本日(8月15日)は終戦の日です。
今月の初めにこんな本が発売されました。
■『平和をわれらに! 漫画が語る戦争』(小学館クリエイティブ発行)
水木しげる、手塚治虫、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎の4人の巨匠漫画家が、自分たちの読者である子どもたちにもう二度とあんな悲惨な経験をさせたくないと描いた戦争テーマの短編作品を集めたアンソロジーです。
F先生の作品は、
『超兵器ガ壱号』
『マイシェルター』
『カンビュセスの籤』
『ある日……』
の4作を収録。
今日は、この本を読んで過ごそうと思います。
(以下、『ある日……』の結末に触れているのでご注意を)
本書の編者・中野晴行さんが巻末の解説で「『ある日……』の結末が一番恐ろしいのかもしれない」と書いておられます。私も10代のころ『ある日…』を読んでその結末に触れたときの戦慄を忘れません。
現実に訪れる終末は、よくできたフィクションのようにクライマックスや伏線や整合性や主題をともなって到来するのではなく、ある日唐突に、伏線など張る暇もなく、説得力とは無関係に、今日にもやってくるものなのだ、とこの作品は描いているのです。
終末を“自分の死”に置き換えて想像してみると、唐突にやってくる“ある日”が俄然身近なものとして迫ってきます。
自分は明日も明後日も10年後も20年後も生きているつもりでいるけれど、今この瞬間にも突然の事故や事件や心臓発作などでいきなり生きることに終止符を打たれるかもしれないのです。伏線も起承転結もなく、説得力とも整合性とも無関係に……。
“ある日”は唐突にやってくる、と語る主人公・佐久間の言葉に、私はイヤというほど“説得力”を感じてしまいます。
ラストの一コマは「プツン・・・・」とだけ記されていて、絵としてはほとんど何も描かれていないに等しい最小限の表現です。そうでありながら、いま唐突に世界の終末が訪れたのだということを瞬発的に鋭く突きつけてきて、あまりにも衝撃的です。このうえなく、世界がここで途切れた感じが伝わってきます。
たったこれだけの表現でこんなにも心が震撼するものなのか……という意味でも衝撃的でした。