購入してしまった、という思い出があるのです(笑)
 今巻の解説を書いているのは、モデル・女優の菊池亜希子さん。不覚にも私はこの人が藤子Fファンだとは存じ上げませんでしたが、解説の文章は熱のこもったもので、F作品への思いが伝わってきました。


 
 ・『ベラボー』
『ベラボー』初の単独単行本です。私が『ベラボー』を初めて読んだのは、希望コミックス『ポコニャン』下巻(潮出版社)の巻末に収録された2編でした。その後、藤子不二雄ランド中央公論社)の巻末マンガとして全話のうちの8割ほどが掲載されましたが、これまで単独で単行本化されたことはありませんでした。いつも、ほかの作品の単行本の巻末に付録のように収録されるのみだったのです。それがついに堂々と『ベラボー』というタイトルで単行本化(しかも全話収録)されたわけですから感慨深いものがあります。
『ベラボー』は、しのだひでお先生が作画協力をしており、今巻の解説もしのだ先生が担当しています。解説でしのだ先生が語ってらっしゃる内容は、ご本人の口からじかにうかがったものが多いため、それがこうして活字になっているのを読むと、しのだ先生のハキハキとした口調が聞こえてくるような不思議な感覚になります(笑)