『金魚屋古書店』に『バラとゆびわ』が登場

 藤子ファンのための月刊情報紙「月刊ぽけっと」2月号の〝藤子情報局〟を見ると、「月刊IKKI」3月号(小学館)の芳崎せいむ著『金魚屋古書店』で、藤子不二雄先生(藤子・F・不二雄先生)の『バラとゆびわ』がとりあげられている、とあったので、さっそく買って読んでみた。漫画といえば〝高額で売れるかどうか〟だけにしか興味のなかったセドリの男が、漫画を心から愛する男と出会うことで漫画に対する意識を改めていく、というストーリーのなかで、『バラとゆびわ』が重要な役回りを果たしていた。セドリの男が『バラとゆびわ』の内容を読むため手にした本が、中央公論社の愛蔵版『まんが道』だった点も目を引いた。
金魚屋古書店』の末尾に『金魚屋古書店雑記帳』というコラムが載っていて、熊本の古書店「キララ文庫」の橋本博さんが『バラとゆびわ』について書いている。それを読むと、橋本さんは15年ほど前、古本屋で『バラとゆびわ』が300円で売っているのを発見し、震える手でお金を差し出して購入したそうである。19日深夜放送の「ノブナガ」で、『バラとゆびわ』を300円で入手した背取り屋の話を聞いたばかりだったので、「『バラとゆびわ』を300円で買った人がここにもいた!」とちょっと驚いてしまった。
『バラとゆびわ』は、ストーリーも絵も素敵だし、本の版型やデザインも魅力的で、そのうえ古書としての価値が途方もなく高く、藤子マンガコレクターには憧れの一冊である。