藤子不二雄Aトークショー&サイン会(八重洲ブックセンター)

 21日(土)、八重洲ブックセンターで開催された藤子不二雄A先生のトークショー&サイン会に参加しまた。『@ll 藤子不二雄A』刊行&手塚治虫文化賞特別賞受賞記念のイベントです。
 
 当初の発表では、トークショー参加定員が100名で、イベント当日その100名から抽選で50名のサイン会参加者が選ばれる…ということでした。来場した100名のうち、半分はサインがもらえて半分はもらえないという、ある意味残酷な条件だったのです(^^ 
 ところがイベントの数日前、藤子A先生のご厚意で100名全員にサインをしてもらえることになった、と告知されたのです。なんという朗報!サインをもらえない50名の側に入る悲しみを味わわずにすんで、ホッとした気持ちにもなりました。ほんとうにありがたいです。



 A先生のトークショーは、8階の講演室で午後2時からスタート。私はいちばん前の席で観覧しました。
 司会進行(質問役)は、小学館の西堀さん。昨年7月アニメイト池袋本店で開催された「ビッグコミックススペシャル『愛…しりそめし頃に…』完結巻発売記念 藤子不二雄A先生トークショー&サイン会」でも同じ役割を担当された方です。
 西堀さんによると、今回は参加整理券が定員に達するまでの時間がこれまでの同会場のイベントで最速記録だったとか。
 トークショーは『@ll 藤子不二雄A』の中から西堀さんがトピックを拾い上げ質問していくかたちで進められました。巻頭のA先生ご自身登場のピンナップの話題から斬り込まれました。A先生は、ふざけて撮った写真がこんなピンナップになって恥ずかしい(笑)と反応。
 このピンナップにA先生の座右の銘「明日にのばせることは今日するな」が掲げられています。A先生はどうしてこの言葉が座右の銘となったのかをお話になりました。A先生がこの言葉に出会ったのは『アフリカの女王』という映画なのですが、そのときA先生はアメリカの余裕を感じたのだそうです。先生の少年時代は戦争のため明日がどうなるかもわからない余裕のない状況でした。そんな時代を過ごしてきたからこそ、この言葉を素晴らしいものと感じ、明日があるんだから、明日にのばせることなら明日やればいいんだ!という心のかまえを持つようになったのです。



 A先生がカラオケでよく唄う曲として「胸の振子」や「孤独の唄」などが紹介されました。A先生は、「胸の振子」が流れる映画『トキワ荘の青春』のエンディングを観ていると自分がまたトキワ荘時代に戻ったような気持ちになって涙が出てくるそうです。その言葉を聴いて私まで泣けてきそうでした。
「孤独の唄」は、A先生原作のアニメ『笑ゥせぇるすまん』のテーマ曲で、A先生ご自身が作詞を手掛けています。先生はこの曲をとても気に入っているのですが、あまり人気がなくカラオケでも歌ってもらえないので自分で歌っているのだとか。「今でもこの曲のカラオケ印税が少しだけ入ってきますが、これはぜんぶ僕が歌った分だと思います(笑)」



 A先生は幅広いジャンルの作品を手掛けている、という話にもなりました。メジャーな雑誌だと人気競争が激しくアンケートの結果によって容赦なく連載を切られるので、そうではない(好きなことをやらせてくれる)雑誌で実験的なことをよくやった…というくだりで、秋田書店の名が挙がりました。そこから『魔太郎がくる!!』の話題に。
「『魔太郎がくる!!』を描くまでは、いじめをマンガの主題にするなんて発想が(自分にも漫画界全体にも)なかった。僕はいじめられっ子だったので、いじめられっ子を主人公にすれば読者との連帯感や共通感が生まれるんじゃないかと思った。でも、ひたすらいじめられているだけじゃ面白くないので、いじめられっ子に実はすごい超能力があって、いじめっ子に復讐を実行する、という話にして、読者にカタルシスを味わってもらえるようにした。社会に対していじめ問題を訴えるために描いたのではなく、あくまでも読者に楽しんでもらうために描いた」



 トークショーが終了すると、サイン会の準備が完了するまでのあいだ、A先生の撮影タイムが設けられました。
 
 
 
 ・相変わらずダンディでチャーミングなA先生です♪



『@ll 藤子不二雄A』の巻末で、トキワ荘14号室へ引っ越すことになった藤子先生のもとへ届いたテラさんの手紙が公開されています。A先生はトークショーのなかで、この手紙を「宝物」とおっしゃっていました。今でも読み返すと涙がこぼれてくるとか。私は先生のこの発言に大いに感銘を受け、サイン会で自分の順番がまわってくると「安孫子先生が語られるテラさんのお話は、聴けば聴くほど感動します!」と伝えました。あと『@ll 藤子不二雄A』の奥付に「留守番担当」としてA先生の姪御さんの愛犬ウゾースキーの名が記されていたので、個人的なツボとしてこれも話題にさせていただきました。
 
 ・A先生のサイン! 本が大判なのでサインも大きめです。
 
 ・特製ポストカードもいただけました。



 そういえば、このイベントが行なわれた部屋の入口にA先生のご著書や関連本のコーナーが設けられており、そのなかに拙著もまぜてもらえていました♪
 
 感激〜!



 イベント後は藤子ファン仲間と新橋の居酒屋で飲み、それからカラオケに行って、「孤独の唄」をはじめ藤子Aソングをたくさん歌うことでA先生のカラオケ印税に貢献したのでした(笑)
 カラオケに行ったのは何年ぶりだろう…、というくらい久しぶりでした。



 先月末の手塚治虫文化賞贈呈式に続いてA先生の楽しいトークとお元気なお姿に触れられて、感謝と感激でいっぱいです。
 ありがとうございました!



 ※イベント情報
 早稲田大学で『ドラえもん』関連の講演会が開催されます。『ドラえもん』を通して子ども観を再考することを目的とした催しのようです。

●2014年度春学期早稲田大学教育・総合科学学術院教育会企画「ドラえもんから子どもたちを考える【「子ども」と「大人」とは何だろう?】」
・開催日:2014年7月5日(土)
・入退場自由:入場無料
・開催会場:早稲田大学早稲田キャンパス10号館109教室
・講師:小林英造(脚本家・作家)、辻村深月(小説家)、徳山雅記ドラえもんルーム編集長)
 http://web.edu.waseda.ac.jp/school/modules/event/index.php?page=article&storyid=58