ショウワノート高岡工場オリジナルグッズとキー坊

 ショウワノート高岡工場で販売されているオリジナルのドラえもんグッズです。

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 ドラえもんにじょうろで水をかけてもらって大喜びのキー坊がたまらなくかわいい!!

 

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・クリアファイル

 

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・ノート、ポストカード

 

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・ピンバッジ、ふせん

 

 ショウワノート高岡工場は、その名のとおり、藤子先生のふるさと富山県高岡市にある文房具工場で、ジャポニカ学習帳の製造で知られています。その工場の壁面に描かれたイラストがオリジナルグッズのデザインにも使われているのです。

 

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 購入した商品を入れるショップ袋がじつにジャポニカ学習帳ショウワノートらしくて魅力的です。パッと見たら素っ気ない印象ですが、洒落っ気に満ちたデザインなのです。

(これらのグッズは、ざっきーエモンさんが高岡へ行ったとき私の分も買ってきてくれたものです。ありがとうございました!)

 

 

 キー坊は『ドラえもん』の一編「さらばキー坊」(てんコミ33巻)に登場したキャラクターです。

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 裏山が大好きなのび太。そこで木の赤ん坊を見つけます。生えだしたばかりの、細く低い木です。育てば大木になって何百年も生きられるでしょう。

 それなのに、この木が生えている土地は団地の造成のため掘り返されることになっています。たくさんの未来が残されているはずの幼い木の命が、無情にもそこで終わってしまうのです。

 のび太はその木を持って帰って自宅の庭に植えようとします。が、ママに反対されてしまいました。

 そこでドラえもんが出してくれたのが“植物自動化液”です。この液を植物にかけると、自分で自由に動きまわれるようになるのです。

 そのうえ知性まで持てるので、植物が人間のように思考し、人間のように活動できるようになるのです。

 のび太はその木にキー坊と名付けました。キー坊は無邪気でかわいらしい存在であり、それとともに、教養番組を好むような知的好奇心旺盛なタイプでもありました。かわいげがあって性格が良くて頭もいい、そんなマスコット的かつ優等生的な完全無欠系キャラクターなのです。

 

 キー坊の完全無欠性を最も物語るエピソードは、地球の全人類と全動物を救ってくれたことです。

 わがもの顔で地球を支配し自然を破壊し植物を絶滅へと追い込んでいる地球人。そのさまを発見した植物型宇宙人は、自分らと同類である地球の植物たちを救おうと全植物の移住計画に取りかかります。

 全植物が地球から他の星へ移されたら、酸素を作りだしてくれる存在がいなくなり、人間も他の動物も生きていけません。人間と動物の滅亡の危機です。

 そんなとき、地球人を擁護し、植物の移住計画をやめるよう説得してくれたのがキー坊なのです。地球の平和を守ってくれたヒーロー級の活躍です。それも武力の行使ではなく話し合いで平和的に解決してくれた! ありがとうキー坊!!

 そうしてこの物語はラストを迎えます。キー坊は進化した植物文明を学ぶため植物型宇宙人と一緒に宇宙へ旅立ちました。「さらばキー坊」というわけです。

 

 キー坊はまだ幼いのに、多くの知識を身につけたばかりか、植物型宇宙人の大がかりな計画を弁舌のみで変更させてしまうほど、知識を伝える力や人の心を動かす力まで会得していて、私はただただ感嘆するばかりです。

 のび太たちとの別れはつらいのに宇宙へ旅立つ決意をしたのは、進化した植物文明を見たいという知的好奇心が動機です。これは将来大物になるぞ!と思わせるメンタリティです。「さらばキー坊」を初めて読んだころは、宇宙へ旅立ったあとのキー坊の将来について具体的に考えることなんてありませんでしたが、のちにキー坊の将来を知る機会が訪れることになります。

 

 キー坊の話から少しズレますが、「さらばキー坊」のなかに、植物型宇宙人たちが会議する場面があります。国会のような場所でさまざまな姿の植物型宇宙人たちが意見を出し、地球上の植物を救うことを決めます。

 この場面を読んで私の頭に浮かんだのが、藤子F先生のSF短編『征地球論』です。

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・『征地球論』の宇宙人たち(藤子・F・不二雄ミュージアムのカフェメニュー「宇宙人からのクレーム?!タルト」より)

 

 『征地球論』では、いろいろな模様の宇宙人たちが国会のような場所で地球征服を実行するかどうかの議論を繰り広げます。複数の宇宙人たちが地球の実態を調査し地球の命運を握るような議論を国会のような場所でおこなっているという点で、「さらばキー坊」の会議場面とイメージが重なるのです。

 「さらばキー坊」の植物型宇宙人たちによる会議はただちに地球の植物の移住計画を議決しますが、『征地球論』の宇宙人たちの会議は非常に長引いてなかなか結論に達しません。いろいろな意見が出て議論が果てしなくこんがらかったため、4種類の代表的な意見に整理し、14歳の日本人少年を観察し記録し分析した結果を見ながら、地球征服の計画をどうするか決めることになります。

 ところが、宇宙人たちにとって、地球人とは探れば探るほど不可解な存在で、議論する者たちは疲れ果て、もう少し様子を見ることでその場はひとまず散会となったのでした。

 

 さて、のちにキー坊の将来を知ることになる、と先に述べたとおり、宇宙へ旅立ったキー坊は「さらばキー坊」とは別の作品で堂々と再登場を遂げます。彼が成長した姿で再登場する作品が、『大長編ドラえもん のび太と雲の王国』です。

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 細くて小さかった体ががっしりと太く大きくなり、頭部はアフロヘアのごとく葉が生い茂り、鼻の下にはヒゲをたくわえて、貫禄のある姿に成長したキー坊。彼は、地球の天上界(雲の上の世界)に訪問してきた“植物星大使”という役割で登場したのです。

 天上界で暮らす人々は、地球環境を破壊し続ける地上人に憤り、地上人に汚された地上世界に大洪水を起こして人間の文明を洗い流してしまおうという“ノア計画”をくわだてます。

 そのノア計画をほんとうに実行するかどうか最終判断するための“最後の審判”のとき、植物星大使であり幼いころのび太に助けてもった経験を持つキー坊は証人台に立って、地球人の弁護をし、天上人たちを説得してノア計画を中止へと促してくれました。

 

 というわけで、キー坊は幼いころと大人になってからの2度、その理路整然とした弁舌と誰からも信用される性格によって地球規模の破滅的危機から人類を救ってくれているのです。なんとありがたく、なんと頼もしく、なんと心優しい樹木でしょう!

 そんなキー坊の人類を救ってくれる行為は、のび太ドラえもんへの恩返しの意味合いも大きく、動植物をこよなく可愛がるのび太と可愛がられたことをずっと忘れないキー坊の素敵な性格がもたらした、偉大なる奇跡だと思うのです。

 

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 ・藤子・F・不二雄ミュージアムの森のなかにいるキー坊

 

 

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・『映画ドラえもん のび太と緑の巨人伝』には、ルックスや設定を変えて登場しました。