『チャンピオンズ 〜週刊少年チャンピオンを創った男たちの物語〜』

 『チャンピオンズ 〜週刊少年チャンピオンを創った男たちの物語〜』(魚乃目三太、秋田書店)というコミックスが、4月8日に発売されました。

f:id:koikesan:20200504170926j:plain 「週刊少年チャンピオン」の歴代編集長(全10代、9名)が明かす熱い週チャン秘話が魚乃目三太先生のぬくもりある筆致でマンガ化されています。

 やはり壁さん(壁村さん)の存在感は絶大です。「スナック紅」が週チャン編集者の憩いの場だったこともよく伝わってきました。

 

 各編集長の時代に週チャンで連載開始された主な作品のリストが掲載されていて、藤子作品では、

 ・1969年『狂人軍』

 ・1972年『魔太郎がくる‼』

 ・1976年『ブラック商会変奇郎』

 が見つかります。

 週チャン連載の藤子マンガでは、ほかに『チャンピオンマンガ科(『まんが道 あすなろ編』併載)』があったりしますが、どれも藤子不二雄Ⓐ先生の作品ですね。

 秋田書店から「藤子不二雄」へ連載の依頼があった場合は、Ⓐ先生が担当していたわけです。

 Ⓐ先生が、秋田書店は僕に合っていた、とおっしゃっていたことを思い出します。

 

『バクちゃん』と『空日屋』

 5月に発売されたコミックスで、読んでみて心地よく藤子テイストを感じた作品が2つありました。その2作品を紹介します。

 

f:id:koikesan:20200527065514j:plain

 まずは、ビームコミックス『バクちゃん』1巻(増村十七、5月11日発売)です。

 夢が枯渇してしまったバク星から永住権獲得をめざして地球の東京へ移住してきたバクちゃん。

 ほんわかして、ちっちゃくて、かわいいバクちゃんと、周囲の人々のあたたかいお話ですが、移民が突き当たるシビアな問題や苦労が作品の核にあって、実際にこの日本で暮らす外国人の方々に思いを重ねたくなります。

 

 この作品では「移民」を感じさせる題材として、文化の違い、アイデンティティの問題、永住権獲得までのハードルの高さ、仕事に就く大変さ、移民2世の葛藤などが描かれていきます。

 とくに、第5話に登場するサリーさんの身の上と言葉が刺さりました。

 サリーさんは、掃除の仕事をしています。27年ものあいだ地球で頑張って、娘と息子を育て上げてきました。

 バクちゃんがサリーさんの掃除を手伝おうとすると、サリーさんは、自分の仕事がなくなるから、自分が要らなくなるから、と優しく断ります。

 サリーさんの星は戦争で無くなってしまったといいます。

 バクちゃんが尋ねます。

「27年いて 地球は好き?」

 サリーさんはしばらく黙って考えて、こう答えました。

「選択肢 ないよ」

 このボソッと発せられた短い答えがなんとも重く、胸にズシリと刺さったのです。

 

  入国審査をすませたバクちゃんが東京で初めて知り合った地球人が、ハナという女の子です。その日名古屋から上京したばかりで、名古屋弁をしゃべります。

 名古屋弁をしゃべる女の子が主要な登場人物として描かれているマンガといえば、最近では、浦沢直樹先生の『あさドラ!』が思い出されます。

  名古屋から1人で上京してきたハナは、親戚の家に下宿予定でした。バクちゃんもそこで一緒に下宿させてもらうことになります。

 不思議な異世界の住人が日本の一般の家に住まわせてもらう、というそのかたちは、『オバケのQ太郎』『忍者ハットリくん』『ウメ星デンカ』『ドラえもん』などなどで見られる藤子作品の王道パターンです。

 

 

 藤子作品といえば、『バクちゃん』のなかにささやかな藤子ネタが見つかります。ハナちゃんが、ドロンパらしきものがデザインされたパーカーを着て登場する回があるのです。

 そのドロンパらしきものには目が描かれていないのですが、それほかの部位はまさしくドロンパなのです。

 ハナちゃん、名古屋弁をしゃべるってだけでも親近感がわくキャラクターなのに、ドロンパのパーカーまで着てくれるのですから、ますます親しみが強まるではないですか!

 

f:id:koikesan:20200602062143j:plain

 本日紹介する2作品目は、アクションコミックス『空日屋』1巻(とりのなん子、5月28日発売)です。

 

  空日屋と名乗る謎の男?の世界では、過去へ戻って未来を改変しようとする輩が増え、それを捕まえたところでキリがない状態だといいます。そこで、未来の流動性を是正するため、いろんな人に1日だけ未来へ行ってもらってそれぞれの未来を確定させよう、という働きかけをおこなっているようです。

 そうした働きかけによって未来へ1日だけ行って帰ってくる人々のドラマがオムニバス形式で描かれています。

 

 タイムパラドックスとか時間の因果律とかそういうものがもたらす、こんがらかるような話の機微が味わい深いです。

 未来へ行った個人個人がその未来を確定させるかどうかの決定権を持っています。それゆえに生じる心の葛藤、難しい決断、運命の変容などが描かれるところも、気が抜けなくて読み甲斐があります。

 

 そんなふうに、時間移動をして自分の人生や運命を変えようとか、時間の因果律に変化をもたらそうとか、過去と未来のつじつまを合わそう、といった話は、藤子F先生の『ドラえもん』や『未来の想い出』やいくつかのSF短編などで昔から楽しんできたものです。私がそうした時間SFを好きなのは、完全に藤子F先生の影響です。

 

 空日屋という謎の人物は、黒(紺?)っぽい色のスーツとハットを身につけ、道行く人に声をかけて未来へ行きませんかと誘います。そんな得体の知れなさや身なりや声のかけ方・誘い方から、『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造のイメージをちょっと思い浮かべたりもしました。

リイド社のコンビニコミック『魔太郎がくる!!』

 リイド社のSPコミックス LEED CAFE COMICS『魔太郎がくる‼[熾烈!魔太郎vs切人]』が出ているのを近所のコンビニで見つけて購入しました。

  5月28日発売の本です。

f:id:koikesan:20200601112709j:plain

f:id:koikesan:20200602194844j:plain

 私が把握している限りでは、このレーベルの『魔太郎がくる!!』はこれが2冊目になると思います。

ラジオ番組でたまたま聴いた、ささやかな藤子ネタ

 本日(5/27)、地元CBCラジオの番組を聴いていたら、ささやかな藤子ネタが出てきました。

 ほんとうに、ささやかですが……。

 

 その番組では、『ハリー・ポッター』シリーズの作者J・K・ローリングが新作ファンタジー小説をWebで先行無料公開した、という話題が取り上げられていました。出演者のあいだでその小説を日本語に訳しながら読みましょう…といった話になったとき、アナウンサーさんの一人が「ほんやくコンニャク」と言おうとして「つうやくコンニャク」と言ってしまい、すぐに正しく言い直す、という瞬間がありました。

 

 そんなふうに、CBCラジオの番組でたまたまささやかな藤子ネタに遭遇するということが、先月(4/5)にもありました。

 

 ぼんやりとラジオを聴いていたら、突然『忍者ハットリくん』と聞こえてきたので、ただちに耳をそばだてました。かにかまの愛好者らしき人物が、かにかまへの愛と知識を語っているところでした。

 その人物は、ちくわを大好物とする獅子丸に対抗してかにかま好きになったのだそうです(笑)

 

 そうした他愛ない藤子ネタであっても、藤子ネタを期待していない番組などで偶然に遭遇すると、なんだかちょっぴり得した気分になるのでした。

藤子・F・不二雄先生の伝記本

 先日、部屋の整理整頓をしていて、この本が発掘されました。

f:id:koikesan:20200517104450j:plain

 2004年に台湾で刊行された、藤子・F・不二雄先生の伝記本です。

 タイトルに「藤子不二雄」とありますが、表紙画が示すとおり、藤子F先生の伝記です。

 

f:id:koikesan:20200517104723j:plain
 巻末の年表も、F先生のものだけです。

 

f:id:koikesan:20200517113310j:plain

 とはいえ、F先生とⒶ先生の出会いから始まって、二人で一人の藤子不二雄時代のエピソードがいろいろと書かれているようなので、「藤子不二雄の伝記」といっても全然間違っていません。

 

 この本、挿絵がちょっとユルくて、イイ味出してます。

f:id:koikesan:20200517104819j:plain

 ペンネームを「藤子不二雄」と決めた場面です。Ⓐ先生のメガネが描かれてないので、パッと見「誰?」という感じがします(笑)

 

f:id:koikesan:20200517104905j:plain

 F先生のレアな無精ひげ姿!?

 

 藤子・F・不二雄先生の生涯を、その少年時代(Ⓐ先生との出会いあたり)から綴った伝記本といえば、日本にはこんな本があります。

f:id:koikesan:20200517151928j:plain

小学館版学習まんが人物館『こどもの夢をえがき続けた 「ドラえもん」の作者 藤子・F・不二雄』(まんが:さいとうはるお、シナリオ:黒沢哲哉、1997年)

・ちくま評伝シリーズ・ポルトレ『「ドラえもん」はこうして生まれた 藤子・F・不二雄』(構成・文:中島佳乃、巻末エッセイ:瀬名秀明、2014年)

 

f:id:koikesan:20200517151705j:plain

f:id:koikesan:20200517151747j:plain

 ちくま評伝シリーズ『藤子・F・不二雄』には、参考文献のひとつとして私の著書が記されています。そのぶん、すこし余計に愛着を感じてしまうのでした♪

 

f:id:koikesan:20200517152042j:plain

ガクマンプラス」2011年9・10月号に掲載された『藤子・F・不二雄物語』(まんが:姫野よしかず)も、(話の導入は現在の場面からですが)F先生とⒶ先生の出会いが描かれています。

 

f:id:koikesan:20200517152540j:plain
 刊行当時に話題を呼んだ『ドラえもん物語 ~藤子・F・不二雄先生の背中~』(2017年)は、むぎわらしんたろう先生が実際に間近で見てきたF先生のエピソードを描いているので、F先生の子ども時代は出てきません。むぎわら先生の子ども時代なら出てきますよ♪

 

 2人の藤子先生の出会い、そしてそれ以後の藤子先生の歩んだ道のりをたっぷり描いた本といえば、Ⓐ先生の自伝的マンガ『まんが道』がその筆頭格でしょう。

 私が、藤子先生の子ども時代からトキワ荘時代のエピソードの数々を、感動とともに知ったのも『まんが道』でした。

 が、先に紹介した伝記本と違って、『まんが道』はノンフィクションではありません。Ⓐ先生による脚色や創り話も込みで楽しむ作品ですね。

 

 ノンフィクションであり、分量的にも内容的にも充実した藤子先生の伝記本ということなら、やはり『二人で少年漫画ばかり描いてきた ―戦後児童漫画私史』が最高峰ですかね。藤子先生による本格的な自伝本です。

「文庫版のためのあとがき」を含めても1980年までの記述でして、それ以降のエピソードは書かれていませんが、それにしたって、量的にも質的にも最高の“藤子不二雄の伝記本”ではないでしょうか。

f:id:koikesan:20200517194307j:plain

『二人で少年漫画ばかり描いてきた』は、主にⒶ先生が本文を執筆し、各章の短い「前書き」をF先生が書いています。

 

f:id:koikesan:20200517155353j:plain

 Ⓐ先生はほかにもいろいろな機会にご自分たちのエピソードを書いています。結局のところ、“藤子不二雄の伝記”の最大最高最良の書き手はⒶ先生、ということなのでしょう。

 

 そんなⒶ先生の最新の言葉を読めるのが、5月15日発売の「ビッグコミック」6月増刊号『人生ことわざ面白“漫”辞典』第65回「弱り目に、祟り目Ⅱ」です。

f:id:koikesan:20200517175000j:plain

 アウトドア志向でパーティー好きのⒶ先生ですから、コロナ禍による閉じこもり生活が続いてだいぶ参っておられるご様子です。

  

  さて、先に小学館版学習まんが人物館『藤子・F・不二雄』を紹介しましたが、同じレーベルから『手塚治虫』も出ています。

f:id:koikesan:20200517185111j:plain

 この本の巻末の解説文をF先生が書いています。

 F先生は冒頭から、手塚先生のことを「恩人」「先生」「大先輩」「天才まんが家」と連射のように敬意を表し、文章の終盤では「『新宝島』が世に出た1947年をもって、元号は“手塚元年”にしたいと思っているほど』と手塚先生への心酔ぶりを全開にしています。

 

 小学館版学習まんが人物館『手塚治虫』の発行は1996年4月なので、1996年9月に亡くなられたF先生にとって、この解説文は最晩年に書かれたもの、といってよいと思います。F先生は文字どり人生の最後まで現在進行形のホットな手塚ファンだった、ということが伝わってくる、熱い解説文です。

 

 小学館の編集者(千葉和治氏)が手塚先生のことをちょっと批判的に語ったら、F先生に火の出るほど怒られ、1週間ほど先生の事務所に出入りさせてもらえなかった……。

 という話があります。F先生がプロの漫画家として大成してもずっと生粋の手塚ファン、熱烈な手塚信者だったことがうかがえるエピソードです。

藤子・F・不二雄大全集『ミラ・クル・1/宙ポコ/宙犬トッピ』(2010年発行)の巻末解説参照)

藤子不二雄Ⓐと藤子不二雄Ⓑ!?

f:id:koikesan:20200509200211j:plain

 「藤子不二雄さんが“一人で一人”に30年ぶりにもどって、藤子不二雄Ⓐさんと藤子不二雄Ⓑさんになった。」

 と記されているところで目がとまりました。

 

 藤子不二雄Ⓐさんと藤子不二雄Ⓑさん!?

 

 藤子先生のコンビ解消後のペンネームを誤記する事例は(たとえば、藤子・Ⓐ・不二雄のように)たまに見かけます。これもそんな事例のひとつです。

 

 この誤記が載っていたのは、1988年3月、財団法人日本郵便友の会協会が発行した、この冊子です。

f:id:koikesan:20200509200246j:plain

 寄付金つき年賀はがきの寄付金の配分を受けて制作されたものらしいです。

 

f:id:koikesan:20200509195956j:plain

 この冊子に、藤子不二雄コンビ解消直後の藤子不二雄Ⓐ先生インタビューが掲載されており、コンビ解消の事実を紹介する文章に「藤子不二雄Ⓐさんと藤子不二雄Ⓑさん」という記述が含まれているのです。

 ケアレスミスですね。

 コンビ解消直後のタイミングで、ファンですらまだ新しいペンネームになじんでいないような時期でしたから、この文章を書いた方が「藤子不二雄Ⓐがいるならもう一人はⒷだろう」みたいな感覚で誤記してしまうのも無理はなかったのかもしれません。

 

 むろん、正しくは「藤子不二雄Ⓐさんと藤子不二雄Ⓕさんになった」です。

 コンビ解消によって、安孫子先生は「藤子不二雄Ⓐ」、藤本先生は「藤子不二雄Ⓕ」というペンネームを使うことになりました。

 藤本先生のほうは、1年ばかり「藤子不二雄Ⓕ」を使ったあと、「藤子・F・不二雄」に改名しています。Fを真ん中にしたらミドルネームみたいでかっこいい、という石ノ森章太郎先生のアドバイスを受けてのことらしいです。

GUのドラえもんTシャツが190円

 3月7日からGUで発売されているドラえもんTシャツが今190円で販売されている、と聞き、きのう郵便局へ行ったついでに最寄りのGUに寄ってみました。

 

 190円のコーナーがありました!

f:id:koikesan:20200518084336j:plain

 この4枚のTシャツを各190円でゲット!!

 

f:id:koikesan:20200518083232j:plain

f:id:koikesan:20200516180120j:plain

 これらのTシャツが新品で190円なのですから、なんという破格値でしょう。

 

  そして、190円とまではいかなくても、ほかにもドラえもんアイテムが定価よりだいぶ値引きされて販売されていたので、衝動的にパジャマセットや女性向けTシャツなどを買っちゃいました♪

f:id:koikesan:20200518082615j:plain

f:id:koikesan:20200519205358j:plain

 バギーちゃん!