藤子不二雄Ⓐ先生の番組出演

 11月に入って藤子不二雄Ⓐ先生のテレビ・ラジオ出演が続きました。私が事前に出演情報を得ていた3番組については無事視聴できました。

 ・11月1日(木)04:30〜:『NHKニュース おはよう日本』(NHK総合
 ・11月3日(土)13:05〜:『生誕90周年!未来に語り継ぐ 神様・手塚治虫』(NHKラジオ第一
 ・11月4日(日)07:30〜:『シューイチ』(日本テレビ系)

 この3番組を視聴した感想をちょっと記しておきます。


 ●11月1日(木)『NHKニュース おはよう日本』(NHK総合
 同じ人は二人とおらずそれぞれの個性をいかに発揮するかが大事…。弱い人間でもヒーローになれるんじゃないか…。とⒶ先生がご自身の発想法などを語られた場面が印象的でした。そういうところが、私がⒶ先生の作品に子どもの頃から魅惑され続けている大きな因子なんだなあ、とあらためて感じ入りました。
 ナレーションでも、藤子Ⓐ作品は人間の弱さや暗さに目を向けている、といった紹介がありました。そんな人間の弱さや暗さを“人間のもつ多種多様性の面白さ”へと昇華してカタルシスのある娯楽に料理してみせるところがⒶ作品の魅力だなあ、と思うわけですが、そう思ったそばから、そんなふうにひとことで言いきれないくらいⒶ作品は多種多様で幅広いんだよなあ、との思いも生じてきます。


 ●11月3日(土)『生誕90周年!未来に語り継ぐ 神様・手塚治虫』(NHKラジオ第一
 11月3日は手塚治虫先生のお誕生日。しかも今年は生誕90周年という記念すべきお誕生日でした。そんな重要な日に、3時間弱にわたる手塚治虫特番がラジオで生放送されたのです。出演者のひとりに藤子不二雄Ⓐ先生がいらっしゃり、『新寶島』の革新性に関するお話を皮切りに、トキワ荘入居時手塚先生にお世話になったこと、高校卒業時宝塚の手塚先生宅を訪問したことなどをお元気に語られました。カラテカ矢部太郎さんはⒶ先生のお話を目の前で聴けてテンションが上がり興奮状態でした。
 『ジャングル大帝』の最終回を手伝った、という話題もありました。Ⓐ先生は主に、最終回で吹き荒れる“吹雪”を描かれています。そのエピソード自体は『まんが道』に出てきますし、Ⓐ先生の口からもよく語られるのですが、今回は竹内オサムさんが「(手塚先生から)この吹雪はこう描けという指定はなかったんですか?」と質問してくださったおかげで、さらに話が広がりました。Ⓐ先生はこうお答えになりました。
「一切ない。だいたいのイメージは鉛筆で入っていたけど、あとの効果は、黒いところにホワイト入れたり、点描だけにしたりというのは、僕が考えて描いた」
 Ⓐ先生は手塚先生から演出指導を受けてあの吹雪を描かれたのではなく、ほとんどご自分の創意工夫で描かれていたのです。なので、ある意味、あの吹雪はⒶ先生入魂の表現と言えるかもしれません(笑)
 そのように生放送で語られたⒶ先生のお声の記憶が私の中でホットなうちに、さっそく『ジャングル大帝』の最終回を読み返しました。
 
 「漫画少年」連載版を再現したこの単行本で読みました。
 すさまじい吹雪が襲いかかる雪山で、同行者が一人また一人と亡くなっていき、ついにはレオとヒゲオヤジだけになる…。そしてレオがヒゲオヤジの生存ために自分の命を差し出す…。Ⓐ先生が手伝ったそのシーンは、レオの死という衝撃と、逼迫した悲愴感と、深い感銘にみちています。


 ●11月4日(日):『シューイチ』(日本テレビ系)
 Ⓐ先生のお相手をした中山秀征さんのノリがよいこともあってか、先生は身振り手振りをまじえてノリノリで作品秘話などを語っておいででした。そのお姿を拝見するのが私には悦楽です。原作のコマを映しながら作品紹介していたのもよかったです。Ⓐ作品の擬音にあれだけ着目したのも、こういうたぐいのテレビ番組としては珍しいと思います。
 テロップで『夢トンネル』がブラックユーモア作品にカテゴライズされていて、「えっ?」と反応してしまいました。この作品がブラックユーモアに括られているのを初めて見ましたし、私の感覚ではブラックユーモアだと思ったこともないので、蒙を啓かれた気がしました(笑)
 音声無しでしたがⒶ先生が『水中花』について何かレクチャーされているシーンが映し出されました。どんな話をされたのか聞きたかったなあ。Ⓐ先生が『水中花』について何か語っておられるのを聞いた記憶がないので…。
 Ⓐ先生ご出演シーンのVTRが終わってカメラがスタジオに戻ってから、スタジオにいる芸能人・著名人がⒶ作品の話で盛り上がって、その光景を眺めるのも楽しかったです。
 話が前後しますがⒶ先生ご出演シーンになって初めのほうでかかったBGMが『忍者体操一、二ン、三』でした。この曲を聴くとつい思い出してしまうのが、1981年アニメ『忍者ハットリくん』スタートに際して放送された番宣番組です。二人の藤子先生、『忍者ハットリくん』の声優さんたち、番組MCのタモリさんら、そして子どもたちが皆でこの体操をしたのですが、F先生がワンテンポ遅れ気味にぎこちなく動いておられたのがいまだに心に残っているのです。運動が苦手だとよくおっしゃっていたF先生ですが、ほんとうに苦手でいらっしゃるんだなあ…と如実に伝わってくるシーンでした。体育嫌いの私は親近感を抱くばかりでしたが(笑)



 ※藤子FCネオ・ユートピアから、さらなるⒶ先生テレビ出演情報が届きました。
 11月8日(木)、フジテレビの情報番組『ノンストップ!』にⒶ先生が出演されるそうです。こちらの地方では放送されていない番組で個人的には残念ですが、Ⓐ先生がメディアにどんどん登場されている状況は素直に嬉しいです。