古書店めぐり

 先々週の話になりますが、友人と名古屋の古書店をめぐりました。大須から上前津鶴舞にかけてが“名古屋の古書店街”と言えなくもないエリアでして(10数店ほど点在するのみですが)、そのあたりを歩いてきたのです。
 
 古書店めぐりは「まんだらけ名古屋店」からスタート。

 

 
 
 

 

 
 大学堂書店2階のマンガ評論・研究本の棚に、拙著『藤子不二雄Aファンはここにいる』Book1・2(社会評論社)が並んでいました。この本を古書店で目撃するのは初めてなのでちょっと新鮮でした(笑) 

 

 
 写真を撮りそびれた店もあるのですが、以上のような古書店をめぐって楽しんだのでした。


 私は見物中心であまり買わないでおこうと思っていたのですが、古書店の棚を眺めているとついつい購買欲がわいてきて、結局何冊か入手することになったのでした。
 今回購入した古書のなかから、藤子関連のモノを紹介しましょう。
 
●「S・Fマガジン」1970年11月臨時増刊号(早川書房
 藤子・F・不二雄先生のSF短編『ドジ田ドジ郎の幸運』の初出誌です。「S・Fマガジン」でF先生の作品が初めて載ったのがこの号です。
 同号は3つの特集を組んでおり、その2つ目が「わが国コミック界のトップクラスの人気漫画家四人に、それぞれユニークな才筆をふるっていただいた本誌はじめての画期的SF漫画特集」。F先生のほか、石ノ森章太郎先生、松本零士先生、永井豪先生が短編マンガを発表しています。
『ドジ田ドジ郎の幸運』は、先月発売された藤子・F・不二雄大全集『SF・異色短編』第4巻に収録されています。初出版は全16ページですが、大全集など単行本に収録された版は加筆修正がほどこされ全18ページとなっています。主に、終盤の場面に加筆修正があり、ラストのコマも描き換えられています。ラストのコマの意味内容自体は改変されていませんが、コマの大きさやナレーションの言い回し、登場人物のアングルなどが異なっています。
 初出版を読んで特に注目したのは、扉ページをめくった1コマ目(2ページ目の1コマ目)です。初出版も単行本版も絵はほぼ同一なのですが、初出版にはコマの中央部分に「偶然」に関する賢人の言葉が3点引用されているのです。

・世界の生成は偶然に エピクロス


・しかも必然は常にこみ入った偶然を介してのみ現象 世界大百科事典


・有限の世界における偶然は与えられた条件の下においての変化の自由度である 賀川豊彦

 初出ではこの3つの言葉が引用されていたのですが、単行本ではこれらはすっかり省かれています。
 こういう差異を確認できただけでも初出誌を買ってよかったと思うわけです。


 
 小学館のテレビ名作『ドラえもん』第1集、2集、3集、5集、9集、『ドラえもんびっくり百科』第2集(小学館、1979〜80年)
 100円棚にあったので、その値段につられて購入しました。内容はドラえもん事典的なコーナーと、アニメのストーリーを紹介するコーナーにわかれています。ドラえもん事典的なコーナーのイラストは、しのだひでお先生が描き下ろしています。


 
 ヒョウタンツギタイムス増刊「ブクツギキュ」(手塚治虫ファンクラブ京都、1989年)
 手塚治虫先生死去関連の新聞記事を集めたスクラップ資料集です。それらの記事のなかに、二人の藤子先生のコメントや弔問のさいの写真が載っています。