「藤子・F・不二雄ランド」膠着の事情

復刊ドットコム」のサイトの10月26日付メッセージに興味深いことが書かれていたので、全文を引用する。

 2004.10.26
 ブッキング 左田野 渉
 故藤子不二雄F先生の版権を管理されている会社は、藤子プロという会社です。そこの非常に責任ある方と直接お話しをさせて頂きました。電話する前はドキドキものでありました。そして、キンチョウの末、以下、先方さまの談話であります。「このお話しについては、現在非常に多くの出版社さんからオファーは頂いています。しかしながら、現状では、どのような出版形態を取ってゆくか考え方が整理しきれません。電子出版などのオファーもあり、そういうことも含めて検討したいなと考えています。しかし、こういうことはじっくり腰をすえて考えてゆく必要があります。しかし、今はこういう課題を整理する時間も人材もいない。今はドラえもんで精一杯な状態なのです。この問題に向かい合ってゆくためには、もう数年間が必要です。投票者の皆さんについては、こういう支持を下さっているからこそ、自分たちの今が支えられていると感謝しています」とのご回答でした。復刊許諾の回答は頂けませんでしたが、優しく、丁寧に応答して下さいました。従いまして、当面、本件は「膠着」とさせて頂きます。復刊ドットコムの役割の最も大きな残された使命は「岡田あーみん」「藤子・F・不二雄ランド」であると認識しておりましたので、私どもとしても、精一杯、諦めずに交渉してみましたが、力至らず、まことに申し訳ございませんでした。いつの日か、読者で皆さまの手にF先生の秀作たちが再会できることを祈ります。

 これを読んだ限りでは、当面のあいだ藤子・F・不二雄先生の全集は出ないようである。
 しかし、藤子プロには、藤子・F全集のオファーが多く舞い込んでおり、全集を出してほしいというファンの声も確実に届いているようなので、ここは藤子プロの責任者の言葉をまっすぐに受けとめて、何年かすれば現実に藤子・F・不二雄全集の企画が持ち上がるのだと信じたい。たとえば「藤子不二雄ランド」(中央公論社刊)の藤子・F作品分の復刊という形ではなく、新たに本格的な全集を出すというのであれば、それは大きな事業であり、生半可なことでは成し遂げられない仕事だから、藤子プロの「(今は)時間も人材もない」という言葉も理解できるような気がする。
 藤子プロには、我々ファンの信頼を裏切らぬよう、ぜひとも「藤子・F・不二雄全集」を実現していただきたいと思う。
 さらにいえば、藤子・F先生と藤子A先生の両方に著作権のある作品、つまり合作作品にも、いつか日を当てていただきたいと希望している。
 くどいようだが、藤子プロの「今はこういう課題を整理する時間も人材もいない。今はドラえもんで精一杯な状態なのです。この問題に向かい合ってゆくためには、もう数年間が必要です」という言葉が、その場しのぎの弁明ではなく真実の言葉であることを信じたい。