藤子・F・不二雄大全集『しゃっくり丸/やじさんきたさん』

 25日(木)、藤子・F・不二雄大全集第4期第3回配本『しゃっくり丸』(同時収録『やじさんきたさん』)が発売されました。
 
『しゃっくり丸』も『やじさんきたさん』も、幼年向け雑誌に連載された珍道中モノ時代劇です。
『しゃっくり丸』は、生まれたときからしゃっくりが止まらない少年が、それを止めるためびっくりするほど怖いものを探しに旅に出るお話。『やじさんきたさん』は、十返舎一九滑稽本東海道中膝栗毛』から材を取ってさまざまなメディアで描かれてきた“弥次喜多もの”の、藤子F初期幼年バージョンです。


 本巻が発売された25日付の中日新聞で、たまたま“弥次喜多もの”のマンガを紹介する記事が掲載されていました。
 中日新聞では、京都国際マンガミュージアムの伊藤遊さんによる「中部マンガ研究所」というコーナーが月一で連載されています。今回の同コーナーは、今年が伊勢神宮出雲大社遷宮が重なる60年に1度の年であることから、中部地方にある伊勢神宮のほうに関係するマンガを取り上げています。そして、伊勢神宮といったら『東海道中膝栗毛』であり、いわゆる“弥次喜多もの”は歌舞伎や映画だけでなくマンガのテーマにもなっているとして、そのテーマのマンガを紹介しているのです。
 紹介されたマンガは、長谷川町子『新やじきた道中記』、土田よしこ東海道中膝栗毛』(マンガ日本の古典)、市東亮子『やじきた学園道中期』、しりあがり寿真夜中の弥次さん喜多さん』『弥次喜多in DEEP』です。
 伊藤さんは、ここで紹介した作品のどの弥次喜多伊勢神宮にはたどり着いていないと指摘しています。そう言われてみると、F先生の『やじさんきたさん』も同様に伊勢神宮にはたどり着いていないですね。


 本巻巻末の解説では、山根青鬼先生が、デビュー前後の藤子先生とのかかわりを証言されていてとても興味深いです。