「国際オバケ連合」復活!

 本日25日、藤子・F・不二雄大全集第7回配本分が発売になりました。『ドラえもん』5巻、『パーマン』5巻、『オバケのQ太郎』4巻の3冊。

 これからじっくり読もうと思っていますが、今日は『オバケのQ太郎』4巻に収録された「国際オバケ連合」に着目してみます。


オバケのQ太郎』が長年のあいだ封印状態となった発端といえる出来事が、1989年に起きた黒人差別をなくす会による「国際オバケ連合」への抗議でした。(『オバQ』が封印状態になった理由はこれだけではありませんが)
「国際オバケ連合」に登場するウラネシヤ代表のオバケ“ボンガ”が「黒人差別的な表現」だと問題視されたのです。
 抗議を受けた出版社(小学館中央公論社)は、「国際オバケ連合」の収録された本で当時流通していた3冊(てんとう虫コミックスオバケのQ太郎』5巻、藤子不二雄ランドオバケのQ太郎』12巻、ビッグ・コロタン『藤子まんがヒーロー全員集合』)を回収するという措置をとりました。(『オバQ』「国際オバケ連合」収録の本が回収されたさい、『ジャングル黒べえ』を収録した本も回収されました。『ジャングル黒べえ』は黒人差別をなくす会から直接抗議を受けたわけではなく、出版社の側が気をまわして回収した、との説が有力)
 それ以後、回収された巻をはじめ全ての『オバケのQ太郎』の単行本が増刷されない状況(事実上の絶版状態)が続きました。


・「国際オバケ連合」を収録したてんとう虫コミックスオバケのQ太郎』5巻



 黒人差別をなくす会が「国際オバケ連合」に抗議をした理由については、同会の副会長・有田利二氏が以下のような言葉を残しています。

「お父さん、ここにも黒人差別のマンガがあるよ」。息子がみつけたのは、藤子不二雄作「オバケのQ太郎」の一話「国際オバケ連合」のひとこまです。ステレオタイプ化した、裸に腰ミノ姿の黒人オバケを「人食い人種」にみたて、「バケ食いオバケ」として描き、作中でいく度か「たべてしまえ」などと発言させているものでした。オバQは、子どもたちにたいへん人気があるマンガですので、青少年に与える影響は多大です。私たちはさっそく、同書のシリーズを発行している小学館中央公論社に手紙を書きました。(「ヒューマン・ライツ」1990年3月号)

 黒人差別をなくす会は、実質的には親子3人による団体です。上の発言を読むと、『国際オバケ連合』のボンガを見つけて最初に問題視したのは、息子だったことがわかります。息子が父親に報告することで、出版社への抗議へと発展したわけですね。


 黒人差別をなくす会から抗議を受けて回収や廃止、絶版に追い込まれたもので特に有名なのは『ちびくろサンボ』、カルピスのマーク、タカラのダッコちゃんなどです。マンガ作品では、『ジャングル大帝』をはじめとした多くの手塚作品や鳥山明の『Dr.スランプ』などが抗議を受けています。



 それから時が流れて昨年、藤子・F・不二雄大全集の刊行によって、およそ20年ぶりに『オバケのQ太郎』が陽の目を見ることになりました。(『ジャングル黒べえ』も今年5月の発売がアナウンスされています)
 そうしてついに「国際オバケ連合」が今回発売されたF全集『オバケのQ太郎』4巻に収録されたわけで、それはやはり重みのある出来事といえるでしょう。
「国際オバケ連合」自体は無事掲載されたのですが、作中でアラスカ代表のオバケ“アマンガ”がボンガのことを「人間でいえば人食い人種にあたる」と説明していた台詞は、全集において「オバケを食べちゃうオバケじゃよ」に改変されています。ボンガの図象がちゃんと掲載されたのは本当に良かったと思いますが、「人食い人種」というワードはNGだったようです。


 
 私はこの「国際オバケ連合」をモチーフとしたパズルを持っています。エポック社の「プレイパズル」という品。定価150円、昭和41〜2年頃に発売されたものと思われます。

・パズルの図柄の左下にいるのが、問題とされたバケ食いオバケ“ボンガ”です^^



 F全集『オバケのQ太郎』4巻には、藤子不二雄赤塚不二夫つのだじろうの合筆作品『ギャハハ三銃士』も収録されています。特別資料室で、つのだじろうさんが『ギャハハ三銃士』執筆当時のことを回顧しておいでです。
『ギャハハ三銃士』については、当ブログ2005年10月13日の記事で紹介していますので参考になさってください。
 http://d.hatena.ne.jp/koikesan/20051013
 あと、私はこの『ギャハハ三銃士』の初出誌である「週刊少年サンデー増刊」1966年お正月まんが号を所有しているので、表紙をアップしておきます。