藤子・F・不二雄先生の墓

 先日、雑誌「宝島」のバックナンバー(1997年6月25日号)を古書店で購入した。
 この号には、「偉大な生涯を終えたあの人の眠る場所」という、モノクロ・2ペー
ジのグラビアページがある。96年から97年にかけて亡くなった著名人のお墓を訪ね
た記事で、女優の杉村春子さん、俳優の渥美清さん、萬屋錦之介さん、小説家の遠
藤周作さん、藤沢周平さんらとともに、96年9月23日に逝去された藤子・F・不二雄
先生のお墓が写真で紹介されている。
 

 私は、藤子・F先生のお墓に、一度だけ参らせていただいたことがある。今年も先
生の命日が近づいてきたのだが、現地までは行けそうにないので、先生が息をひきとっ
たとされる23日午前2時10分に、自宅で黙祷したいと思う。
  

 このグラビアページに、『ある年代に子供時代を過ごした人にとっては手塚治虫
上の「神様」だった藤子・F・不二雄』という一文がある。『ドラえもん』直撃世代
である私にとって、藤子・F先生はまさに「神様」級の巨大な存在である。
 というか、私の少年時代は、藤本弘先生(=藤子・F・不二雄先生)と安孫子素雄
先生(=藤子不二雄A先生)がコンビを組んでいて、「藤子不二雄」という共同ペン
ネームで作品を発表していたので、私にとっては、二人で一人のマンガ家「藤子不二
雄」こそが、最も崇高な「神様」なのである。
 

 そして、二人の藤子先生にとっての「神様」であった手塚治虫先生は、私にとってみ
れば「神様」の「神様」にあたることになる。
 藤子不二雄A先生の半自伝的マンガ『まんが道』に登場する手塚治虫先生は、それこ
そ「神様」のように神々しく偉大な存在として描かれている。私は、そんな手塚先生の
姿を見て、手塚先生が描いた作品にも関心をいだくようになり、実際に手塚マンガを読
むようになった。知り合いの藤子ファンの中にも、『まんが道』経由で手塚マンガに導
かれたという人が結構いる。