ヤモリ

 きのう、家のバルコニーに生えた雑草を抜こうとしたら、そこにヤモリがいました。しばらく逃げずにいたので、じっくりと眺めることができました。
 

 
 ヤモリは「家守」と書き、家の守り神と言われるくらいですから、ヤモリが出るのは悪くないことだと思っています。小さな虫を食べてくれるので実益もありますし。


 
 これは以前、室内にヤモリが出たときの写真です。
 ヤモリの生態で目立った特徴といえば、この写真のとおり、壁に張りついて歩けることです。
 ヤモリのこの生態から私が連想する藤子作品は、まず『ドラえもん』の「ペタリぐつとペタリ手ぶくろ」(全集2巻)です。この話では、ドラえもんのび太がペタリぐつとペタリ手ぶくろというひみつ道具を使って壁を四つん這いでのぼります。扉絵なんて、その行動がカラーで大きく描かれていて見事です。
 ただ、この話では、壁を這ってのぼる動物として、ヤモリではなくカエル(アマガエルのようなカエル)が意識されているのだと思いますが…。
 大長編ドラえもんのび太と銀河超特急』にも似たひみつ道具が登場しますね。


『忍者ハットリくん』の「せっしゃは超高層ビルクライマーでござる」の冒頭では、超高層ビルの外壁を四つん這いでのぼるクライマー“タランチュラマン”が紹介されています。ハットリくんは、このタランチュラマンに刺激されて、マンションの外壁を忍法「壁歩き」でのぼろうとチャレンジします。ここでは壁をのぼる動物としてクモが例示されています。



 室内にヤモリが出たとき、私は素手でつかまえようと追いかけて、尻尾をつかんだのですが、そのとたんヤモリは自ら尻尾を切断して逃げていきました。トカゲの尻尾切り、なんてよく言われますが、ヤモリもトカゲのように尻尾を切るのです。「自切」という行動ですね。切り離された尻尾は、それ自体が何か単独の生物であるかのように、しばらくニョロニョロと動きます。敵がその動きに気を取られているうちに遠くへ逃げていくわけです。
ドラえもん』の「動物がたにげだしじょう」(全集6巻)や「トカゲロン」(全集15巻)といった話は、トカゲの自切をアイデアに取り入れています。「動物がたにげだしじょう」では、トカゲの自切が敵から身を守る手段であることを、「トカゲロン」では、一度切れた尻尾が再生する現象をネタにしています。


 と、まあ、今回はヤモリを見つけたことから藤子作品へと思いを巡らせてみました(笑)


 ●お知らせ
 東京学芸大学の現代文化研究会が発行するサブカルチャー研究誌『F』10号(特集:擬装・変身・キャラクター)に、「藤子不二雄Aマンガと変身」という文章を書きました。
 同誌には、拙編著『藤子不二雄Aファンはここにいる Book1 座談会編』(社会評論社)の座談会に参加していただいた鈴木さとみさんの論文「なぜ鼻を押すのか――藤子・F・不二雄パーマン」「バケルくん」から考える漫画表現」も掲載されます。
『F』10号は、6日(日)に東京流通センター第二展示場で開催される第十四回文学フリマ(ブース:エー42)で発売されます。


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