台湾料理店「山珍居」と藤子不二雄Ⓐ先生を偲ぶ旅

●第26回手塚治虫文化賞

https://koikesan.hatenablog.com/entry/2022/12/25/212137

 

●念願のトキワ荘マンガミュージアム初訪問

https://koikesan.hatenablog.com/entry/2022/12/28/145655

 

ドラえもん50周年記念モニュメント「ドラえもんみらいのとびら」

https://koikesan.hatenablog.com/entry/2022/12/28/190827

 

トキワ荘マンガミュージアム初訪問の2日後に再訪

https://koikesan.hatenablog.com/entry/2022/12/29/153418

 上記4つの記事の続きです。

 

 6月1日~3日の東京の旅の締めになったのが、台湾料理店「山珍居」での食事です。

 藤子不二雄Ⓐ先生がトキワ荘時代に書いた日記を書籍化した『トキワ荘青春日記』。その昭和35年1月7日(木)の日記を読むと、次のような記述があります。

四時半、石森氏、藤本氏と出発(赤塚氏風呂)。角田宅へ寄り、いっしょに歩いて数分の山珍居という台湾料理の店へいく。しばらくして寺さん、赤塚氏、ぐーっと遅れて風ちゃんくる。猛烈なボリュウムの十品料理、しめて八千余円也。

 新漫画党の面々が「山珍居」に集まって猛烈なボリュウムの料理を食べたことが記されています。

 私は東京滞在中にその日記を思い出し、旅の終わりにこの店で食事しようと急遽思い立ったのです。

 

 「山珍居」は西新宿にあり、2人の藤子先生の仕事場から近かったこともあって、お2人ともこの店で食事されることがあったようです。

 藤子不二雄Ⓐ先生がご自分の日常を描いたコミックエッセイ『PARマンの情熱的な日々』にも「山珍居」が登場します。「ジャンプスクエア」2010年3月号で発表された第28回「東京あっちこっちめぐり」(単行本では「漫画家人生愉快にいこう編」に収録)で、イージー会の食事会をおこなった店として登場しているのです。

 

 また、藤子・F・不二雄先生の『パーマン』には、「山珍居」のパロディが出てきます。『パーマン』の「ひったくり犯人にワナをかけろ」という話に「仙珍居」というラーメン屋が出てくるのです。

・『パーマン』「ひったくり犯人にワナをかけろ」(初出:「てれびくん」1984年1月号/藤子・F・不二雄大全集パーマン』第7巻(小学館、2010年発行)収録)より引用

 これは間違いなく「山珍居」をもじったネーミングでしょう。

 「仙珍居」は、小さくて汚い店だけどおいしいラーメン屋。有名人が遠くから食べにくることもあるようです。

 藤子・F・不二雄先生がこの話を描いたとき、先生の仕事場はに新宿の市川ビル内の藤子スタジオにありました。「山珍居」と藤子スタジオはご近所同士と言ってもよいくらい近い距離にあるので、F先生は、料理のうまさもあって親しみを感じておられたのではないでしょうか。

 

 こちらのサイトで「山珍居」店主さんのインタビューを読めます。

 ■「虫さんぽ」第40回【東京・新宿界隈】

 https://tezukaosamu.net/jp/mushi/201506/column.html

 

 店主さんのインタビューにもあるように、「山珍居」は手塚治虫先生や赤塚不二夫先生が通われたお店としても知られています。1963年3月、日本SF作家クラブが発足して第1回会合が開催されたのも「山珍居」です。

 「虫さんぽ」の記事では、「山珍居」のメニューで手塚治虫先生が好物だった料理として“ラオーバ”が紹介されています。これも美味しそうでしたが、私は“エンチャン”という料理を注文しました。手塚先生のご長女・るみ子さんがエッセイで手塚先生が大好きだったと書いていたのです。要するに、ラオーバもエンチャンも手塚先生の大好物なのです。

・これがエンチャン。スモークの香りがよい手作りの台湾ソーセージです。

 

・エンチャンをつまみに台湾ビールでンマーイ!

 

 こういう伝説的なお店は、気づいてみたら跡地になっていることが多いのですが、「山珍居」は今も現役で営業中というのがすごいですし、ファンとしてありがたい限りです。

 この店で食事したあと東京駅に移動し、新幹線で愛知への帰途についたのでした。

 

 さて、これまでレポートしてきた6月1日〜3日の東京旅行は、トキワ荘マンガミュージアム初訪問と手塚治虫文化賞贈呈式参加が主目的でしたが、それはとりもなおさず、4月に他界されたばかりの藤子不二雄Ⓐ先生を行く先々で偲ぶ旅にもなりました。

 

西武池袋線椎名町駅

 

・中華料理「松葉」

 

・記念碑「トキワ荘のヒーローたち」(南長崎花咲公園)

 

トキワ荘マンガミュージアム14号室

 

ふるいちトキワ荘通り店

 

トキワ荘通りお休み処

 

朝日新聞東京本社(手塚治虫文化賞贈呈式会場)

 

 以上、旅の中で見かけた具体的な藤子不二雄Ⓐ作品やⒶ先生のお姿をアップしてみました。

 それ以外の場所でも折々にⒶ先生に思いを馳せて旅を続けておりました。

 その意味でも忘れられない旅になりそうです。