藤子・F・不二雄ミュージアムのSF短編原画展第三期

 藤子・F・不二雄ミュージアムドラえもんの誕生日をお祝い

 https://koikesan.hatenablog.com/entry/2023/09/05/190042

 

 ↑こちらの記事で書いたように、さる9月3日、ドラえもんの誕生日に藤子・F・不二雄ミュージアムへ行ってきたわけですが、2022年10月22日から開催中のSF短編原画展は第三期(7/1~10/23)の展示でした。

 展示品のなかに藤子・F・不二雄先生がハヤカワ文庫『宇宙兵ブルース』のために描いた画稿がありました。第二期でハヤカワ文庫『ジェイムスン教授シリーズ〈1〉二重太陽系死の呼び声』の挿絵用画稿が展示されており、その流れで第三期は『宇宙兵ブルース』の画稿がチョイスされたのでしょう。

 

 小説『宇宙兵ブルース』の著者は、アメリカのSF作家ハリイ・ハリスンです。そのハリイ・ハリスンが『宇宙兵ブルース』のあとに書いた長編小説が『人間がいっぱい』で、『人間がいっぱい』を原作とした映画が『ソイレント・グリーン』になります。

 

 『ソイレント・グリーン』といえば、藤子ファン的に思い出すことがあります。藤子F先生がこの映画を観て自作の短編『定年退食』と似ていることにショックを受け、「安直にマネしたと、読者に受け取られても仕方のない状況」と感じた作品なのです。しかし先生は、「絶対に絶対に盗作などではありません!」ときっぱり訴えておいででした。

 『ソイレント・グリーン』という映画の存在を私が若いうちに知れたのは、藤子F先生がそういう発言をなさったからです。

 

・『ソイレント・グリーン』は50年前に公開された映画ですが、その作中の舞台は去年(2022年)だったのですね…。

 

 話のついでにいうと、先掲のハリイ・ハリスンの小説『人間がいっぱい』という邦題から、私の藤子ファン脳は藤子F先生の短編『箱舟はいっぱい』を反射的に連想します。藤子F先生は『箱舟はいっぱい』の題をつけるさい、この『人間がいっぱい』や、あるいはパトリシア・ハイスミスの犯罪小説で映画化もされた『太陽がいっぱい』に触発された部分もあったのかしら…。

 

 藤子・F・不二雄ミュージアムで『宇宙兵ブルース』の画稿展示を観て、そんなふうなことを思ったのでした😆

 

 

 SF短編原画展第三期について少々書きましょう。

 SF短編原画展の冒頭の展示作品は、第一期から第三期まですべて『ミノタウロスの皿』でした。やはりSF短編を代表する作品ですものね。

 ただし原稿のページは会期ごとに入れ替えられていて、今期は「言葉は通じるのに話が通じない……」のページから始まって数ページが選ばれていました。

 

 『劇画・オバQ』の原稿は、オバQ天国について描かれたページに注目しました。旧『オバケのQ太郎』の一コマをコピーし加筆した紙が貼りつけられている、あのページです。そこに目が行ったのでした。

 また、他の作品と比べて『劇画・オバQ』の原稿は茶色っぽく変色してしまっている度合が高かった気がします。

 

 『コロリころげた木の根っ子』は衝撃の最終ページの原稿が見られました。私の頭のなかでは、「そこへうさぎがとんできて〜〜♫」と聞こえはじめました。それも不穏な曲調で・笑

 

 『みどりの守り神』はやはり、ジャングル化した新宿の見開きスペクタクルシーンが見ものですね!

 

 SF短編と共通のモチーフをもつ『ドラえもん』のエピソードとして展示されていた原稿は、「道とのそうぐう機」と「テレパしい」でした。

 

 雑誌初出版と加筆修正版を比較するコーナーは『ノスタル爺』でした。本作にはコマとコマの間を離してちりばめたページ(「帰ってね、きっとよ!」のページ)があって、そこの原稿を見られたのがよかったです。初出版の原稿からコマを切り抜いて、新たな原稿用紙に貼りつけた痕跡をしっかり確認できました。

 

 そのほか、『タイムマシンを作ろう』『カンビュセスの籤』『流血鬼』『アン子 大いに怒る』『異人アンドロ氏』などの原画が展示されていました。

 

 

 この日、ミュージアムショップでお迎えしたグッズはこちらです。

・タマゴン(『宇宙からのオトシダマ』)ぬいぐるみ

 

 

・原画ポストカード SF短編『宇宙からのオトシダマ』

・原画ポストカード SF短編『劇画・オバQ

・クリアファイル SF短編『劇画・オバQ

 

 

・クリアブックマーク ハレー彗星

・ホテルキーホルダー ドラえもん

 

 

・私が藤子・F・不二雄ミュージアムに行けてなかった期間に発売されたものを中心に、今年新発売の品々のうち特にほしかったものを購入しました。

 

 『宇宙からのオトシダマ』関連のグッズは、Fシアターの最新作『ドラえもん&SF短編 宇宙からのオトシダマ』が2月9日より公開中であることに合わせて登場したものです。SF短編原画展にちなんでミノタウロスの皿の皿やミートキューブ風チーズケーキといったマニアックなグッズが登場したときは、こんなきわどいネタもグッズ化できるんだ!攻めてるなあ!!と感心、驚嘆したものですが、タマゴンのぬいぐるみについてはルックスのかわいらしさや作品の内容からしてグッズ化に向いているよなと素直に思った次第です。

 じっさい、タマゴンぬいぐるみを目の前にするとかわいくてかわいくて。

 しかもこのキャラクターはオトシダマに喩えられるくらい縁起のよいラッキーアイテム的存在なので、かわいらしさと相俟って無性に部屋に置いておきたくなるのです。

 

 

 当ブログの前の記事でも書いたとおり、この日の夜は、ファン31名が参加するドラ誕2023オフ会でした。

 そのオフ会で同じテーブルになったお一人が坊一郎のTシャツを着ていて、他のお一人がバッグに坊一郎バッジをつけている、という状況が発生しました。私はその状況に、坊一郎というキャラがもつ奇妙な磁力の強さみたいなものを感じてしまいました。

(この写真は、「藤子不二雄Ⓐ展 Ⓐの変コレクション」会場で撮影したもの)

 

 坊一郎は藤子不二雄Ⓐ先生のブラックユーモア短編『明日は日曜日そしてまた明後日も……』の主人公です。

 藤子F先生が生んだキャラクターであるドラえもんの誕生日をお祝いする集まりに、藤子Ⓐ先生が生んだ坊一郎のグッズを身につけている人が1人や2人いたとしても、全然ありえなくはないことだとは思うものの、それでも、心躍る奇遇というか、不思議なヒキみたいなものを勝手に感じてテンションが上がったのでした。

 以前にも、そういった感覚(坊一郎のもつ奇妙な磁場)を味わったことがあります。「藤子不二雄Ⓐ展 Ⓐの変コレクション」に7名で行って入場時ランダムに配られた缶バッジ(全3種)を見ると5名が坊一郎だったのです。

 このときたしかに坊一郎が出たらいいなと願う人が多かったと思うのですが、この坊一郎率の高さは願いが通じすぎ…と驚きを感じました・笑

 

 坊一郎単独のグッズは、Tシャツや缶バッジのほかに回転メタルキーホルダーがありますね。

 「藤子不二雄Ⓐ展 Ⓐの変コレクション」のオリジナルグッズです。

 

 ともあれ、ドラえもんの誕生日をお祝いする会で坊一郎グッズを身につけた方お二人と卓を囲めたのはユニークで楽しい体験でした。