「ぼく、ドラえもん」17号

「ぼく、ドラえもん」17号が届いた。20日に発売のこの号が、22日の今日届いたのは台風の影響だろうか。 台風といえば、「珠玉の短編名作館」に掲載の「ねじ式台風」のように、台風の強大なパワーをコントロールして有効活用できればいいのに、と切に思う。
 別冊付録「てんとう虫コミックス未収録作品集」17巻に収録された4作品は、初出誌が「入学準備小学一年生」「てれびくん」「幼稚園」「小学四年生」とバラエティーに富んでいる。「入学準備小学一年生」の「きりがみクレヨン」は、ほのぼのとしてかわいらしいし、「幼稚園」の「なんでもたまごに」は、オチのコマに描かれたある登場人物のポーズとセリフがプッと笑えて楽しい。
 18巻には以下の3作品が収録される予定。

●「ゴキブリカバー」
初出:「小学五年生」昭和54年11月号
単行本:「藤子不二雄ランド」30巻所収

●「そっくりペットフード」
初出:「小学四年生」平成2年10月号
単行本:未収録

●「ボクをとめるのび太
初出:「小学六年生」昭和52年12月号
単行本:「藤子不二雄ランド」5巻所収

 今週発売された「週刊文春」10月28日号の「FUJIFILM」の広告ページに、藤子不二雄A先生が登場。昭和33年、トキワ荘の忘年会でプレゼント交換をしたときのスナップ写真を紹介している。
 藤子A先生は「金もない、仕事もない、将来の保障もない。それなのに、写真のみんなは無邪気で楽しそうで、何ていきいきしてるんだろう」「この写真を見るたびに、ある時期、ある時間をともに生きた、素晴らしき仲間たちとの青春の日々を思い出す」とコメントしている。


 そうしたコメントを読むたびに、藤子A先生にとってトキワ荘ですごした時代は、つらいこと悲しいことも含めて「美しき青春の日々」だったのだな、と感じる。
 生身の肉体はもうあの時代に戻れないが、様々なメディアでトキワ荘の思い出を語ること、とくに今は『愛…しりそめし頃に…』を2ヶ月に1度のペースで執筆することで、先生は過ぎ去った美しき日々に心をトリップさせているのだろう。『愛…しりそめし頃に…』のストーリー展開が遅く感じられるのは、自分の分身である満賀道雄にできる限り長くトキワ荘時代を味わってもらいたいという、藤子A先生の願望の表れかもしれない。


 藤子A先生は、実際にあるインタビューで、いちばん帰ってみたい時代はトキワ荘の頃だと述べている。ただし、ずっと帰りっぱなしというのは嫌で、一日だけ帰ってみたい、とのことである。