「週刊TVガイド」昭和56年5月29日号にトキワ荘の記事

 先日、名古屋市内の古書店で見つけた「週刊TVガイド」昭和56年5月29日号です。

f:id:koikesan:20190620084757j:plain

 店ではビニールに入っていて中身を見られませんでしたが、表紙に大きく「トキワ荘探訪」とあったので購入しました。

f:id:koikesan:20190620084527j:plain

f:id:koikesan:20190620084632j:plain

 同年5月25日(月)に放送されたNHK特集『わが青春のトキワ荘 ~現代マンガ家立志伝~』に関する記事が載っていて、トキワ荘の基本事項を紹介する文章とともに、寺田ヒロオ先生(テラさん!)のインタビューを読むことができます。記者が茅ヶ崎のテラさん宅を訪問して話を聞いています。その話のなかから、特に印象的な発言を紹介しましょう。

 

●「ボクは血の汗を流す野球や郷土の誇りのために戦うなんて野球は嫌いで… 自分の汗を流して、原っぱにひっくり返って青い空をみるような草野球が好きなんです」

●「試験は何点、もうけはいくら、雑誌の部数はどれだけ、人気マンガベストテンは、視聴率はとか、悲しいですネ。数字がすべてなんて、決していい結果は生まれないだろうと思います」

●「普通、家族って突拍子もないことでは笑いませんよネ。なにげない、あたりまえの事でもおかしいものですよネ。漫才がないと笑えないというのは、とても不幸なことじゃないでしょうか」

 

 子どものための良心的なマンガを追求し続けた、まことにテラさんらしい言葉です。テラさんは生涯「漫画少年」の精神を理想とし、その精神に忠実であろうとされたのだよなあ、とあらためて感じ入りました。 そして、これらの言葉は、時代をこえて現在の社会にも鋭く刺さり、どんな時代になっても失われるべきではない理念として深く響くものだと思います。現実的には、テラさんが訴える理想のとおりにはなかなかいきませんし、私は、テラさんが好ましくないと感じるもの(上記のインタビューでいえば、血の汗を流す野球や数字による評価や漫才ブームなど)もいろいろとあってよいと思うのですが、テラさんが語るような理想が完全に置き去りにされてしまうような社会はやはり危ういとも感じるのです。

 

 この号のコラムにおける『わが青春のトキワ荘』評がちょっと辛口なのも印象深いです。

f:id:koikesan:20190620084421j:plain

 このコラムを書いた(泉)という人物は、おそらくコラムニストの泉麻人さんだと思います。泉麻人さんは「週刊TVガイド」の編集部に所属していたことがあって、この号が発売された昭和56年はまさにその時期にあてはまるので、間違いないでしょう。

 

 のび太のママ役の声優・千々松幸子さんを紹介する記事も見つけました。

f:id:koikesan:20190627213757j:plain

 このころの千々松さんは「犬のあくび、遠ぼえを研究中」だったんですね♪ 

 

瀬名秀明さんの最新刊『魔法を召し上がれ』

 瀬名秀明さんから新しいご著書『魔法を召し上がれ』(講談社)をご恵贈いただきました。 

f:id:koikesan:20190617132755j:plain

f:id:koikesan:20190617132952j:plain

f:id:koikesan:20190617132858j:plain

f:id:koikesan:20190617132626j:plain

 本を手にしたときのズシリとした重みに本好きとして心震えるものを感じ、魅惑的な装画・装丁がワクワク感を高めてくれます。

 無性に心誘われるタイトルですし、「孤独な青年マジシャンに託された、なにも知らない少年ロボット」「一人と一体、そして彼らを取り巻く人々の再生の物語」といった帯の文言を見てとても期待が膨らみます。

 届いた日が私の誕生日の前日だったので、(それは偶然ではあるものの)バースデー・イブ・プレゼントを受け取ったような喜びも感じました。

 じっくり読ませていただきます!

 瀬名さん、ありがとうございます!!

文苑堂書店駅前店閉店

 きのう(5月26日)、高岡在住時代の藤子先生が足繁く通った文苑堂書店駅前店が、1946年の創業から70年余りの歴史に幕を閉じました。

 

 https://toyama.hokkoku.co.jp/subpage/T20190527203.htm

 【富山新聞

 

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190527-00000001-bbt-l16

 【富山テレビ放送

 

 http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/index.html?TID_DT03=20190528182804

 【チューリップテレビ

 

 

 藤子先生ゆかりのスポットがまたひとつなくなることに、貴重なマンガ文化遺産が失われるような損失感をおぼえます。『まんが道』にたびたび登場し、高岡へ行ったさいは聖地のひとつとして必ずといってよいくらい巡礼していた書店ですから、その閉店には大きな寂しさを感じずにはいられません。

  

 閉店当日には、店内で「文苑堂駅前店の想い出を語る会」が開かれましたし、そうでなくとも閉店のニュースを知ってから閉店当日までにもう一度だけでも足を運んでおきたいと思っていたのですが、残念ながらそれは実現できず、当日行った方々のSNSやメディアの報道を見ながら、ひとりで名残を惜しみました。

 

  お金のかかることなので強くは言えませんが、跡地に何らかの形で藤子先生ゆかりの地であったことを伝えるものが残るといいなと願います。

 現在まで営業を続けてくださった文苑堂書店さんにはただただ感謝するばかりです。

 

自分の誕生日を終えて

 5月18日(土)は私の誕生日でした。

 生まれて半世紀以上も経って、年齢が増えたところであまり喜びはないし、それどころか「またひとつ年をとってしまった…」とありがたくない気分にもみまわれますが、そうは言っても、自分がこの世に生を授かった重要な日ですし、おめでとうを言ってくださる人がたくさんいらっしゃったし(とくにSNS上で)、前年の誕生日から今年の誕生日までの一年間を無事に生きてこられたことは素直に嬉しいし、日々の生活のなかで節目や区切りがあるのは心の整理整頓になって精神衛生上プラスになると思うし……そうやって考えを巡らせば巡らすほど、自分の誕生日というのはやはり大切な記念日なのだなあと深く実感するのでした。

 誕生日を機に、家族や友人知人や「おめでとう」の言葉をくださった方や、私を生かしてくれているあらゆる人や物や現象に感謝したいです。

 ありがとうございます!

 

 令和初の誕生日となった5月18日で51歳になりました。令和●年+50で自分の年齢になるので、「あれ、いま何才だったっけ?」とド忘れしてしまったときなど思い出しやすくて便利ですよ(笑)

 

 そんな誕生日に、グラニフのドラえもんTシャツとソックスをプレゼントしてもらいました!4月に発売されて、ドラえもんファンの間で話題になっていた品です。  

f:id:koikesan:20190618153145j:plain

 わ~い!

 

 外に出かけるわけでもないのに、喜びのあまりさっそく着てみました♪

f:id:koikesan:20190618152242j:plain

 コエカタマリン

 

 

f:id:koikesan:20190618152126j:plain

 ガリバートンネル

 

 

f:id:koikesan:20190620101821j:plain

 タイムマシン!

 このソックスを履くと、脚の丸みによって亜空間の絵柄がさらに亜空間っぽくゆがんだ感じになって、履いてよかった~と思えます♪

 

 テンションが高まる魅力的なプレゼントをありがとう!!

 

  

 ドラえもん関連の誕生日プレゼントといえば、こんな素敵なバースデーイラストを描いてくださった人もいます。 

f:id:koikesan:20190520182304j:plain

  私がドラえもんと一緒にタケコプターで空を散歩していて、実に実に楽しそうです。描いてくださったのは、藤子先生を敬愛しているある漫画家さんです。

 チャーミングで心のこもったイラストをありがとう~!!

 

 みなさまのおかげで、心晴れやかな誕生日になりました。

方倉陽二先生版『のび太の恐竜』

f:id:koikesan:20190410101410j:plain

 これは「小学四年生」1980年5月号の別冊ふろくです。

 F先生が描いた『ドラえもん』の再録をはじめ何作かマンガ作品が収録されているなか、今回注目したいのは、方倉陽二先生が作画した『のび太の恐竜』が載っていることです。方倉先生がこの別冊ふろくのために描きおろした作品と思われます。 

f:id:koikesan:20190410101544j:plain

 内容的には、F先生が描いた映画原作『大長編ドラえもん のび太の恐竜』のストーリーを踏襲していますが、全45ページとF先生版よりもページ数をずいぶん圧縮しているため、各場面がいろいろと端折られています。その端折り方から方倉先生のセンスやテクニックがうかがえて興味深いです。

 たとえば、恐竜の化石を発掘してみせる、とのび太ができもしないことを皆の前で口走ってから、そう口走ってしまったことをドラえもんに伝え、実際に化石堀りに行くまでのシーン。そこがこんなふうに端折られています。 

f:id:koikesan:20190410102714j:plain

  F先生版『のび太の恐竜』のこの場面には、恐竜の本をかき集めて勉強するのび太ドラえもんがあったかーい目で見守るという印象的なくだりがあったりします。それがこちらの方倉版では「化石のことはしらん、しらん」というドラえもんつれない一言ですまされ、すぐに化石堀りに行く場面へ移行するのです。この大胆な端折り方とドラえもんのつれなさ、コマの間合いなどに方倉節を感じます。

 SNSでこの場面をご覧になった漫画家のおりゃー!大橋先生が、こんな反応をしてくださいました。

そうそう。自分も漫画描いてて〜よくやりますが。「ページ数にゆとりがない」と、「キャラクターがドライになり、何も考えないで突っ走る感じになる」「有無を言わさぬ早い展開〜キャラの性格が強引になる」「情感とか風情はどんどんなくなる」。でも、ソコがイイんです。馬鹿っぽい魅力が出て来る。

   

 経験豊かな実作者の方のコメントですからたいへん参考になります。ありがとうございました。

 

「怪談王」で審査員をしました

 きのう(5/19・日)、“最恐”怪談師決定戦「怪談王」東海地区大会の審査員をつとめさせていただきました。

f:id:koikesan:20190619232724j:plain

f:id:koikesan:20190620195356j:plain

 出演された6名の怪談はどれも恐ろしくて、それぞれに個性と芸があって水準が高く、甲乙つけがたいものを感じました。それだけに、審査員として厳正に甲乙つけなきゃならないつらさを噛みしめることになりました。でも、そのうえで実話怪談の恐ろしくも魅惑的な世界を生で堪能できて最高でした。

 

 披露されたひとつひとつの怪談に点数をつけ順位を決めるなんて、ほんとうに責任重大でプレッシャーを感じましたし、その場でアドリブ的に講評を述べなければならなかったので、かなり緊張もありました。それゆえ、審査の仕事を終えたときの安堵感はなかなか大きかったです。審査する側に立つことなんてほぼなかったので、ふだんとは異なる立場・視点を体験できたのはとても貴重でした。

 

 優勝したヌガザカさん、おめでとうございます!

 出演者の皆様、多種多様に恐ろしい怪談を聞かせてくださって、ありがとうございました!

 主催の中日新聞さん、会場の金色鮫の店長さん、私にとっては非常に稀有で貴重な「審査員」の機会を与えていただき、ありがとうございました!

 そして、ともに審査員をつとめたお二人、足を運んでくださった多くのお客様に深く感謝します。

 

 

  ここから当ブログらしく藤子ネタと結びつけていきます(笑)

「怪談王」というイベントは、複数の語り手が実話怪談をライブで披露し合う場です。私がそういう感じの事象に触れた最初期の記憶は、『ドラえもん』の「怪談ランプ」を読んだときです。「怪談ランプ」では、のび太くんたちがジャイアンの家に集まって怪談を披露し合います。のび太くんの言葉を借りれば「怪談の会」です。そこで語られるのは実話怪談ではないものの、怪談ランプの効力によってのび太くんが語った出来事が実際に間近で起こります。虚構の怪談がライブで実話化するといいましょうか。「怪談王」と「怪談ランプ」には、そんなふうに“怪談と実話の複合”という意味合いでちょっと近似性を感じるのです。

 

 

 さらに余談になりますが、今回の「怪談王」の会場で拷問器具コレクターの方とお会いしました。その方がこんなものを持ってこられていました。 

f:id:koikesan:20190619231108j:plain

「苦悩の梨」という拷問器具です。

 これの使い方ですが、自分で言葉にすると顔をしかめながら悲鳴をあげたくなりそうなので、ご想像にお任せします(笑)気になる方は自己責任でお調べください(笑)

 拷問器具コレクターといって思い出すのが、藤子不二雄Ⓐ先生の短編『コレク太の変コレクション』です。この作品の主人公・コレク太が、まさに拷問器具をコレクションしているのです。

 現実に拷問器具コレクターの方に会ったのは人生でこれが初めてなので、内心で「リアルコレク太だ~!」と、藤子ファン的に興奮したのでした。

 

「藤子・F・不二雄WORKSドラえもんリスト」

 藤子不二雄FCネオ・ユートピアから「藤子・F・不二雄WORKSドラえもんリスト」が届きました! 

f:id:koikesan:20190614154207j:plain

 藤子・F・不二雄先生が描いたマンガの「ドラえもん」全1336話がどの雑誌の何号で発表されどの単行本の何巻に収録されているか…といった情報を詳細に網羅した渾身のリストです。
 コンビニ本や総集編への再録などまでデータに入っていて、その妥協なき徹底ぶりと綿密さに圧倒されます。完全性へのあくなく希求と気概が感じられます。
 ひみつ道具やサブタイトルの索引も重宝しそうです。