「萩尾望都SF原画展」

先月29日、第20回手塚治虫文化賞記念イベント・贈呈式のため東京へ出かけたおかげで、武蔵野市立吉祥寺美術館で開催されていた「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」(4月9日〜5月29日)の最終日になんとか間に合いました。
 
 
 
 東京に着いてから手塚治虫文化賞記念イベントが始まるまでの合間を縫ってだったので、会場内にいられたのは1時間未満でしたが、萩尾先生の美しい原画を堪能できました。初期の短編作品から、『11人いる!』『スター・レッド』『百億の昼と千億の夜』『銀の三角』などなど、200点を超える原画が展示されており、萩尾SFの世界に魅了されました。萩尾先生が他作家の小説のために描いた挿絵や本の表紙画なども観られました。
 
 
 
 ・撮影スポットです。


 会場の一角では、4月16日におこなわれた萩尾先生とヤマザキママリ先生のSF対談の映像が流されており、萩尾先生が「ひところは藤子先生の『21エモン』が私のバイブルだった」とおっしゃる場面に感激しました。ヤマザキ先生も『21エモン』が大好きということで、お二人の『21エモン』談義が盛り上がりました。ヤマザキ先生は、日本と海外合わせて3ヵ所に家をお持ちなのですが、その3ヵ所すべてに『21エモン』を置いているそうです。ヤマザキ先生いわく、エモンくんのホテルにはいろんな宇宙人が来て、それぞれ性質が異なっているのに、そのすべてを受け入れ、もてなす、その精神がすばらしい、とのこと。萩尾先生も「(エモンくんたちは)コミュニケーションスキルが高い」とヤマザキ先生の説に同調されました。異文化コミュニケーションをコメディタッチで描いた傑作SF、という評価ですね。
 お二人は『モジャ公』もお好きだとか!


 この展覧会、入場料を事前にちゃんと確認せず、なんとなく千円前後というイメージで出かけたんですが、受付で入場券を買うとき「100円です」と言われ、「え、100円?」と一瞬耳を疑いってしまいました(笑)この規模で100円とは、なんともありがたい限りです♪

 

 ※萩尾望都先生といえば、先月28日ごろ発売された「月刊フラワーズ」7月号で『ポーの一族』の新作を発表されました。まさかこの年になって『ポーの一族』の新たな話を読めるとは思っていなかったので、おおいに驚嘆しました。
 
月刊フラワーズ」7月号は書店に並んだ日にすぐ購入しました。『ポーの一族』最新作のほか、萩尾先生の過去作『訪問者』『湖畔にて』を収録した別冊ふろくがついていたり、萩尾先生と山岸凉子先生による読み応えのある対談が掲載されていたりと、歓喜の声をあげたくなる一冊です。


 ここで藤子関連の話題に引きつけますと、藤子・F・不二雄先生の娘さんは萩尾望都先生のファンでいらっしゃって、あるインタビューで藤子F先生は「ウチの娘は萩尾さんのファンで全集も何冊か持っているので、私も“ポーの一族”なんか読みました」と語っておられます。『エスパー魔美』の「天才少女・魔美」という話では、魔美が「「ポーの一族」みたいな大傑作をかくからねー」と話す場面があって、このセリフには、娘さんが萩尾望都ファンであることが投影されているのではないでしょうか。