『松本零士のSF漫画史講座』

 当ブログ11月17日の記事で取り上げたとおり、14日(火)放送の『なんでも!鑑定団』に松本零士先生が出演し、先生が高校生のころ購入した鶴書房版『UTOPIA 最後の世界大戦』(著者:足塚不二雄)を鑑定依頼されました。
 http://d.hatena.ne.jp/koikesan/20171117
 

 松本零士先生がテレビ出演し、鶴書房版『UTOPIA 最後の世界大戦』の単行本を紹介するというところから、私はこの番組を観たあと、1982年1月6日にNHK教育で放送された『松本零士のSF漫画史講座』を思い出しました。
 タイトルのとおり松本零士先生がホストをつとめる番組で、何回か放送されたようですが、そのうちの第3回で『UTOPIA 最後の世界大戦』がメインの話題になったのです。スタジオゲストは藤子不二雄先生でした(隣に小松崎茂先生も座っていました)。
 藤子先生の紹介のされ方が印象的でした。零士先生が『UTOPIA 最後の世界大戦』と別冊ふろく『三人きょうだいとにんげん砲弾』を手に持ち、これらの作品の作者は足塚不二雄という人だと説明、「実はその足塚不二雄さんご本人に来ていただいています!」という流れからゲストの藤子先生の姿が大きく映し出されたのです。足塚不二雄とは藤子不二雄さんのことだったのです!といったふうに紹介されました。


 零士先生は藤子先生に『UTOPIA 最後の世界大戦』執筆のさい触発されたり刺激を受けたものは?と質問。それに対し藤本先生が手塚先生の『来るべき世界』を挙げ、破滅テーマを初めて読んで非常に刺激を受けた、と返答しました。そして、ハックスリーの小説『すばらしい新世界』やドイツ映画『メトロポリス』をヒントにした、とおっしゃいました。藤本先生はさらに、「そういう雑多なものがヒントになってるんですけど、似ても似つかない、へんてこな話になっちゃいました(笑)」という言葉を加えられました。藤本先生はインタビューなどでこうした謙遜的言辞をよく発しておられました。


 それにしても『松本零士のSF漫画史講座』という番組があったこと自体に改めて感嘆したくなります。松本零士先生が司会・講師役をつとめ、ゲストに藤子先生や小松崎先生といった大物を招いてSF漫画史を講じる番組だなんて、なんと豪華で胸が躍り興味を掻き立てられる番組でしょう!