現行『ドラえもん』最終作放送

 昨日3月18日(金)、『ドラえもん オールキャラ夢の大集合スペシャル!!』内で「ドラえもんに休日を?!」が放送された。この作品が、大山のぶ代さんや小原乃梨子さんらが声をつとめる現行のアニメ『ドラえもん』の最終作となった。そんな記念すべき作品の原作として「ドラえもんに休日を!!」を選んだのは悪くないと思ったが、実際に放送された作品を観ると、原作を大幅に改変し、ドタバタ調のギャグをところどころに入れ込んだ別物風味の一編となっていた。
ドラえもん』にドタバタギャグがあってもよいのだが、そのドタバタの種類が見当違いのものに感じられたし、そもそも「ドラえもんに休日を!!」にあんなギャグを入れ込む必要はないだろう。
現行のレギュラー・準レギュラーキャストを勢揃いさせるため、原作を大きく改変した点についてはそれなりに理解できる。しかし、それにしてもあの改変の仕方はどうかと思うのだ。原作をあまりに台無しにしすぎだし、不必要なギャグを無駄に入れすぎている。悪ノリがすぎるという印象だ。


 なんだか批判的な書き出しになってしまったが、現行のキャストがつとめるアニメ『ドラえもん』としてはこれが最後の作品なので、そのことを強く思い、さらにこれまでのアニメ『ドラえもん』の思い出にどっぷりとひたりながら観れば、やはり感傷的な気分が生じてくるのだった。それに、〝オールキャラ大集合〟という顔見世興行的な趣向は、各キャラが登場するたび、その一人ひとりに思いをはせることができてよかったと思う。
 今回は、オールキャラを話の中に登場させることが最大の目的であり意義であり、結果として「ドラえもんに休日を!!」という作品が「顔見世興行的な趣向」に従属する形になったため、作品としての出来がいまいちになった側面もあるわけで、もう、とにかく、泣いても笑ってもこれが最終作なのだから、無批判に鑑賞し感動してしまったほうがよいのだろうか。それに、今回のような作風が近年のアニメ『ドラえもん』の状況をつぶさに物語っていて、〝らしい〟終わり方であったといえるのかもしれない。


 来週25日(金)は、映画『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』が放送され、そのなかで現行の声優さんたちのラストメッセージが流れるらしい。再放送などではないリアルタイムの『ドラえもん』番組で現行の声優さんの声が聞けるのは来週が最後となる。


 昨日は『ドラえもん』放送終了後も同じチャンネルをつけっぱなしにしていたら、『報道ステーション』で〝大山のぶ代ドラえもん最後の日〟という話題がとりあげられ、愛知万博会場内で観られるドラえもんのCG映像にあてた水田わさびさんの声を聴くことができた。「ぼく、ドラえもんです」という言い方など大山ドラの雰囲気を踏襲しながら、大山ドラほど濁り声ではなく、〝活発で愛嬌のある小学生の男の子〟といった印象だった。
 メインキャスターの古舘伊知郎さんは、ドラえもんの声優が交替する件について、こんな発言をしていた。

ぼくは、どうもこうもないんです。わさびさんだかからしさんだか分かんないけど、とにかくこの方、日々の積み重ねです。毎週毎週の積み重ねです。私はこれだけをもって応援します。私、18年続いた久米宏さんのあとをやってるんですよ。毎日毎日積み重ねて、定着を待つしかないんです。私、すごい感情移入しています。

 前任者のイメージが強すぎる番組を引き継いだ者の苦悶がうかがえる。
 古舘さんは、『報道ステーション』を始めたころ週刊誌やネットなどでさんざん叩かれていたし、今でも彼に対する否定的な声を聞く。水田わさびさんも、そうした試練を乗り越えていかねばならぬのだろうか。

 
 その後、録画してあった『痛快!明石家電視台』(中部日本放送/3月17日24:55〜)を観た。これは、関西地方(毎日放送)で3月7日(月)に放送された番組で、この回には大山のぶ代さんがゲスト出演している。おしゃべりの明石家さんまさんを押しのけてドラえもんについて熱く語る大山さんの姿が印象的だった。
 この番組のクイズコーナー出演者である村上ショージさんと かつみ・さゆりさんが『ドラえもん』新声優のオーディションを受けていたことが話題になり、各人がオーディションでどんな演技をしたか披露する場面があった。村上ショージさんがドラえもん、さゆりさんがしずか、かつみさんがスネ夫の声を披露したわけだが、さすがにこれでは合格できないだろうと感じた。
 この番組、3月21日放送の回(関西地方)でも、村上ショージさんがドラえもん新声優のオーディションを受けたことをネタにするようだ。


●雑誌記事情報
 本日発売の「週刊ポスト」4月1日号に、『ドラえもん』新声優5人と総監督・楠葉宏三さんのインタビューが載っている。これが、新声優5人に対するメディア初の直撃インタビューになるそうだ。小学館の出している週刊誌なので、新声優さんへの接触という点で有利なのだろうか。
 このインタビューでは、以下のような発言が印象に残った。

水田わさび「私は計4回の審査がありましたが、回を増すごとに緊張してきました。最初は大山さんの声を真似ず、自分の声で勝負していたのですが、選考が進むほど、つい大山さんを意識してしまいました」
かかずゆみ「声優たちのあいだでは、〝私は受けてないけど、あなたは受けた?〟という探り合いもありました。それほどみんなが気にしているオーディションだったのです」
楠葉宏三「オーディションでは、若くて新鮮な声を求めました。原作の持つドタバタ感を表現するのは、若い弾けた印象が必要だと思ったからです。(中略)ジャイアンに関しても、全員一致でした。最初のテープ審査では、プロフィールを見ずに、声だけで審査した。それだけでも〝木村くんはすごい〟という声があがった。その後、プロフィールを見て、14歳だと知った時には驚きましたよ」

 審査員に「すごい」と言わせた木村さんの声、ますます聴くのが楽しみになった。