「ああ、好き、好き、好き!」「出木杉グッスリ作戦」放送

わさドラ』第23回放送




●「ああ、好き、好き、好き!」

初出「小学四年生」1970年9月号
単行本「てんとう虫コミックス」3巻などに収録


・「ぼ、ぼ、ぼくと、と、と、友達になってください」と言って手を差し出すのび太に、ドラえもんがすかさず手を差しのべたのには笑った。
「おもしろそうじゃないの。それ何のまね?」などと、のび太の行為に異様に興味を示すドラえもんの様子が愛らしくて楽しかった。のび太に向かってお尻をふりふりするところなど最高。


のび太が窓からぼた子の家の中を覗くと、ぼた子の顔が窓ガラスにはりついていてびっくり、というシーンも笑いを誘った。


・こちらにお尻を向けて電柱におしっこをかける犬は、『バケルくん』に登場するトロンにそっくりだ。トロン似の犬は、4月15日放送の「思いだせ!あの日の感動」にも出てきた。


・カバに似た顔のおじさんにデレデレするドラえもんの表情と声色がおもしろかった。


のび太に矢を向けられた美少女のセリフ「ひとごろしい!」が、「暴力反対!」に変更された。「ひとごろしい!」のほうがインパクトがあるが、「暴力反対!」もなかなか耳に残るセリフだった。


・捨てた「キューピッドの矢」がたまたま美少女に当たり、のび太は念願かなって美少女に愛される。しかし、喜びも束の間、美少女はアメリカへ帰らねばならぬという。落胆するのび太の背中をさすり、「よしよし」と慰めるドラえもんがイイ。


 この作品は、最初から最後まで楽しく観ることができた。





●「出木杉グッスリ作戦」

初出「小学三年生」1980年10月号
単行本「てんとう虫コミックス」22巻などに収録


・冒頭。古ぼけたフィルム風の画面と、ドラえもんの講談調の言い回しで、出木杉の優れた特徴が語られた。これは原作にまったくないオリジナルシーンだ。こういうシーンから始まったことに、ちょっと驚いた。


・いつもはのび太をいじめているジャイアンスネ夫が、出木杉という敵を前にして、今回ばかりはのび太と一致団結。SF短編『イヤなイヤなイヤな奴』のラストの言葉「人間は共通の敵の前でもっとも強く結束する」を思い出す。


・野球に誘われた出木杉が、「やるやる!」「オッケー!」と反応したときのポーズが、なんだかかわいらしかった。


・『バケルくん』のキャラであるトロンに似た犬が、Aパートに続いて登場。Aパートではお尻をこちらに向けていたが、Bパートでは顔をちゃんと見せてくれたうえ、あくびなんかしたりして、愛嬌があった。


・「グッスリまくら」を持たされたママやジャイアンスネ夫が寝入ってしまうまでの一連の動きが、おもしろく描写されていた。


・原作では文字のみで表現された「こわれたまくらからは、目ざまし電波が出ていたのだ…」という説明を、『わさドラ』ではドラえもんが務めた。「グッスリまくら」で眠らされていたはずのドラえもんが起きてきて、眠そうな様子で説明をし、再び眠りにつくという演出がよかった。
 このシーンは、ドラえもん出木杉の特徴を紹介する冒頭とつながっているようだ。





 来週から3週にわたり『わさドラ』の放送は休み。次回は、10月21日(金)の1時間SP。「昔はよかった」「宝星」の2本立てだから、1本の尺がいつもの倍くらいある計算になる。