十五夜に読む『オバQ』

 今晩(9/24)は十五夜中秋の名月です。
 
 
 天気が悪くて月がまともに見えなかったら寂しいなあ…と思っていたのですが、ちゃんと見られてホッとしています。
 そんななか、『オバQ』と『新オバQ』の十五夜エピソードから以下の3編を再読してみました。


 ・「雨のお月見」(F全集『オバQ』12巻収録、初出「幼稚園」1965年9月号)
 ・「月のウサギ」(F全集『新オバQ』1巻収録、初出「小学一年生」1971年9月号)
 ・「お月さま出ないかな?」(F全集『新オバQ』4巻収録、初出「よいこ」1971年10月号)
 
 

 3編とも幼年向け・低学年向けのお話とあって、ページ数は少なめ。とてもかわいらしくて素直な内容です。オールカラー(2色カラー含む)なのも幼い子向けらしい魅力です。
 「雨のお月見」は、雨が降って見えない月に会うため雲の上まで飛んでゆく話です。
 「月のウサギ」では、月にウサギがいると思っているQちゃんがそのウサギを連れてこようとします。Qちゃんの「月にウサギがいる!」と信じて疑わない心の揺るぎなさに敬服するばかり。
 「お月さま出ないかな?」では、曇ってしまって月が出ないため代わりにドロンパとOちゃんが月に化けてくれます。が、その後ほんものの月もちゃんと出て、夜空に月3つ…という賑やかな中秋の名月になるのです。

 
 「月のウサギ」でQちゃんが信じたように、月に映る影がウサギのシルエットに見えることから「月にウサギがいる」という伝承が各地に存在しています。
 月にウサギがいる理由を語った物語もあります。インドの仏教説話集「ジャータカ」の中の“ウサギの話”です。今にも死にそうなほど飢えた老人を助けたいのに食べ物を見つけられなかったウサギが自分の身を焼いて老人の食べ物になろうとする話です。『エスパー魔美』の「マミを贈ります』でこの説話が紹介されています。高畑くんが魔美に語って聞かせるのです。
 自分の身を焼いて老人に与えたウサギはその後どうなったか。高畑くんの言葉を借りれば、「老人は神さまだったんだ。ウサギを天につれていき、月のウサギにしたという…」