『ギャハハ三銃士』単行本初収録!

koikesan2005-10-13

『ギャハハ三銃士』というマンガがある。「週刊少年サンデー増刊」1966年お正月まんが号で発表された読切作品だ。
『ギャハハ三銃士』は、当時「週刊少年サンデー」で連載されていた『おそ松くん』『オバケのQ太郎』『ブラック団』という3つの人気マンガのキャラクターが一堂に会するお祭り的な作品で、各マンガの作者、赤塚不二夫藤子不二雄つのだじろうが合同で執筆するという、贅沢な企画であった。


当ブログ9月15日の記事で紹介した『オハゲのKK太郎』*1も、『おそ松くん』のチビ太と『オバケのQ太郎』のオバQが一緒に登場する赤塚&藤子の共作マンガだが、『ギャハハ三銃士』は、そこにつのだじろうが加わったうえ、全48ページ*2という大ボリュームの本格的コラボレーション作品に仕上がっている。
 本作のトビラには、「おそ松・オバQ・ブラック団合同傑作大長編!!」「さあ、みなさん、史上最高にゆかいなまんがのはじまり、はじまりー!! おそ松・オバQ・ブラック団の活躍を、バッチリみてネ!!」とアオリが入っている。


 内容的には、様々なテストを通過したデカパン、オバQ、タロー、チビ太の4人が、おつむがパーの王さまのため、隣のイヤミ国へ「おつむのさえるクスリ」をとりにいくという、ギャグ満載の冒険物語である。イヤミ国へ向かう道中で4人を妨害する数々の敵キャラをはじめ、たくさんのキャラクターが次から次へと登場するため、終始賑やかな雰囲気があふれている。通常は別のリーグ・チームに所属する選手が一緒になって試合をするプロ野球オールスター戦のような、祭典的ムードたっぷりの作品なのだ。
 この作品のなかで、藤子・F・不二雄先生はオバQを、藤子不二雄A先生は小池さんを描いており、その他いろいろなキャラクターに藤子両先生(主に藤子・F先生)の筆が見られる。





『ギャハハ三銃士』は、初出以後、単行本に収録されることがないままだったが、2002年になってようやく「赤塚不二夫漫画大全集DVD-ROM」小学館)に収録され、公の目に触れる機会を得た。しかし、「赤塚不二夫漫画大全集DVD-ROM」は、セット販売しかなく、7万円という高価格だったため、おいそれと手を出せる商品ではなかった。
 それがこのたび、オンデマンド出版で昔の名作マンガを販売しているコミックパークから、DVD-ROM版のデータをもとにした「赤塚不二夫漫画大全集 オンデマンド版」全271巻が発売になり、各巻をバラで買える運びとなったのだ。オンデマンド出版とは、簡単にいうと、本の版下をデータ化しておき、お客さんから注文があった冊数だけプリントアウトして製本する、というシステムである。


赤塚不二夫漫画大全集 オンデマンド版」全271巻のうち、『ギャハハ三銃士』を収録したのは、『1960年代 その2』である。税込価格1260円、簡易製本、カバーなし、全192ページで、表紙に赤塚氏と藤子A先生が隣り合って並んだ写真が使われている。
 ついに『ギャハハ三銃士』を単行本で読めるんだ、という感慨がわいてくるし、藤子A先生の姿が表紙を飾っているというのも私の食指を動かした。


『1960年代 その2』の詳細は、下記URLで見ることができる。
http://www.comicpark.net/cm/comc/detail-bnew.asp?detail=1&flag=-1&searchtype=all&keyword=COMC_ASG00143_142




 現在、『オバケのQ太郎』という作品そのものは絶版状態で、諸事情により復刊困難との声も聞こえてくるほどだが、そんななか、藤子先生が直接描いたオバQが活躍する『ギャハハ三銃士』が単行本に収録されたのは、一筋の光明といえよう。竹書房文庫『おそ松くん』22巻には『オハゲのKK太郎』が収録されたことだし、この勢いに乗って『オバケのQ太郎』本体も復刊されることを祈りたい。


赤塚不二夫漫画大全集 オンデマンド版」は、メジャーからマイナーまで様々な赤塚不二夫作品に触れるチャンスでもある。一冊から注文できるし、原則的に絶版はないので、藤子先生のトキワ荘時代からのマンガ家仲間である赤塚氏の作品を一挙に(あるいは順次)読んでいくには絶好の機会だろう。
赤塚不二夫漫画大全集 オンデマンド版」全271巻のラインナップをご覧になりたい方はこちらを。
http://www.comicpark.net/cm/comc/detail-bnew.asp?detail=1&flag=-1&searchtype=all&keyword=COMC_ASG00143



・参考
ka-kaname氏のブログ「マンガ狂時代」がこの件に詳しいので、ご参照ください。
 http://mangakyou.exblog.jp/1944676/

*1:『オハゲのKK太郎』/初出「週刊少年サンデー」1966年3月13日号/全6ページ

*2:『ギャハハ三銃士』の本編はトビラページを入れて全48ページだが、それとは別に、登場人物紹介ページが1ページある。